企業研究|キャピタランド・インベストメント(CapitaLand Investment、SGX:9CI) [更新]
東南アジア株式新聞 2025年6月9日
企業研究|キャピタランド・インベストメント
(CaptaLand Investment、SGX:9CI)
シンガポールの大手不動産投資会社
2000年に、DBSランドとテマセク系のピデムコランドの合併により設立
主な投資分野は、 オフィス、商業施設、住宅、物流施設、データセンターなど
2002年から日本にも進出
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CLI株の1年間(SGX公式アプリより) |
6月9日の発表:
キャピタランド・アスコット・レジデンス・アジア・ファンドIIへの追加出資を確保
同ファンドから、共同投資家と共に、東京の優良複合用途不動産を300億円超で取得
これはCLARA IIにとって3番目の資産であり、日本では2番目の資産です。
最新の資本コミットメントに基づくと、CLIの運用資産は約4億7,000万Sドル増加します。
CLIは、アセットライト戦略の一環として、また資本パートナーとの強固な利益整合を維持するために、
このファンドの株式の約20%を保有しています。
新宿の複合用途物件は、現在、ホテル、住宅に加え、オフィスと商業施設の付帯施設で構成。
ホテルと住宅は、サービスレジデンスへと改修される。
179戸のサービスレジデンスはアスコットが管理します。
この物件は「シタディーン新宿タワー東京」(Citadines Shinjuku Tower Tokyo)
とリブランドされ、2026年後半から段階的に開業予定。
東南アジア株式新聞 2025年5月31日
5月30日の発表:
Global Sustainability Report 2024
4月30日の発表:
2025年第1四半期業績
東南アジア株式新聞 2025年2月27日
2月27日の発表:
キャピタランド・インベストメントの2024年度
総PATMIは前年比165%増の4億7,900万Sドルに増加、配当金は18セントを提案
世界的な不動産投資貸家であるキャピタランド・インベストメント・リミテッド(CLI)は、
2024年度(会計年度)に合計PATMI(税・少数株主持ち分引き後利益)4億7,900万Sドルを記録した。
前年比165%増だった。
営業 PATMIは、2024年度は5億1000万Sドルと前年比やや下がった。
これは主に、CLIが資産の軽量化戦略を継続する中で売却した資産からの貢献がないことが原因である。
グループは、投資撤退から2億3,000万Sドルの純ポートフォリオ利益を計上した。
2024年度の収益は28億1,500万Sドルで、FRB収益は、
4つのFRB(上場ファンド運用、私募ファンド運用、宿泊施設経営、商業管理)すべてからの
収益貢献の増加により、前年比9%増の11億6,900万Sドルとなった。
特に、民間ファンドの運用は10%増加を記録した。
2024年度のEBITDAは14億2,100万シンガポールドルで、前年比29%増加した。
(以下略)
CLIのグループCEO、リー・チー・クーン氏のコメント:
「CLIは2024年度に素晴らしい業績を達成しました。55億Sドルの資産をリサイクルし、
資本効率を向上させました。
当社は引き続き、強固なバランスシートを重要な戦略的資産として活用し、成長を加速させ、
投資を追求する能力を高め、過小評価されている資産を掘り起こし、新しいファンドやREITを立ち上げ、
事業を補完し、大きな価値を付加するためM&Aを通じて新しいプラットフォームを獲得する。
中国資産のリサイクルをさらに進め、国内外の投資家向けに魅力的な製品を開発することにより
中国でファンドの資産の軽量化を推進することができると、私は確信しています。
現在、CLIはオーガニックおよび非オーガニックな成長を追求する上で有利な立場にあります。
戦略的プラットフォーム買収を通じて人材をさらに強化し、新たな上級管理職の採用します。
2,000億Sドルの目標達成に向けて順調に進んでいます
2028年度までにFUM(運用残高)を 2,000億Sドルにする目標達成に向けて順調に進んでおり、
適切なパートナーシップとともにファンド運用能力を強化し続けます」
日本でのデータセンター第一号のため大阪に土地を取得
2月4日のニュースリリース:
キャピタランド・インベストメント、グローバル・データセンター投資を拡大
日本でのデータセンター第一号案件
世界有数の不動産資産運用会社であるキャピタランド・インベストメント・リミテッド(CLI)は、
日本で最初のデータセンターを開発するために大阪で土地を取得しました。
総投資額は 7億ドル(9億4,430万Sドル)超。
このプロジェクトでは50メガワット(MW)の電力容量も確保されている。
この投資は、CLI の強力なグローバル マルチアセット クラス ネットワークと取引調達能力を証明するものだ。
この最新の買収により、2021年以降のCLIのグローバル・ポートフォリオは23になりました。
キャピタランド・グループは、アジアとヨーロッパに27のデータセンターを所有しており、
完成ベースで約800MWの電力と約60億Sドルの資産を運用している。
この件、日本経済新聞が記事にした:
キャピタランド、大阪でデータセンター 1000億円投資 - 日本経済新聞
第3四半期ビジネス・アップデートのプレゼン資料(11月6日発表):
https://ir.capitalandinvest.com/newsroom/20241106_065838_9CI_A91YXF6JRCPG1PE1.1.pdf
11月5日のニュースリリース:
キャピタランド・インベストメント、商船三井から2億6,100万Sドルを調達、
CLI、2024年上半期は手数料収入関連収益が8%増
8月14日のニュースリリース:
CapitaLand Investment posts 8% growth in Fee-income related revenue(キャピタランド・インベストメント、手数料収入関連収益が8%増)
副題:Continues asset-light transition, unlocking S$1.7 billion of capital recycling to redeploy for growth(資産削減を継続し、成長のために再配分する17億シンガポールドルの資本リサイクルを実現)
キャピタランド・インベストメント・リミテッド(CLI)は、
プライベートファンド、宿泊施設、商業施設の管理事業の牽引により、
手数料収入関連事業(FRB)が2024年上半期も引き続き強化されたと発表した。
CLIの手数料収入関連収益は前年比8%増、FRBの営業PATMI(Profit after tax and minority interest)への貢献は
前年同期の49%から63%に増加した。
グループはまた、資産削減移行および分散戦略において大きな進歩を遂げ、
成長のために再配分される資本のリサイクル 17億Sドルを実現した。
CLIは2024年上半期に総PATMI3億3,100万Sドル、営業PATMI2億9,600万Sドルを計上した。
ポートフォリオの利益は3,500万Sドルだった。
利益(PATAMI)は、2023年上半期に3億5,100万Sドルだったので、前年同期比 6%減となった。
しかし、不動産投資よりも物件・ファンドの管理手数料を重視するCLIとしては、FRBが増加したことを強調している。
CLIの戦略は企業経営の安定性という意味では正しいかもしれない。
不動産投資が主だと当たりはずれがあるが、手数料を主にすると収益予想がしやすくなる。
だが、株価の推移を見る限り、利益の成長や保有資産の価値を重視する株主から評価されるのにはまだ時間がかかりそうだ。
東南アジア株式新聞 2024年7月15日
キャピタランド・インベストメント(CLI)、管理報酬ビジネス重視へ転換中
シンガポールの大手不動産会社 キャピタランドは、2021年から投資・資産運用部門のキャピタランド・インベストメント(CLI)と不動産開発部門のキャピタランド・デベロップメント(CLD)に分離して、それぞれ専門特化した会社となった。
CLIは、上場REIT(不動産投資信託)を含めて、投資と資産運用に特化した不動産投資会社だ。
CLI、キャピタランド・インベストメント(CaptaLand Investment Limited、SGX:9CI)が4月26日発表した『1Q 2024 Business Updates』によると、第1四半期(予想値)の総収益は6.5億Sドルで前年同期比とほぼ同じだが、手数料(管理報酬)収入関連事業(FRB)の収益は2.74億Sドルと前年同期比7%増だった。
REITなど不動産ファンドや不動産物件の管理報酬・手数料を伸ばす成長戦略を着実に実践している。
7月15日にCLIは、新しい資金調達を発表した。(以下、CLIのプレスリリースより)
CapitaLand Investment raises RMB1 billion from the second tranche of its sustainability-linked panda bond
(キャピタランド・インベストメントは、サステナビリティ連動型パンダ債の第2トランシェで10億人民元を調達)
キャピタランド・インベストメント・リミテッド(CLI)は、
初のサステナビリティ連動型パンダ債の第2トランシェから10億人民元(約1億8,600万Sドル)を調達し、
調達総額は20億人民元(約3億7,200万Sドル)となった。
発行された第2トランシェと最終トランシェは、機関投資家から強い関心を集め、申込書は2.64倍に上った。
パンダ債は、年率2.8%の固定クーポンレートで発行された。
これは、私募で発行された3年満期のパンダ債の中では過去最低のクーポンレートであり、
CLIの資金調達コストの引き下げに貢献する。
CLIのパンダ債は、シンガポール企業が中国で発行した初のサステナビリティ連動型債券である。
CLIは以前、2024年3月に第1トランシェから年率3.5%の固定クーポンレートで10億人民元を調達した。
パンダ債の各トランシェの満期は3年。
CLIは、パンダ債の純収益を既存の借入金の借り換えに使用する。
パンダ債を含め、CLIの持続可能な資金調達総額は2018年以来180億Sドルに達している。
少し説明する。
パンダ債は、中国国外の発行体が中国で発行する人民元建て債券のこと。
サステナビリティ連動型債券は、発行体にサステナビリティ目標の達成を課すことで、やや低金利での資金調達を可能にした債券。
トランシェ(Tranche)は、原資産を区分したもの。通常は優先劣後(返済順位が上位で低金利、下位で高金利)で区分する。だが、上記記事から分かる通り、今回のCLI債券は単純な優先劣後ではない。第1トランシェ金利が3.5%、第2が2.8%。第1のときはサステナビリティ連動型でなかったため、金利が高めとなっている、ということのようだ。
10億人民元(約1億8,600万Sドル)は、日本円で約219億円。
第1トランシェ分を合わせると20億人民元、すなわち、約438億円。
CLIはこれらを「既存の借入金の借り換えに使用する」と言っている。
プレスリリースに記載の CLI(チャイナ)CEO、プア・ツェ・シャン氏のコメント:
「当社の最初のパンダ債に対する需要は引き続き堅調で、
CLIの長期的な競争力と強力な実行能力に対する投資家の信頼を裏付けています。
今回の発行の成功により、当社のChina for China戦略に沿って、中国での資金調達アクセスが深まりました。
また、責任ある成長を追求し続ける中で、CLIの資本の源と持続可能性の目標が一致しています。
低コストの人民元資本を活用することで、為替変動を緩和し、当社の規律ある資本管理をさらに実証することができます。」
CLIからの別の話題を1つ。
アジア太平洋のデータセンター投資戦略、新興国ではインドとジョホールに注目
CLIは7月4日にリサーチペーパー『APAC Data Centre Investment Strategies in the Age of Digitalisation』(デジタル化時代のアジア太平洋データセンター投資戦略)を発表した。
エグゼクティブサマリーからの抜粋:
データの使用と管理の規模における革命は、基本的には世界的な現象だが、
アジア太平洋 (APAC) 市場ほど急速に展開している地域はない。
地域経済はより低い基盤からより速く成長しているだけでなく、
デジタル化されたビジネスとテクノロジーの採用に対する文化的親和性も持っている。
さらに、この地域にはさまざまな規制管轄区域があるため、データユーザーは西側諸国と比較して、
多くの国の固有データ保護ポリシーに準拠する必要があり、データの現地特化が進む傾向にあります。
これらの要因が相まって、新興地域の資産クラスとして、
データ センターへの初期段階の投資という新たな機会が生まれています。
アジア太平洋地域では、専用 DC とコロケーション(施設共有) DC の両方に対する需要が同様に強い。
シンガポール、東京、大阪、ソウル、シドニーは新しい DC の主要市場として認識されており、
インドの主要都市であるムンバイ、バンガロール、チェンナイも、
デジタル サービス セクターの成長、強力な政府支援、長期的経済見通しの堅調さにより有望視されています。
さらに、有望市場についての記述を見て行くと、新興国では中国・インドの大都市とマレーシアのジョホールを挙げている。
将来の成長が見込まれる主要な先進市場
独自の複数基準意思決定分析により、アジア太平洋地域の主要市場のうち、
シンガポール、東京、大阪、ソウル、シドニーを最も有望な目的地として特定した。
共通の特徴として、堅いマクロ経済およびビジネス環境、高度なデジタルリテラシー、
世界クラスのインフラストラクチャの利用可能性、新しい DC 容量に対する健全な需給状況などが挙げられる。
(中略)
インドでは、ムンバイとバンガロールも新興市場に分類されているが、
いくつかの理由から、上記の分析では地域の他の市場を決定的に上回っている。
まず、これらの都市の経済は低い基盤から大きく成長する可能性があり(中国からの資本移動の増加も一因)、
さらに、国内の企業や消費者によるデジタル技術の急速な導入が見られるためだ。
この記述に付いている図表には、以下の10都市が有望市場として挙げられている。
先進国市場のトップ5として、東京、大阪、ソウル、シンガポール、シドニー。
新興国市場のトップ5として、北京、上海、ムンバイ、バンガロール、ジョホール。
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