インドネシア新首都ヌサンタラ建設 5兆円プロジェクトの先行きに不透明感?[更新]

インドネシア新首都ヌサンタラ(Nusantara)建設 5兆円プロジェクトの先行きに不透明感?[更新]


東南アジア株式新聞 2024年8月13日

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インドネシア大統領、建設中の新首都ヌサンタラのPR攻勢強める 


ジョコ・ウィドド大統領は最近、自身が新首都と定めて建設中のヌサンタラのPR攻勢を強めている。

7月29日にヌサンタラの大統領府で初の政務を行い、新しい政治の中心がその地となることアピールした。

8月前半は、Xのジョコ氏自身のアカウントで新しい街への投資が増えている宣伝を繰り返している。

8月17日には独立記念の式典を新都市で開催する。その後は公務員の移住も予定されている。

だが、いまだ、法令上いつ新首都となるかは明らかにされていない。



インドネシア国営アンタラ通信(英語版)の8月13日(火)の記事:

Nusantara construction to complete in 10-15 years: President(ヌサンタラ建設は10~15年後に完成する:大統領)


ジョコ・ウィドド大統領(ジョコウィ)は、東カリマンタン州にあるインドネシアの新首都ヌサンタラの建設が約10~15年で完了すると予測している。

「まだ長い時間がかかります。2021~2022年に着工された建設プロジェクトは、今後約10~15年で完成する予定です」と、大統領は火曜日、東カリマンタン州ヌサンタラ州宮殿で地方長官に指示を与えながら述べた。

彼は、これまでのところヌサンタラの建設は20%にしか達していないことを強調した。

(中略)

これに先立ち、月曜日(8月12日)のヌサンタラでの閣議で、ジョコウィ大統領は新首都への投資が56.2兆ルピア(約35億4000万ドル)に達したと述べた。

同氏は、ヌサンタラでの建設着工には、教育部門の投資家6名、医療部門の投資家3名、小売・物流部門の投資家10名を含む55名の投資家が参加したと指摘した。



同じ13日のXへの投稿文:


私は、IKN はインドネシアの将来のビジョンに沿った都市を建設する国家の能力の象徴であると地方首長に強調しました。

IKN は新しい政府の中心地であるだけでなく、森林都市、つまり緑豊かな環境が支配的な都市というコンセプトを持つ未来都市の例でもあります。IKN は、現代のテクノロジーに支えられたスマート シティであり、快適で健康的に暮らせる住みやすい都市として設計されています。

私は地方首長に、このコンセプトを地域開発に適用するよう奨励しています。慎重に計画され、実行される開発は、コミュニティに利益をもたらします。

現在、55 人の投資家がさまざまな分野で IKN プロジェクトの開発に関与しており、今後も成長を続けるでしょう。私は地方首長に、開発の利益がインドネシア全土で感じられるよう、投資プロセスを促進するよう呼びかけています。

   
IKNはインドネシアの未来都市(ジョコ大統領の2024年8月13日のX投稿)
IKNはインドネシアの未来都市(ジョコ大統領の8月13日のX投稿)

IKNは、Ibu Kota Negara(母なる、都市、国の、=首都)のこと。


12日には同じアカウントで、PTインティランドの高級ホテルやゴルフ・リゾート、バンク・セントラル・アジア(BCA)IKN支店、コンベンション・センターの建設式典に出席した模様を一つずつ写真入りで紹介する投稿をした。


建設の遅れは措くとしても、このまま新首都計画は進むのだろうか?

カギを握るのは10月に新大統領となるプラボウォ氏だ。


タイの Bangkok Post が8月12日に、ブルームバーグ電を使って、以下の記事を掲載した。 

Prabowo commits to continue building Indonesia’s new capital(プラボウォ氏、インドネシアの新首都建設継続を約束)


インドネシアのプラボウォ・スビアント次期大統領は、新首都建設を「継続し、可能であれば完成させる」と約束し、新大統領が前任者の数十億ドル規模のプロジェクトを放棄して自らの政策課題を追求するかどうかという不確実性を払拭した。

10月に同国第8代大統領に就任するプラボウォ氏は、新首都が4~5年で「機能的に稼働する」と予測していると、ヌサンタラと呼ばれる新首都を訪問した際に月曜日に記者団に語った。

プラボウォ氏と現職のジョコ・ウィドド大統領は、8月17日に同地で開催される予定の独立記念日の祝賀行事を前に、新首都を視察している。一部の政治評論家や経済学者は、プラボウォ氏が福祉政策に資金を配分することに重点を置くことから、新首都建設プロジェクトを継続するかどうか疑問視している。


同じ趣旨の記事をマレーシアの The Star なども掲載しており、次期大統領が新首都建設を引き継ぐ意思を示したと見てよいようだ。



東南アジア株式新聞 2024年6月6日


ジョコ現大統領は前進を強調するけれど

インドネシアの新首都ヌサンタラ建設計画の先行きに不透明感を指摘する声が出ている。

10月に大統領交代が予定されているが、新大統領が建設費5兆円を超える巨大プロジェクトをそのまま継続するか疑問視されているのだ。

ジョコ・ウィドド現大統領は6月4日に現地セレモニーに出席し、計画前進をアピールしたが、不安を払拭するまでには至っていない。



新首都計画の先行きに対する疑問を声高に語っているのは海外のメディアだ。


香港 South China Morning Post の6月4日の記事:

Future of Indonesia’s new capital Nusantara uncertain after top officials quit 2 months before inauguration

(インドネシアの新首都ヌサンタラの未来が不透明に、開所式2カ月前に首都事務所の高官2人が辞任したことで)


<インドネシアの300億ドル規模の首都移転プロジェクトをめぐっては、ジョコ・ウィドド大統領が新都市ヌサンタラの開所式を予定するわずか2カ月前に、移転を監督する2人の高官が辞任したことで新たな不確実性が浮上している。

この辞任により、遅延や投資不足に悩まされてきたヌサンタラに対する既存の疑念がさらに強まった。

アナリストらは、経済的実現可能性に疑問がある「政治的に推進されている」とみられるこのプロジェクトは、任期満了前にウィドド大統領の遺産を確保するために急がれたのではないかと示唆している。>


記事の中で、トリシア・ウィジャヤ氏(立命館大学上級研究員)がコメントしている。

<過去数カ月間、プラボウォ氏は国際舞台で非常に活発に活動してきましたが、新首都やこのプロジェクトをどう継続していくかについてはほとんど言及していません。>

ジョコ大統領は計画継続についての不安が広がるのを防ぐため、4日に現地を訪問してメディアに「建設進展」をアピールした。


マレーシアの The Star の6月4日の記事:

Jokowi says Indonesia’s new capital city is on track despite project leadership resignation

(ジョコ大統領、計画責任者の辞任にも関わらず、新首都は計画通りと語る)

<ジョコ・ウィドド大統領は東カリマンタンを訪問し、同国で計画されている新首都は順調に進んでいると国民に安心させた。これは、同プロジェクトを監督する機関のリーダーが辞任したという衝撃的な発表のわずか翌日のことである。

火曜日(6月4日)、ウィドド大統領は、新首都ヌサンタラに最も近い寄港地であるバリクパパン市でのイベントで、新都市が現在も「開発過程」にあり、「世界で最も環境に優しい首都」になることを強調した>

日本でもニュースになった

海外メディアが騒ぐのには理由がある。

新首都建設計画では、インドネシア政府がインフラを整備するが、大半の都市(オフィス、商業施設、住居など)建設には国内外の投資を呼び込むことになっているからだ。


日本でもニュースになった。

NHK 6月5日の記事:

インドネシア 首都移転先の建設予定地で式典 投資拡大呼びかけ


この記事では<インドネシア政府によりますと、新首都の総工費は日本円にしておよそ5兆1700億円で、このうち8割を国内外からの投資などでまかなう計画です。>とも言っている。


以下、Geminiにヌサンタラ建設計画について概要と関連するビジネスについてまとめてもらった。ビジネスについてはGeminiは情報源を特定していないので、現地情報をいろいろ集めたのだろう。


以下は、ヌサンタラプロジェクトの具体的なスケジュールです。


予定

2024年

大統領官邸、議会棟などの建設開始

2025年

政府機関の移転開始

2026年

住宅、商業施設、教育機関などの建設本格化

2027年

スマートシティ関連技術の導入開始

2028年

産業団地の開発開始

2030年

政府機関の移転完了

2035年

ヌサンタラの人口100万人突破

2040年

ヌサンタラがインドネシアの中心地となる

2045年

ヌサンタラ新首都建設完了



ヌサンタラプロジェクトは、インドネシア政府が推進する大規模な都市開発プロジェクトであり、建設、インフラ整備、スマートシティ関連技術導入など、様々な分野で多くの企業が参画する可能性があります。

以下は、ヌサンタラプロジェクトで儲かる可能性が高い企業の例です。

1. 建設・インフラ関連企業

  • ヌサンタラの建設には、大規模なインフラ整備が必要となります。道路、橋、鉄道、港湾、空港などの建設プロジェクトに参画できる企業は大きな利益を得られる可能性があります。

  • 具体的には、以下のような企業が挙げられます。

  • 建設会社: ウィスカコ、アディ・カルヤ、ウィジャヤ・コーポレーションなど

  • インフラ事業会社: PT. Wijaya Karya (Persero) Tbk、PT. Waskita Karya (Persero) Tbk、PT. Adhi Karya (Persero) Tbkなど

2. スマートシティ関連技術企業

  • ヌサンタラは、スマートシティとして建設される予定であり、様々なスマート技術が導入されます。AI、IoT、ビッグデータ分析、サイバーセキュリティなどの分野で技術力を持つ企業は、ヌサンタラプロジェクトで大きな役割を果たす可能性があります。

  • 具体的には、以下のような企業が挙げられます。

  • IT企業: テルコムセル、インドサット、マルチプルテクノロジーズなど

  • スマートシティ関連企業: PT. Metranet, PT. Semeru Digital Indonesia, PT. Solusi Integrasi Informatikaなど

3. その他

  • ヌサンタラには、住宅、商業施設、教育機関、医療機関などの建設も予定されています。これらの分野で事業を展開する企業も、ヌサンタラプロジェクトから利益を得られる可能性があります。

  • 具体的には、以下のような企業が挙げられます。

  • 不動産会社: シムラ・ランド、プトリ・アドヒ・カルヤ・リアルティ、シナル・マジュスティなど

  • 商業施設運営会社: マライア・グループ、リップポ・モール・インドネシア、セントラル・パークなど

ヌサンタラプロジェクトは、インドネシア経済にとって大きなチャンスであり、多くの企業にとって大きな利益をもたらす可能性があります。

ただし、ヌサンタラプロジェクトは非常に大規模なプロジェクトであり、様々なリスクも伴います。 政治情勢の変化、経済情勢の悪化、技術的な問題など、様々なリスクを考慮した上で、慎重に参画を検討する必要があります。



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