日本・シンガポール国交60周年でウォン首相が訪日

 

日本・シンガポール国交60周年でウォン首相が訪日

両国の関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げ


東南アジア株式新聞 2026年3月19日


シンガポールのローレンス・ウォン首相が3月17~19日の日程で日本を公式訪問した。

両国は2国間関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げした。


高市首相との首脳会談で、予定通りの共同声明を出した。

共同声明には、

「法の支配に基づく国際秩序、ルールに基づく多角的貿易体制、自由で開かれた、透明性があり、

強靱で、包括的で、ルールに基づく地域構造を堅持」と書かれていた。


     
ウォン首相のLinkedIn投稿(2026年3月18日)
ウォン首相のLinkedIn投稿(3月18日)


ウォン首相の投稿に見られるように、麻生、岸田、石破の歴代元首相が歓迎し、

日本側がシンガポールを重視していることを形で示した。

(誰が企画したのかは知らないが、これは良い演出だと思う。)



日本訪問に先立ち、ウォン首相は日本経済新聞に寄稿した。


日本経済新聞の3月17日の記事

(なぜ有料記事?ウォン首相は広く読んでもらいたいのではないのか?)

とりあえず、骨子は以下の通り。

「国交樹立60周年、関係を新たな章に」 シンガポール首相が寄稿 - 日本経済新聞

シンガポールと日本は今年、国交樹立60周年を迎える。両国関係はこの60年で大きく発展した。

日本からの支援や投資を軸に始まったが、すぐに多面的で相互に利益をもたらすパートナーシップへと成長した。

長年にわたる両国の協力関係は、不確実性が高まる国際情勢に向き合ううえで揺るぎない基盤となっている。

自由貿易とルールに基づく多国間主義を重視する同志国として、協力を深める余地は大きい。


  • 強固な経済関係をさらに強化

  • デジタル経済分野で新たな機会を追求

  • 人工知能(AI)や量子技術、宇宙などの先端分野での協力も拡大

  • 東南アジア諸国連合(ASEAN)の連携を一段と強化

  • テロ対策や人道支援、災害救援など安全保障関連の取り組みを含めた多くの分野における

日本の既存のイニシアチブを基盤とし、より広い地域での協力を深める


国交樹立60周年にあたり、すでに強固なシンガポールと日本のパートナーシップ基盤を生かし、両国は「共想、共働、共進」という新たな関係の章を切り開ける。



自由貿易、デジタル化など5つの優先分野

「法の支配に基づく国際秩序、ルールに基づく多角的貿易体制、自由で開かれた、透明性があり、

強靱で、包括的で、ルールに基づく地域構造を堅持」と共同声明


CNA の3月18日の記事:

Singapore and Japan upgrade ties to Strategic Partnership, expand cooperation in five areas - CNA

シンガポールと日本は18日(水)、二国間関係を戦略的パートナーシップに格上げし、5つの分野で協力を

拡大すると発表した。

この関係格上げは、シンガポールのローレンス・ウォン首相と日本の高市早苗首相によって発表された。

(中略)

ウォン氏は、日本は過去60年間、シンガポールにとって信頼できる貴重なパートナーであったと述べた。

「今日、両国関係は成熟し、戦略的展望と強みを相互に補完し合うパートナーとなり、

協力関係は多角的かつ実質的で、互恵的なものとなっています」と付け加えた。

「今日の世界情勢は、不確実性、分断、混乱といった深刻な変化に直面しており、

両国の協力関係をさらに深化させることは戦略的に不可欠です。

日本とシンガポールは、戦略的な原則と世界観を共有しています。

志を同じくするパートナーとして、多国間主義に基づくルールベースのシステムと、

開放的で包摂的な地域構造を維持するために、共に協力できると確信しています」



3月18日、日本外務省発表の共同声明の和文仮訳:

日本とシンガポール共和国との間の戦略的パートナーシップの立上げ に関する共同声明


その概要:

  1. 日本とシンガポールの外交関係樹立60周年を記念して、

日本とシンガポールとの間の戦略的パートナーシップを立ち上げる。

  1. 我々は、法の支配に基づく国際秩序、ルールに基づく多角的貿易体制、自由で開かれた、

透明性があり、強靱で、包括的で、ルールに基づく地域構造を堅持する。 

  1. 我々は、ASEAN 中心性及びインド太平洋に関する ASEAN アウトルッ ク ( AOIP ) への

支持を含む、一貫した包括的な関与を通じ て、日本が、ASEAN の「信頼できるパートナー」

として、地域の平和 、安定、繁栄及び統合に貢献してきていることを認識する。 

  1. 以下の5つの優先分野を含む将来を 見据えた分野での協力を拡大する。 


I. 自由貿易と経済協力の推進

  • WTO 電子商取引共同声明イニシアティブの共同議長国として緊密に 協力する。 

  • Enterprise Singapore と日本貿易振興機構間の協力覚書(MOC)を更新する。 

  • 産業間の補完性を活用して経済安全保障における協力を進める。 

  • オープンイノベーションと共創を促進し、スタートアップ協力を強化する。 

  • WTO 改革への支持と いう共通のコミットメントを表明する。

アジア太平洋経済協力 ( APEC ) など地域経済フォーラムでの調整を深めるために協力する 。日・ASEAN 包括 的経済連携(AJCEP)協定、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定、 

環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP) の

完全かつ効果的な実施を確保する。 

  • 我々は、日本の金融庁とシンガポール金融管理局間の協力枠組みを基盤として、

フィンテックとデジタル資産における協力を強化する。  

  • 日本の農林水産省とシンガポールの持続可能性・環境省間の MOCを更新する。


 II. デジタル化と技術 

  • 日本の総務省とシンガポールのデジタル開発・情報省間で ICT 政策 対話を確立する。 

  • AIに関する協力を深める。

  • 日本の国土交通省とシンガポール協力公社(SCE)との間で協力覚書の枠組みにおいて、

第三国でのデジタル及びスマートシティプロジェクトにおける協力を 推進する。 

  • 日本内閣府とシンガポールのデジタル開発・情報省 の間で署名された量子科学・技術・

イノベーションに関する MOC の実施を通じて、量子に関する協力を深める。 

  • 次世代半導体技術の研究開発における協力を深める。 

  • 9.6. 日本の内閣サイバーセキュリティセンターと

シンガポールのサイバーセキュリティ庁(CSA)間の MOC を 更新する。 

  • モノのインターネット(IoT)のサイバー セキュリティ認証制度の相互承認に関する協力覚書。

  • 日本のデジタル庁とシンガポールの GovTech との間での交流及び知識共有を行う。

  • 日本の個人情報保護委員会とシンガポールの個人データ保護委員会間で署名される MOC 

により、情報交換やその他の 協力活動を含む個人情報保護において協力する。 

  • 宇宙航空研究開発機構(JAXA)とシンガポール国立宇宙 庁(NSAS)との間で署名される

宇宙協力に関する MOC の実施を通じて 、宇宙に関する協力を拡大する。

  • 日ASEAN 科学技術・イノベーション協働連携事業(NEXUS)について協力する。


III. 安全保障と防衛 

  • シャングリラ・ダイアローグの機会における定期的な閣僚級会合を含む、

防衛当局間のハイレベル交流を促進する。 

  • 二国間及び多国間演習を含む、運用当局間の協力を深化する。 

  • 省人化の構想、無人システムなど、相互に関心を有する分野における交流を一層促進する。 

  • 防衛装備品・技術移転協定を活用した防衛装備・技術協力の強化。 

必要に応じて、防衛産業・技術分野における専門家交流を通じた協力を深化する。 

  • 薬物密売、オンライン詐欺、マネ ー・ローンダリング、人身取引、サイバー犯罪など

国境を越えた犯罪 、テロ及び、暴力的過激主義と闘う努力を強化する。 

  • 災害管理に対処する機関間の交流を強化する。 

  • 核兵器不拡散条約(NPT)運用検討サイクルなど、軍備管理及び軍縮に関する協力を強化する。


 IV. グリーン移行とエネルギー協力 

  • 日本の経済産業省とシンガポールの貿易産業省との間のエネルギー・持続可能性・

気候変動協力枠組みなど、ネットゼロ目標を支援するための二国間枠組みを確立する。 

  • グリーンエネルギーとエネルギ ー移行、脱炭素技術のプロジェクトに関する協力を拡大す る。

水素/アンモニア、洋上風力、民生用原子力、二酸化炭素回収・貯留、バイオ燃料、

持続可能な航空燃料、LNG、海底ケーブルなど。 

  • アジアのトランジション融資パートナーシップや 

ASEANパワーグリッドの開発などサステナブル・ファイナンス、

トランジション・ ファイナンスへの参加機会を拡大する。 

  • 日本の環境省とシンガポールの持続可能性・環境省間の環境問題に 関する MOC の更新。

  • 日本の国土交通省とシンガポールの運輸省との間のグリーン・デジ タル海運回廊に関する

MOC に基づき、海運の脱炭素化とデジタル化に 関する協力を強化する。 

  • 日本の国土交通省とシンガポールの持続可能性・環境省との間のMOCの範囲を拡大する。 


V. パートナーシップと交流 

  • 両国の外務省による年次の「日・シンガポール・シンポジウム」を継続する。 

  • 国際協力機構と MFA による

「 21 世紀のための日本・シンガポール・ パートナーシップ・プログラム(JSPP21)」において

引き続き協力する。 

  • 学校間のパートナーシップと学生交流 、JET プログラム、東南アジア青年の船(SSEAYP)など

教育分野に おける二国間協力を促進する。

  • ジャパン・クリエイティブ・センターが主催する行事など、芸術・文化交流の促進を継続する。 

  • 日本・シンガポ ール航空協力対話を活用し、航空接続性を強化する。  





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