企業研究|インソン・ホールィングス (Yinson Hodings Bhd、Bursa:7293)
東南アジア株式新聞 2025年6月10日
企業研究|インソン・ホールィングス
(Yinson Hodings Bhd、Bursa:7293)
マレーシアのエネルギー関連の装置・ソリューション提供会社
1984年にジョホールバルで運送業者として設立
1996年にマレーシア証券取引所(Bursa Malaysia)上場
2011年にPTSC Vietnam と合弁でオフショア・プロダクションに進出
2022年、マレーシア最大のEV用充電ネットワークを運営開始
主要 3 事業
Yinson Production:浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)運営
Yinson Renewable:再生可能エネルギー製造
Yinson Green Tech:グリーン技術開発
![]() |
インソン株の1年間(Bursa公式サイトより) |
PEファンドと協議か?インソンは独占交渉を否定
The Edge Malaysia の6月6日(金)の記事(中身はブルームバーグ電):
ストーンピーク、インソン買収を21億ドルで独占交渉中
ストーンピーク・パートナーズは、インソン・ホールディングス(KL:YINSON)の買収に向けて
独占交渉を行っている。
事情に詳しい関係者によると、買収額は最大90億リンギット(21億米ドル)に達する可能性があり、
これは今年マレーシアで最大級の取引の一つとなる可能性がある。
ニューヨークに拠点を置くストーンピークは、
クアラルンプール市場に上場するエネルギーインフラ企業インソンの創業者であり筆頭株主でもあるリム家と
提携し、非公開化を図る予定だと、関係者は非公開協議のため匿名を条件に語った。
リム家は5月30日時点でインソンの株式26.6%を保有していた。
関係者によると、現在も協議は継続中で、合意に至る確証はないという。
Stonepeak Partners は、PE・インフラ投資のファンド会社。
インソン大株主・経営者のリム家はファンドと組んでMBO(マネジメント・バイアウト)
による非公開化を図ろうとしている、とブルームバーグ記事は言っている。
週明けにインソンは以下の発表をした。
The Edge Malaysia の6月9日(月)の記事:
インソン、買収協議を否定、複数の株主と予備的協議と主張
Yinson Holdings Bhd(KL:YINSON)は月曜日、ニューヨークに拠点を置くインフラ投資会社
Stonepeak Partnersと独占交渉中との報道を受け、買収に関していかなる第三者とも協議を行っていない
と発表した。
しかし、グループ執行会長のLim Han Weng氏によると、
グループの主要株主はYinsonの株式保有に関する潜在的な企業提案について、
複数の関係者と予備的な協議を行っているという。
「しかしながら、協議はまだ調査段階にあるため、
現時点では、協議がインソンを巻き込んだ企業提案につながるという決定的な兆候はない」と、
同グループは証券取引所への提出書類で述べ、状況が変わった場合には必要な発表を行うと付け加えた。
国営エネルギー開発会社のペトロナスが合理化計画を打ち出すなど、
マレーシアの石油・ガス産業界は厳しい環境にある。
インソンも生き残りのために手を尽くしているのだろう。
その中で、MBOによる非公開化も一案となっている、とみられる。
2025年に入ってからの発表を見ても、インソンが成長のために奮闘している様子は覗える。
2025年1月14日の発表:
インソン・プロダクション、国際投資会社のコンソーシアムから10億ドルの投資を確保
Yinsonのオフショア装置部門Yinson Productionは、アブダビ投資庁(ADIA)の完全子会社である
Platinum Lily B 2024 RSC Limited(Platinum)、
ブリティッシュ・コロンビア投資管理公社(BCI)が運用するファンド、
RRJ Group(RRJ)で構成される投資家コンソーシアムと、
10億米ドルの償還可能転換優先株(RCPS)および10%ワラントを、
資金調達後の評価額37億米ドルで発行する正式契約を締結しました。
この契約では、合意に基づき、取引完了から24ヶ月以内に
最大5億米ドルの追加RCPSを発行するオプションが付与されています。
この取引による収益は主にYinson Productionのさらなる成長を支援するために使用され、
2億米ドルはグループの再生可能エネルギーおよびグリーンテクノロジー事業のさらなる拡大、
およびYinson Holdings Berhadの株主への配当に使用されます。
2月3日の発表:
インソン、LFGへのオフショア海洋事業売却を完了
Yinsonは、2025年1月31日、オフショア事業であるRegulus Offshoreの
Lianson Fleet Group Bhd(LFG、旧ICON Offshore)への売却を完了しました。
このタイムリーな企業取引は、
FPSOおよびエネルギー転換事業に注力するという当社の戦略方針に合致しています。
この取引は、2024年8月30日に締結された拘束力のある契約書に基づき、
2025年1月27日に開催されたLFGの臨時株主総会(EGM)において承認されました。
1億6,000万リンギット相当のこの取引は、LFGによる1株当たりRM0.88の発行価格での
新普通株式の発行によって完了しました。
この取引により、YinsonはLFGの少数株式と取締役のポストを獲得し、
LFGの将来の成長に貢献することが可能になります。
2月19日の発表:
Yinson Production、Stella Maris CCSの買収を完了、炭素回収・貯留エコシステムを拡大
Yinson Productionは、Altera InfrastructureからStella Maris CCS AS(Stella Maris)の
株式100%の買収を完了しました。
Stella Marisは、ノルウェーに拠点を置く炭素回収・貯留(CCS)企業であり、
産業起源CO2の回収、中間貯留、沖合輸送、恒久的な貯留を含むCCSバリューチェーン全体を
展開しています。
Stella Marisは、ノルウェー大陸棚のHavstjerne貯留層の40%の権益を保有しています。
Harbour Energyとの提携により開発されたHavstjerne CO2圧入・貯留プロジェクトは、
Stella Marisの事業活動の基盤であり、広範な地震データと貯留層調査によって
技術的な実現可能性が検証されています。
2025年度(2025年1月31日締め)業績
3月28日の発表:
2025年度年次統合報告書の年度業績の説明部分:
グループの売上高は、2024年度と比較して2025年度は35%減少、
116億リンギットから76億リンギットとなりました。
この減少は主に、建設の進捗を反映したEPCIC活動からの貢献度の減少によるものです。
FPSO Maria QuitériaとFPSO Atlantaはそれぞれ2024年10月15日と2024年12月31日に原油生産を達成し、
Agogo FPSOは完成間近です。
AFPS B.V.買収のためのコールオプション行使による一時的な影響(2024年度に計上)がなくなったことも、
売上高にさらなる影響を与えました。
EPCIC活動からの貢献度の減少は、稼働中のFPSOからの貢献度の増加によって一部相殺されました。
具体的には、以下の通りです。
• FPSO Anna Neryからの貢献度は、前年度の9か月間に対し、当会計年度は1年間でした。
• FPSO Maria QuitériaおよびFPSO Atlantaの操業開始に伴い、新たな貢献度が計上されました。
• FPSO Abigail-Josephのリース延長により収益が計上されました。
• FPSO Anna NeryおよびFPSO Maria Quitériaのチャーター日額料金が、
チャーター契約に定められた発効日から年間で上昇しました。
EPCICは、設計・資材調達・建造・据付・試運転の略。
コメント
コメントを投稿