トランプ関税の対中版が発効、中国は反撃、東南アジアは動揺続く
東南アジア株式新聞 2025年2月4日
トランプ関税の対中版が発効、中国は反撃、東南アジアは動揺続く
メキシコ・カナダはそれぞれの首脳とトランプ大統領との会談によりトランプ関税は1か月延期された。
しかし、中国への追加関税は発効した。
中国はすぐに米国製品に関税をかける予定などを発表し、反撃した。
東南アジア各国は、中国への関税強化の影響を心配している。
米国以外の貿易相手との関係強化へ動く国も出てきた。
中国は強気に反撃、香港株も強い
中国政府はこれまで通り強気の姿勢を維持し、すぐに反撃した。
New York Times の2月4日の記事:
トランプの中国製品に対する10%追加関税が発効
Trump’s 10% Tariff on Chinese Goods Takes Effect - The New York Times
トランプ大統領の全中国製品に対する10%の関税が火曜日午前12時1分に発効した。これは米国へのフェンタニルの輸送を取り締まるよう北京に圧力をかけることを目的とした、週末に発令された大統領令による。
中国政府は直ちに、米国からの石炭、天然ガス、農業機械、その他の製品に対する追加関税を含む一連の報復措置を発表した。また、ハイテク製品の製造に多く使用される特定の重要鉱物の輸出を制限したと発表した。
さらに、中国の市場規制当局は、グーグルに対する独占禁止法の調査を開始したと発表した。 Googleは中国のインターネットからブロックされているが、今回の措置により同社と中国企業との取引に支障が出る可能性がある。
中国本土の株式市場は4日も休みだが、香港ハンセン指数は同日3%近く上昇し、同地の投資家は中国経済の強さを信任した形だ。
明日、連休明けで再開される中国本土の株式市場も上昇の勢いを持っているかが注目される。
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香港ハンセン指数の1か月(HKEX公式サイトより) |
東南アジア、対中追加関税の発効で動揺広がる
東南アジアでも、4日の株式市場は反発した。
多くの東南アジア諸国にとっては、最大の貿易相手国が中国であり、対中国の追加関税を米国が実施したことのほうが心配だ。
中国の需要が減れば、東南アジア各国の輸出が減る可能性が高い。
貿易立国の多い東南アジアではそれぞれの国だけでなく地域全体の経済成長が鈍化する可能性も出てくる。
The Edge Malaysia の2月4日の記事:
トランプ関税はマレーシアの輸出にプラスになりうるが、中国の景気減速がリスク、エコノミストたちの見方
エコノミストたちは、ドナルド・トランプ大統領が中国を含む米国の主要貿易相手国に対する関税の発表を受けて世界企業が事業を転換する中、貿易転換によってマレーシアの輸出が恩恵を受ける可能性があると考えている。
しかし、さらなる関税引き上げによる中国経済の潜在的な減速がリスクとなる可能性があると警告している。
マレーシアに恩恵があるとすれば、それは、多国籍企業が、関税の影響を緩和するためにサプライチェーンを変更し、マレーシアを中国の代わりの生産拠点や再輸出拠点として利用する事例が増える可能性だ。
それでも、中国の景気減速が深くなれば、そのほうがダメージが大きいだろう。
シンガポール、タイ、ベトナムなども同じような希望と悩みを抱えている。
積極的に動くとすれば、米国陣営以外の
4日、マレーシアの首相は議会で質問を受け、BRICSの国々と貿易関係を強化する方針を示した。
The Strait Times の2月4日の記事:
米国の関税を待つのではなく、貿易関係を構築していくとマレーシア首相
Malaysia PM says will build trade relations, not wait for US tariffs | The Straits Times
マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は2月4日、米国の潜在的な貿易関税の影響を待つのではなく、中国、ロシア、ブラジルなど他の国々と積極的に貿易関係を構築すると述べた。
アンワル氏は議会で、米国の関税発動を待つことはマレーシアに悪影響を与えると述べ、ドナルド・トランプ米大統領がカナダとメキシコに対する関税発動を30日間停止したことで不確実性が生じていると付け加えた。
タイのペートンタン・シナワット首相は、中国との関係強化のため、2月5日から8日まで4日間、訪中する。
中国の李強(リー・チャン)首相の招待であり、両国にとって外交関係樹立50周年を祝うものとなる。
タイの首相は、中国高官や産業界のリーダーたちと会談・会合をこなすほか、ハルビンで開催される冬季アジア競技大会の開会式にも出席する予定だ。
もっともトランプ関税の問題がなくても、タイには中国との関係改善を急ぐ理由がある。
ここ数か月間、タイ・ミャンマー国境を拠点とする犯罪組織が多くの中国人観光客を誘拐する事件が発生しているため、中国人観光客に敬遠されている。
観光立国のタイとしては、中国人観光客の減少はかなり痛い。
訪中の手土産として、タイ首相は4日、犯罪組織が拠点とする地域への電力供給を断つよう命令した。
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