東南アジアの国際観光市場(2026年5月) 中東情勢がもたらす影響に対し、政府・業界の対応は?
東南アジアの国際観光市場(2026年5月)
中東情勢がもたらす影響に対し、政府・業界の対応は?
東南アジア株式新聞 2026年5月12日
2026年5月。
ホルムズ海峡封鎖の影響が東南アジアの国際観光市場に大きな影を落とし始めた。
東南アジア諸国は経済成長と外貨獲得のため国際観光市場を重視しているが、
航空燃料の高騰や中東ハブ空港の機能不全など、向かい風が多い。
観光大国のマレーシアやタイをはじめ、
政府・業界は近距離、すなわちアジア域内の旅行に軸足を移し始めた。
ASEAN諸国の観光市場は近距離へ軸足移す
CNAの5月12日の記事:
2月28日の米国とイスラエルによるイランへの攻撃を受け、3月に入って中東への旅行予約が急激に減少した
ことを受け、マレーシアの旅行会社IBCツアーズ&トラベルは、東南アジアや近場の目的地に焦点を当てた
32種類の新しいパッケージツアーを迅速に展開した。
「3月初旬には、当社の事業の約80%が影響を受けました。現在は、中東を経由しない旅行プランを提供して
います」と、同社のモハマド・リザル社長は語った。
彼は、世界中で数万便ものフライトが欠航またはルート変更される中、適応に奔走している東南アジアの
観光業界関係者の一人だ。
この記事が最初のトピックに選んだのは、「政府と業界、近距離旅行者への注力へ」
中東紛争勃発以来、アジア諸国では長距離市場(飛行時間6時間以上)からの観光客が減少している。
湾岸ハブ空港が使いにくくなった。
ヨーロッパ路線の航空運賃が約2倍に高騰した。
アジア域内の航空事情・運賃は比較的安定している。
このため、東南アジアの政府と旅行業界は近距離市場(同3時間以内)に注力し始めているそうだ。
同記事が伝えた各国の現状:
シンガポール
シンガポールへの地域からの旅行者数は安定しており、3月の国際到着者数は前年同月比10%増だった。
インドネシア、中国、マレーシアといったアジア市場からの力強い成長が牽引した。
マレーシア
3月31日、マレーシア観光・芸術・文化省(MOTAC)は、地政学的動向を踏まえ、
中国、インドネシア、タイ、日本、韓国、インド、バングラデシュ、ベトナムなど、
アジアの「業績好調」かつ「安定」な観光市場を優先すると発表した。
マレーシアは2026年までに国際観光客数を4,700万人にすることを目標としている。
インドネシア
今年1月から3月までのインドネシアへの外国人観光客数は344万人で、「2020年以降で最高」だった。
マレーシアは依然として最大の観光客供給国である。
タイ
2026年最初の4か月間の外国人観光客総数は、2025年の同時期と比較して3.45%減少した。
特に、マレーシアや英国を含む上位5市場のうち3市場は、内戦の影響で4月に11~23%減少した。
1月1日から5月5日までの期間、タイを訪れたインド人観光客は前年同期比で約10%増加し、
ミャンマーとフィリピンからの観光客はそれぞれ約25%、3.8%増加した。
域内の観光大国の戦略
2025年、それぞれの国を訪れた国際観光客数はマレーシアが約4,220万人、タイが約3,297万人だった。
この年、タイは、誘拐騒動により中国からの観光客が激減するという不運に見舞われた。
今年は3月以降、ホルムズ海峡封鎖というアジア地域全体に悪条件が立ちふさがっている。
タイとマレーシアの政府は観光戦略を練り直した。
タイ政府は「量より価値」
The Nation Thailand の4月18日の記事:
Thai Tourism Braces for Turbulence Amid Middle East Crisis
180万人の観光客減少が見込まれる中、タイ国政府観光庁(TAT)のタパニー・キアットパイブール長官は、
戦略の根本的な転換を指揮している。
焦点は「量から価値へ」へと移り、高級志向、ウェルネス志向、長期滞在志向といった高収益セグメントを
ターゲットとしている。
マレーシア政府は安定した市場に重点
NSTの4月21日の記事(中身はベルナマ通信):
Malaysia shifts tourism focus to stable markets amid global crunch
政府は、中東からの航空便に影響を及ぼしている世界的な供給危機を受け、観光客数と国家歳入を維持するため、
ASEAN、オーストラリア、インド、東アジア(中国、日本、韓国を含む)といったより安定した市場に重点を
置くことで、観光セクターの強化を目指している。
アクマル・ナスルラ・モハマド・ナシル経済相は、この措置は国家経済行動評議会によって合意されたもの
であり、不確実な世界情勢の中で観光セクターの回復力を確保するためだと述べた。
域内のエアラインの値上げや減便が相次ぐ
東南アジア域内の航空会社の多くは、航空券の値上げと減便を実行している。
とりわけ、バジェット・エアラインは航空燃料の高騰による打撃が大きい。
(今までのところ大きな影響は出ていないようだが、)事態が早期に改善しないと、
海外旅行の交通費が高いと東南アジア域内でも感じられ、旅行客が減りかねない。
The Straits Times の4月6日の記事(KL発AFP電):
AirAsia X to raise fares, cut capacity over Middle East war | The Straits Times
東南アジア最大の格安航空会社エアアジアXは4月6日、イラン戦争の影響を緩和するため、航空券価格の値上げと
線の削減を実施すると発表したが、航空需要は依然として高いと強調した。
マレーシアを拠点とするこの格安航空会社は、これまでに全便の約10%を削減したと述べた。
AIrAsia X の4月24日の発表:
タイ・エアアジアX、航空燃料の高騰に対応しフライト運航の一時的最適化
タイ・エアアジアX(フライトコードXJ)は、現在の世界的な課題に対応するため、必要な戦略的事業再編を
発表しました。
当社は、バンコク・ドンムアン(DMK)と東京(成田)、大阪(関西)、アルマトイ(カザフスタン)(ALA)、
デリー(インド)を結ぶ路線の便数を削減します。
さらに、ドンムアンと上海(PVG)間の便を2026年4月17日から、ドンムアンとリヤド(RUH)間の便を
2026年4月14日から6月30日まで一時的に運休します。
The Nation Thailand の4月17日の記事:
Thai Airways to cut multiple domestic and international flights in May as fuel costs rise
タイ国際航空(THAI)は、燃料費の高騰と閑散期における旅客需要の低迷を理由に、2026年5月より国内線
およびアジア・ヨーロッパ路線の運航頻度を削減する可能性があることを旅行代理店に通知した。
金曜日に発表された通知の中で、同社は代理店と乗客が今回の変更に対応できるよう、いくつかの選択肢を
用意していると述べた。
TRAICY の4月27日の記事:
Cebu Pacific to Cancel 166 Japan–Philippines Flights Between August and September - TRAICY Global
セブパシフィック航空は、8月から9月にかけて、日本路線で合計166便を欠航すると発表しました。
対象となる路線は、東京/成田発マニラ行き、セブ行き、クラーク行き、名古屋/中部発マニラ行き、
大阪/関西発マニラ行き、セブ行き、福岡発マニラ行きの計7路線です。
CNA の3月27日の記事(ハノイ発ロイター電):
Vietnamese airlines to cut flights due to fuel supply constraints - CNA
ベトナム航空(HVN.HM)は、ジェット燃料価格が1バレルあたり160~200ドルまで上昇した
場合、4月1日から国内線7路線を運休し、今後3ヶ月間は毎月10~20%の減便を行う予定だ。
格安航空会社ベトジェットエア(VJC.HM)は、4月に総運航便数を18%削減する計画で、
内訳は国内線が22%、国際線が11%となっている。

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