建設途上で破産したニセコ高級ホテル La Plume、アジア系資本とは

 

東南アジア株式新聞 2025年4月19日

建設途上で破産したニセコ高級ホテル La Plume、アジア系資本とは


最近、「ニセコ・外資バブルの崩壊か」というニュースの見出しを見かけた。

高級ホテルの建設が中断したままになっていたところ、その建設工事を進めていた不動産投資会社が東京地裁から破産手続き開始決定を受けた、というものだ。


外資というのはどこだろうか、と探すと以下の記事があった。


信用調査会社・帝国データバンクの4月16日の記事:

レポートLa Plume Niseko Resort特定目的会社

「東京」 La Plume Niseko Resort特定目的会社(千代田区霞が関3-2-5)は、4月8日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。

(中略)

当社は、2020年(令和2年)12月に設立された。アジア系企業の資本により北海道のニセコにて、219室と5つのプライベートヴィラからなるニセコ最大級の高級リゾート「New World La Plume Niseko Resort」の開発計画に際して用地不動産を所有していたが、債権者より破産を申し立てられていた。

負債は現在調査中。


アジア系資本の、La Plume Niseko Resort特定目的会社の、「New World La Plume Niseko Resort」プロジェクトというところまで、わかった。

(特定目的会社はファンド投資会社の一形態)


  
New World La Plume Niseko Resortの資料より
New World La Plume Niseko Resortの資料より



テレビニュースで報道された

高級ホテルプロジェクトの現地の状況については以下のニュース記事が理解しやすい。


HTB 北海道テレビの4月17日のニュース記事(YouYube 動画付き):

ニセコ開発に暗雲 高級ホテル工事ストップ 外資系高級リゾート開発会社が破産 建設費高騰で頓挫か… HTB北海道ニュース


ニセコ町で建設が進められていた、「New World La Plume Niseko Resort」。スキー場に隣接し羊蹄山も一望できる抜群のロケーションに位置し、客室露天風呂を備えた部屋など全219室の高級ホテルと5つのプライベートヴィラからなるニセコ最大級のリゾートとして去年12月に開業する予定でした。しかし今月8日、この開発を担う香港系の会社が裁判所から破産手続きの開始決定を受けたことが明らかに。

(中略)

HTBの取材に対し建設を担当したゼネコンは。

ゼネコンの担当者)

「契約に基づいた建設費の支払いが行われなかった」


金が支払われず、このゼネコンから破産申し立てを受けた香港系の会社。民間の信用調査会社の帝国データバンクによりますと負債額は数十億円規模に上るとみられています。専門家は、建設費の高騰が背景にあると話します。



他の記事の情報も合わせると、次のようなことが起きた。


  • 2024年12月に開業予定だったが、同年秋ごろには建設工事が中断した

  • 100人ほどの作業員が近所のマンションに住んでいたが、退去した

  • 債権者のゼネコンが第三者破産を東京地裁に申し立てた

  • 4月8日、東京地裁が破産手続開始を決定した



上記ニュースの中で、帝国データバンクの部長が推測していたこと。


頓挫の原因:

「建設の部分で非常にコストが上がっている。ニセコのあの場所に人を集めるとなると、ものすごい建設費がかかる。リゾートなので投資案件でもあるので、投資が回収できるのか」


ニセコ・バブル崩壊?:

「曲がり角にきているのかな。今回の破産、大型プロジェクトが1つ中止になって頓挫してしまったというのはその1例かな



「アジア資本」は、香港系ファンドだった


La Plume Niseko Resort特定目的会社の親会社は、香港の不動産投資・開発事業者 Sakura Capital International Holdings (HK) Limited.(櫻花資本國際控股(香港)有限公司)だ。


この会社がニセコのプロジェクトをどうするかというニュースは今のところ見つからない。


古い記事を見つけた。

Businesswire の2021年4月30日の記事:

New World La Plume Niseko Resort to Open In 2023


ニューワールド® ホテルズ&リゾーツは、香港特別行政区を拠点とする不動産開発会社ラ・プルームニセコリゾートTMKから、2023年にオープン予定の日本の新しい高級リゾート、ニューワールド ラ・プルームニセコリゾートの運営を委託されました。北海道の羊蹄山とニセコアンヌプリ山の間の緑豊かな森林地帯に約9エーカーの敷地を占めるニューワールド ラ・プルームニセコリゾートは、近隣のニセコビレッジの有名レストランやショップも併設しています。ニューワールド ホテルズ & リゾーツのこの最新の発表は、同ブランドのアジア地域における野心的かつ思慮深い成長戦略を強調しています。


ホテル運営を請け負うはずだったニューワールド® ホテルズ&リゾーツ(New World Hotels & Resorts)は、香港の Rosewood Hotel Group の会社で、「ニューワールド」ブランドのホテルをアジア地域で展開している。


ニューワールドが作成した「New World La Plume Niseko Resort」の資料を見つけた。

その1ページに、建設予定地が羊蹄山を背景にした高級ホテルやレジデンスの密集地であることが示されている。

近隣には、リッツ・カールトン・リザーブ、ヒルトン・ビレッジ、ヒノデヒルズ・ニセコビレッジ、カサラ・ニセコビレッジ、グリーンリーフ・ニセコビレッジがすでにある。


   
New World La Plume Niseko Resortの資料より
New World La Plume Niseko Resortの資料より

上記に加えて、シンガポールのバンヤンツリーもリゾート施設を建設中だ。

ニセコの高級リゾート密集は、そろそろ供給過剰を心配しないといけないレベルに見える。


それに、日本中どこでもだが、(テレビニュースが伝えていたように)建設コストが高騰している。計画通りに完成、営業開始へと進めないなら(いつまでも資金を回収できないなら)、投資家が逃げていく。


ニセコ・外資バブルの崩壊はあながち間違っていないかもしれない。



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