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マレーシアの野望:東南アジア最大のICデザインパークで半導体産業のより上流をめざす

マレーシアの野望:東南アジア最大のICデザインパークで半導体産業のより上流をめざす 東南アジア株式新聞 2024年4月23日 クアラルンプールで、「KL20サミット2024」というイベントが4月22‐23日に開催された。 2030年までにKLをスタートアップハブのトップ20位にする、というマレーシア政府の目標を推進するためのイベントだ。 このイベント中、マレーシア政府は大きな野望を明らかにした。 試験やパッケージングといった半導体産業の下流工程に集中してきたマレーシアが、今後はさらに上流の工程をめざして動き始めた、と宣言したのだ。 New Strait Times 4月22日付けの記事。 [Updated]Largest IC Design Park in Southeast Asia to be built in Selangor ([更新] 東南アジア最大規模のICデザイン・パーク、セランゴール州に) 「マレーシアは、東南アジア最大と言われる集積回路(IC)設計ハブをセランゴール州に建設している。 ダトゥク・セリ・アンワル・イブラヒム首相 はそう発表し、現地での作業はすでに始まっていると述べた。」 首相は、「これはセランゴール州政府とセランゴール情報技術・デジタル経済公社(SIDEC)の支援を受けて行われたもので、すでに現場で勢いが生まれていることの証拠だ」と述べた。 」 また、SIDECのコメントとして、 「競争が激化する中、 マレーシアは半導体バリューチェーンの上位に進むためにチップ設計の機会を早急に掴む必要がある 。」とも書いている。 同じく4月22日付けの、Malaymailの記事。 IC Design Park set to bring in economic returns of RM500m to RM1b, says Sidec CEO (ICデザイン・パーク、RM5億から10億の経済リターンをもたらす、SodecのCEO語る) 「 セランゴール州情報技術・デジタル経済公社(Sidec)のヨン・カイ・ピン最高経営責任者(CEO)は、セランゴール州プチョンにある集積回路(IC)ハブが7月に稼働を開始し、州の経済成長に貢献する予定だと述べた。」 「同氏は記者団に語った。本日、ここで ソフトバンク子会社のARM Ltd、 Phison Malaysia...

インドジェン・キャピタル(Indogen Capital) ベンチャー企業に東証上場を推奨するVC

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インドジェン・キャピタル(Indogen Capital)、 ベンチャー企業に東証上場を推奨するVCとは何者か?   東南アジア株式新聞 2024年4月14日 4月12日、日本経済新聞に掲載の記事: インドネシアVC、東証IPOを推奨 日本市場活況で 「インドネシアのベンチャーキャピタル、インドジェン・キャピタルが新興企業に対し、日本取引所グループ(JPX)が運営する東京証券取引所への上場を勧めている」 この記事を読んで、少し驚いた。 ベンチャーファンドにとって、IPO(新規上場)は重要な投資の出口なのは知っているが、通常は勝手がわかる地元の(この場合、インドネシアの)証券取引所への上場を投資先ベンチャー企業に推奨するものだと思っていたからだ。 かなり大型の上場になるなら、ニューヨーク市場かな、とも思っていた。 日経記事には、マネージング・ディレクターのチャンドラ・フィルマント氏のコメントも付いている。 「JPXはにわかにナスダックやニューヨーク証券取引所よりも有望な市場になりつつある」 つまり、同ファンドは、最近の東証の盛り上がりを高く評価しているようだ。 ちょうど東証もアジアのベンチャーを呼び込もうと動き始めたところで、タイミングが良い。 東証、アジア企業の日本上場を支援する「東証 アジア スタートアップ ハブ」設立 インドジェンは、JETROの提携先 インドジェン・キャピタルの公式サイト: https://indogencapital.com/ インドジェン・キャピタルの公式サイト 公式サイトから、同社がジャカルタを拠点に活動するベンチャー・キャピタルで、5カ国で計34件の投資・5件のイグジット(投資回収)といった実績があることがわかる。 また、次のように大きく記載されている。 We Are a Sector Agnostic Investor in Southeast Asia With Deep Operating Experience in Indonesia Market (当社は東南アジアにおけるセクターにとらわれない投資家です。インドネシア市場での豊富な運営経験 があります) さらに調べていくと、日本貿易振興機構(JETRO)と提携していることがわかった。 JETROの「 ジェトロ・グローバル・アクセラレーション・ハブ・ジャカルタ 」という...

企業研究|インドサット(Indosat)エヌビディアとAIセンターを建設

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インドサット(Indosat)、 インドネシアのデジタル成長に貢献めざす通信会社 エヌビディアとAIセンターを建設 東南アジア株式新聞 2024年4月9日 インドサット株のこの1年(IDXアプリ画面より) 4月5日、Bloombergが『 米エヌビディア、2億ドルAIセンターを共同で設立へーインドネシア 』という記事を流した。 そのパートナーは、インドサット(Indosat Tbk、IDX:ISAT)だった。 日本語で配信されたBloomberg記事: 「米半導体大手、エヌビディアとインドネシアの通信会社インドサットは、インドネシアに2億ドル(約300億円)規模の人工知能(AI)センターを共同で建設する計画だ。 ブディ通信・情報相は3日付の声明で、両社が中ジャワ州の都市スラカルタに同施設を建設すると明らかにした。」 外資に育てられてきた、インドネシアの歴史ある通信会社 インドサットは、1964年に米ITTによって設立された衛星通信を使った国際通信会社だ。インドネシアの外資企業第1号だったが、一時期は国有化されていた。 1990年代以降、移動体通信会社になり、同国でデジタル携帯電話の普及を推進した。 インドサットは、上場企業ではあるが、現在は大株主3、4社で大半の株を握り、インドネシア証券取引所(IDX)で取引されるのは16%ほどにすぎない。 カタールの通信会社Ooredooと香港のCKハチソン系通信会社が折半出資したOoredo Hutchison Asia Pte. Ltd. が65%強を持つ最大株主だ。 現在は Indosat Ooredoo Hutchison という通称を使っているこの会社のビジョンは、「インドネシアで最も選ばれるデジタル通信会社になる」である。 2023年12月期売上高: 4兆8000億ルピア 2023年12月期純利益: 1兆2000億ルピア 3社寡占競争の中、デジタルサービス拡充に投資 以下、Gemini にインドサットの最近の動向をまとめてもらった。 インドネシアのインドサット:最近の動向まとめ 2024年4月9日時点 1. 5Gサービスの展開加速 2023年11月、インドサットは5Gサービスを商用化し、ジャカルタ、バンドン、スラバヤ、マカッサル、メダンなどの主要都市で提供開始 2024年4月現在、5Gサービスは25都市以上で利用可能 ...

企業研究|ユーヤンサン(Eu Yan Sang)三井物産とロート製薬が買収

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ユーヤンサン(Eu Yan Sang)、 三井物産とロート製薬が買収する東南アジア最大の漢方薬会社 東南アジア株式新聞 2024年4月7日 TRX Exchange モール内の店舗(クアラルンプール) 日本の企業2社が買収へ 東南アジア最大の漢方薬製造・販売会社、ユーヤンサン(Eu Yan Sang、余仁生)は上場企業ではない。だが、最近話題になったので、調べてみた。 4月4日、三井物産とロート製薬が共同で、シンガポールのユーヤンサン(Eu Yan Sang International Ltd.)を買収すると発表した。 以下、三井物産の 発表文 から引用(出資比率を太字にした)。 ロート製薬と三井物産が共同保有予定の特別目的会社(SPC、シンガポールにて設立)が、EYS株式の約86%を保有するライタス・クレーン・ホールディングス(Righteous Crane Holding Pte. Ltd.、本社:シンガポール、以下「RCH」)から全株式を譲受することに合意しました。残りの14%については、譲受完了後公開買付を行います。また現在もRCHの株主であるEYS創業家がSPCに一部再出資を行うことを併せて合意しております。三井物産は22年11月にファンドを通じた間接保有の株主としてEYSへ出資参画を実施、今回RCHによるEYS株式の売却により同ファンドは清算され、三井物産は清算分を含めた再出資を行います。 EYSへ100%出資できた場合のEYS実質持株比率は三井物産約30%、ロート製薬約60%、創業家約10% であり、EYSの株式取得総額は約800百万シンガポールドル(約880億円)、三井物産の現保有分清算金額を差し引いた株式取得額は約150億円となる予定です。 ロート製薬は、目薬で有名だが、製品領域の拡大・海外への展開を続けてきているので、大きな違和感はない。 三井物産は、東南アジアでのヘルスケア事業の拡大だろうか。 ユーヤンサンは、下にある通り、海外への事業拡大を進めており、同じく海外展開に熱心なロート製薬の傘下に入ることで相乗効果を出しやすいと考えたのかもしれない。製品が重複しないのも両社にとってメリットだろう。 ユーヤンサンの概要 以下、ユーヤンサンの概要を Gemini に調べてもらった(数回質問し、回答をまとめた)。 ユーヤンサンは、1879年にマレーシアで...

実は、SGXでタイの株式が買える! シンガポール証券取引所のSDRとは?

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実は、SGXでタイの株式が買える! シンガポール証券取引所のSDRとは? 東南アジア株式新聞 SGX公式サイトのタイSDRキャンペーンページ シンガポール証券取引所(SGX)の最近(2024年3〜4月)の宣伝: Invest in Thai blue chip companies through SGX (SGXからタイの優良銘柄に投資しよう)  具体的には、タイSDRに5つの新銘柄が加わり、8銘柄となった。 (SGXは2023年5月にタイ証券取引所との協力でSDRを商品化した) 新銘柄は、以下のNo.4〜8。 3月30日の The Strait Times の記事によると、8銘柄でSET50指数の40%超を占めているそうだ。 「Together, the eight SDRs make up more than 40 per cent of the benchmark SET50 Index, which tracks the price movements of the top 50 stocks in the Thai markets.」 No. SDR Trading Name SGX Trading Code SDR:Underlying Securities Ratio Underlying Company Resources 1 CP ALL TH SDR TCPD 1:1 CP ALL PCL Company Page CP ALL Announcements 2 AOT TH SDR TATD 1:1 AOT Company Page AOT Announcements 3 PTTEP TH SDR TPED 1:1 PTT Exploration & Production Company Page PTTEP Announcements 4 AIS TH SDR TADD 10:1 Advanced Info Service Company Page Advanced Info Service Announcements 5 SIAM CEMENT TH SDR TSCD 10:1 Siam Cement Group Company Page Siam Cement Group Announcements 6 KASIKORN B...