NTT東が出資したインドネシアのSURGEグループの通信インフラ会社
東南アジア株式新聞 2025年4月12日
NTT東が出資したインドネシアのSURGEグループの通信インフラ会社
日本経済新聞の4月11日の記事:
NTT東日本は11日、インドネシアで低価格の家庭向け光回線サービスを提供するインテグラシ・ジャリナン・エコシステムに出資すると発表した。NTT東は工事技術者の育成支援などで協力し、現在首都ジャカルタを中心に約20万世帯のジャリナンの顧客を今後4000万世帯に広げる目標だ。
インドネシアの光ファイバー通信網の技術者を育成するのに、NTT東が協力する、という話だ。
だが、それだけなら資本提携は必要ない。
記事の後半に、以下の部分がある。
NTT東の渋谷直樹社長は日本経済新聞の取材に応じ、「(ジャリナンは)インドネシアで我々の中核となる大型事業だ」と強調した。ジャリナンの顧客に人工知能(AI)などのデジタルサービスを提供していくことも検討しているという。
NTT東は、ジャリナンとの提携をインドネシアでの大型事業にするつもりのようだ。
インテグラシ・ジャリナン・エコシステム(PT Integrasi Jaringan Ekosistem)は、上場企業 ソルシ・シネルジ・デジタル(PT Solsi Sinergi Digital Tdk、通称 SURGE、IDX:WIFI)のグループ会社だという。
SURGEグループのジャリナンは、鉄道に沿って光ファイバーを敷設したうえで、利用者までのFTTH(ファイバー・トゥ・ザ・ホーム)も手掛けている。
FTTHはNTT東の得意とするところだ。
インドネシアの大手デジタル・インフラ事業者 SURGE
ジャリナンの親会社のSURGEの発表文(4月11日):
NTT東日本とSURGE、インドネシアのデジタル格差解消に向けた戦略的投資を発表
NTT East and SURGE Announce Strategic Investment to Bridge Indonesia's Digital Divide
インドネシアの大手デジタル・インフラ・プロバイダーであるPT Solusi Sinergi Digital Tbk(SURGE)は本日、日本のNTTグループの中核子会社であり、社会イノベーション企業として広く認知されている東日本電信電話株式会社(NTT東日本)との戦略的投資提携を発表しました。
この提携の一環として、NTT東日本はSURGEの子会社であるPT Integrasi Jaringan Ekosistem(WEAVE)の株式保有および非現金出資の形で、株式の49%(4兆インドネシアルピア)を出資します。この投資は、NTT東日本とSURGE両社が、インドネシアのデジタルインフラエコシステムにおける戦略的協業の構築と価値創造に向けて、長期的なコミットメントを表明するものです。
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SURGE公式サイトより |
さて、SURGEという会社は、今年1月にも日本経済新聞に登場している。
2025年1月8日の記事:
ドコモ・NEC、インドネシア通信網整備 中国勢に対抗 - 日本経済新聞
NTTドコモとNECの共同出資会社、OREX SAI(オレックスサイ)がインドネシアで高速通信網を整備する。政府は通信実証などにかかる資金の一部の支援を検討する。世界4位の人口を抱えるインドネシアは成長余地が大きく、中国企業の影響力が強い。日本の官民で市場を開拓する方針だ。
オレックスサイがインドネシアの通信会社、ソルシ・シネルジー・デジタル(サージ)と協業の検討に向けた覚書を交わした。現地の通信環境向上に向けて協業する方針で、2024年度内にも包括契約を結ぶことを目指す。
サージはインドネシア国内の過疎地域を中心に、家庭での通信環境の整備に今後10年間で5000億円規模を投じる。同国では家庭での通信インフラの普及率が低く、新たに最大4000万世帯にサービスを提供したい考えだ。首都ジャカルタがあるジャワ島では鉄道沿線に敷設した光ファイバーを生かす。
SURGEは、日本の通信会社と組むことで、高度な有線・無線のデジタル通信網を構築できる通信インフラ・プロバイダーになる計画だろう。
日本勢は、伸び盛りのSURGEとの提携を通じて、未来の経済大国インドネシアでの実績を積む目論見だろう。
この数年で光ファイバーとデジタル事業を拡大
SURGE 公式サイトから歴史を見てみた。
2012年、コーヒー豆販売会社として設立
2019年、デジタル機器販売会社や広告会社を買収、光ファイバー事業やデジタル広告事業を開始
2020年、IDXに上場、デジタル・ペイメント事業を開始
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SURGE株の1年間(IDX公式アプリより) |
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