ベインのアジア太平洋PEリポート 2024年版
ベインのアジア太平洋PEリポート 2024年版
ファンド調達額は10年で最低水準、差別化に活路
東南アジア株式新聞 2024年3月25日
ベイン&カンパニーが3月24日に、『Asia-Pacific Private Equity Report 2024』を発表した。
https://www.bain.com/insights/asia-pacific-private-equity-report-2024/
投資家は後退し、ディールは激減した
同リポートが冒頭で取り上げたプライベート・エクイティ(PE)市場の現状は次の 4点だ。
不確実性が続く中、ほとんどの市場で、PEのディールとエグジットの数が大幅に減少した。
アジア太平洋地域のPEファンドが2023年に調達した資金はわずか1000億ドルで、ここ10年間で最低の水準となった。
ジェネラル・パートナー(GP) は、買い手を見つけるため、そしてエグジット価格を向上させるための新しい戦略を作り出した。
インフラやプライベート・クレジットなどのオルタナティブ・アセットクラスは、アジア太平洋地域に焦点を当てたファンドにとって成長の機会を提供する。
「投資家は依然として中華圏の企業の買収に特に慎重であり、不透明な経済見通しがアジア太平洋地域全体に影響を与えた」
「この傾向に逆行した唯一の市場は日本であり、ディールが活発化した。 日本には業績向上の可能性のある対象企業が豊富にあること、安定した規制環境があること、そして持続的な低金利環境であることに投資家は安心感を得た」
インドや東南アジアの投資機会に注目集まる
今後の市場動向にヒントになりそうな部分を読んでいくと、次のような記述があった。
「新規ファンド募集のクローズを主導したGPは、有利な地域、魅力的なセクター、競争の少ない市場セグメントへのエクスポージャーなど、差別化された戦略を持っている傾向があった。
Preqin の 2023 年のグローバル LPサーベイによると、日本は、先進国市場の中で米国および西欧 (英国を除く) に次ぐ第 3 位。オーストラリア・ニュージーランド地域が第 6 位。
新興市場の投資機会としては、インドが第 1 位、東南アジアが第 2 位となっている」
PEファンドの差別化戦略の中で、インドや東南アジアに着目するファンドが少なからずいることは興味深い。
また、別の差別化戦略でもあるが、インフラとプライベート・クレジットを投資戦略とするPEファームが増えているそうだ。こうした資金もこれからアジアへ向かう。
「PEファームには成長へのインセンティブがある。ほとんどの場合、管理手数料は運用資産総額 (AUM) に基づいて決まる。 インフラファンドやプライベート・クレジットなどのオルタナティブ・アセットクラスは成長への明白な道筋を提供しており、多くのPEファームがこれらのセクターへの資金配分を拡大し始めている」
「インフラファンドやプライベート・クレジットの発展が他の地域に比べて遅いため、アジア太平洋地域は投資家にとって特に魅力的だ」
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