シンガポール港でコンテナ船大渋滞、2024年[更新]
東南アジア株式新聞 2025年3月23日
シンガポール港でコンテナ船大渋滞、2024年[更新]
この記事には意外に長く読者がいらっしゃるので、情報を更新しておく。
以下のThe Straits Timesの記事に、2024年半ばの紅海危機によって生じた港湾混雑について、シンガポールの港湾当局MPAの対応が書かれている。
MPAは港湾運営業者PSAシンガポールおよび労働組合と協力し、トゥアス港に新しいバースを設置し、ケッペルターミナルのバースとヤードスペースを再活性化することで問題に対処した。さらに、港湾の労働力を増やし、船舶およびフィーダーライン(小規模港から大規模港へ商品を輸送)と協力して運行スケジュールを最適化し、パシルパンジャンターミナルとの間のコンテナ船の夜間曳航を初めて許可した。
いつの時点で混雑が解消した、という情報はないが、MPAの予想では、2025 年には、「貿易ルートの変更が一部行われ、コンテナ船やタンカーなどの主要な海運部門がパンデミック前の年よりも好調に推移する」とのことだ。
The Straits Times の2025年1月16日の記事:
シンガポールの港、2024年に船舶の入港数と海上コンテナ取扱量で新記録を樹立
シンガポールの港は、2024年に入港する船舶交通量が31億1000万総トンという新記録を記録した。これは、これまでの最高記録である2023年の30億9000万総トンを上回る。
年間船舶入港トン数(エンジンルームと非貨物スペースを含む、1年間に到着するすべての船舶の内部容積)は、港に寄港する船舶交通量を測る海事業界の一般的な指標である。
シンガポールの港は2024年に4112万個の海上コンテナ、つまり20フィートコンテナ換算単位(TEU)を取り扱い過去最高を記録したと、シンガポール海事港湾庁(MPA)が1月15日に発表した。2024年の記録は、2023年の3901万TEUというこれまでの記録を上回った。
MPAは、毎年恒例の海事業界イベントであるシンガポール海事財団(SMF)新年会でこれらの数字を発表した。
東南アジア株式新聞 2024年7月12日
シンガポール港、コンテナ船大渋滞、影響はどこまで?いつまで?
近頃、シンガポール港のコンテナ船大渋滞のニュースをよく見る。
シンガポールだけでなく、マレーシア首都クアラルンプールの外港であるポート・クランも大混雑だという。
いろんな物資を運ぶ輸送船がフーシ派の攻撃が続く紅海を避けて船のルートを変更するケースが増えた。その結果、世界中の海上交通に混乱をもたらしており、アジアの物流の要であるマラッカ海峡でも混雑を引き起こしている、という構図だ。
すでに商品流通の遅延だけでなく、コンテナ輸送の運賃値上がりも生じている。
コンテナ大渋滞が長引けば、コロナ禍以来再び、サプライチェーンが景気の足を引っ張る可能性もある。要注目だ。
Malay Mail の7月10日の記事:
Container ship congestion spreads from Singapore to Port Klang
(コンテナ船の混雑がシンガポールからポートクランまで広がる)
シンガポールの活気ある港でのコンテナ船の混雑がポート・クランにまで広がり、地域のサプライチェーンに重大な影響を及ぼし、生活必需品の移動に大幅な遅れが生じている。
現在、ポートクランには約20隻のコンテナ船が密集して停泊している。ポート・クランはシンガポール同様、ヨーロッパと中東を東アジアと結ぶ重要な海上ルートであるマラッカ海峡沿いに戦略的に位置しているとブルームバーグは報じている。
この海上渋滞は、イスラエルとの戦争でハマスを支援するフーシ派反政府勢力の攻撃により、船舶がスエズ運河と紅海を避けているため、最近の安全保障上の脅威によって引き起こされている。
アジアに向かう多くの船舶は、アフリカ南端を回る長い航路を選択している。つまり、中東で燃料補給や貨物の荷降ろしができないのだ。
この記事では、業界アナリストの言葉として、「これらの重要な輸送拠点の混雑が8月中続く可能性がある」と書いている。
マラッカ海峡の大混雑は、少し前から観察されていた。
6月26日のロイター通信:
Singapore port congestion shows global ripple impact of Red Sea attacks
(シンガポールの港湾混雑は紅海攻撃の世界的な波及効果を示している)
シンガポールのコンテナ港の混雑は、COVID-19パンデミック以来最悪であり、紅海での攻撃を避けるための長期にわたる船舶のルート変更が世界の海上輸送を混乱させていることの兆候であり、他のアジアやヨーロッパの港でもボトルネックが発生している。
小売業者、製造業者、および大型コンテナ船に依存するその他の業界は、多くの消費者志向の企業が年末のショッピングシーズンのピークに向けて在庫を積み上げようとしているにもかかわらず、再び料金の高騰、港湾の混雑、空のコンテナの不足に悩まされている。
ロイター記事では、海事データ会社ライナーリティカのデータとして、「世界の港湾混雑は18カ月ぶりの高水準に達し、停泊中の船舶の60%がアジアに停泊している」と書いている。
また、6月中旬の時点で、240万TEU(20フィートコンテナ換算単位)を超える総積載量の船舶が停泊地で待機している、とも。
さらに、「シンガポール海事港湾庁(MPA)は5月末、コンテナ船の停泊までの平均待ち時間は2~3日だと発表し、コンテナ追跡業者のライナーリティカとポートキャストは、遅延は最大1週間続く可能性があると述べた」とも書いている。
シンガポール港は世界有数のハイテク港湾施設を備え、コンテナの積み降ろしがスムーズであることに定評がある。
にもかかわらず、シンガポール港が混乱しているのは、発注業者と輸送業者がそこでコンテナを積み替える動きを活発化しているからだ。別の船や航空輸送へと。
荷物の発注者・輸送業者は、スエズ運河・紅海を避け、アフリカ大陸周りに航路を変更した船の遅延をなんとか挽回しようと、輸送ルートや輸送手段を変更し、輸送日数の長期化をできるだけ抑えようとする。
しかし、多くのプレーヤーが同じことを考えると、シンガポール港のようなハブが混雑する。
そして、ポート・クランのような別の港を選ばざるを得ないコンテナ船も増える、という現象だ。
シンガポール港大渋滞の余波はいろんなところに及んでいる。
7月9日のCNAの記事:
Air freight rates in Singapore set to continue rising amid worldwide port congestion
(世界的な港湾混雑により、シンガポールの航空貨物運賃は引き続き上昇する見込み)
シンガポールを含む世界中の港の混雑により、一部の企業は、商品を時間通りに熱心な顧客に届けるために海上輸送から航空輸送に切り替えるよう促されている。
物流業者はCNAに対し、切り替える地元企業が約20%増加していると語った。しかし、それには代償も伴う。これらの企業は、今年初めと比べて航空輸送に最大50%多く支払っているのだ。
今後2か月間、貨物機は満員のため、業界関係者は航空貨物運賃が引き続き上昇すると予想している。これは、特に配送ピークシーズンが近づくにつれて顕著になる。
このCNA記事によると、航空貨物の需要は伸びたが、航空貨物の供給はあまり伸びていないと言っている。
「国際航空運送協会によると、アジア太平洋地域の航空貨物需要は5月に前年比約20%増加した。しかし、航空容量の供給はわずか9%にとどまっている。」
また、航空需要の高まり・運賃高騰は、生鮮食料品など船では間に合わない業界に打撃となっているそうだ。
(9月8日追加)
The Straits Timesの9月4日の記事:
Singapore permits night movement of container barges at Pasir Panjang Terminal | The Straits Times
シンガポール、パシル・パンジャン・ターミナルでコンテナ船の夜間移動を許可
パシル・パンジャン・ターミナル(PPT)は、日没後にコンテナ船を曳航できるようになった。これは、貨物処理の速度と容量を増やすことが目的だ。
以前は、平均300TEU(20フィート換算単位)を積載できるロープ曳航コンテナ船の夜間移動は、PPT周辺よりも航行交通が複雑でないブラニ・ターミナルとケッペル・ターミナルでのみ許可されていた、とシンガポール海事港湾庁(MPA)は9月4日に発表した。
(中略)
PPTでの夜間曳航は、トゥアス港での新しいバースの稼働開始、ケッペルターミナルでのバースとヤードスペースの再活性化、人員増強、船舶およびフィーダーラインとの作業スケジュールに関する協力など、MPAとPSAが実施している他の対策に追加される。
(中略)
世界第2位のコンテナ港であるシンガポールは、2024年1月から7月までに2,382万TEUのコンテナを取り扱っており、2023年の同時期より6.1%増加している。
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