ラピダスと提携したシンガポール企業 クエスト・グローバルとは?
東南アジア株式新聞 2025年3月26日
ラピダスと提携したシンガポール企業 クエスト・グローバルとは?
日本経済新聞の3月25日の記事:
ラピダス、半導体設計支援のクエスト・グローバルと提携 顧客開拓に弾み - 日本経済新聞
最先端半導体の量産を目指すラピダスは25日、半導体の設計受託や人材派遣を手掛けるシンガポール企業、クエスト・グローバルと提携したと発表した。同社は航空や防衛、自動車分野などで多くの顧客を抱えており、半導体設計や製造委託先の選定も支援する。ラピダスはクエストとの提携で顧客確保に弾みをつけたい考えだ。
日本政府が強力に支援している半導体メーカーのラピダスが、シンガポールの「クエスト・グローバル」という会社と提携するという話だ。
ラピダスは、クエスト・グローバルから半導体設計の支援を受けるという。
クエスト・グローバルとは何者なのか?
ラピダスの3月25日の発表文:
Rapidus が AI チップ時代に向けた高度な 2nm ソリューションを実現するため Quest Global との戦略的提携を発表
先端ロジック半導体メーカーの Rapidus Corporation は本日、Quest Global Services PTE. Ltd. と協力覚書を締結したことを発表しました。契約の一環として、Rapidus は Quest Global の新しい半導体ファウンドリ・パートナーとなり、同社が顧客に幅広いソリューションを提供できるようになります。Quest Global の顧客は Rapidus の 2nm ゲート・オール・アラウンド (GAA) 製造プロセスを活用して、低電力人工知能 (AI) 半導体に対する業界の需要の高まりをサポートするエンジニアリング設計および製造ソリューションを開発できるようになります。両社は協力して、ファブレス企業向けの仮想統合デバイス製造業者 (IDM) モデルとして、革新的なシリコン・ソリューションを提供します。
発表分に、クエスト・グローバルの紹介文も付いていた。
Quest Global について
Quest Global では、何をするかだけでなく、どのように、なぜ行うかが他社との違いです。当社はエンジニアリング事業に携わっていますが、実際に創り出しているのはより明るい未来です。25 年以上にわたり、世界で最も複雑なエンジニアリングの問題を解決してきました。20 か国以上で事業を展開し、85 を超えるグローバル・デリバリー・センターを擁する当社の 20,000 人以上の好奇心旺盛な人材は、不可能を可能にするために、異なるやり方で物事を行う力を受け入れています。多次元アプローチを使用して、テクノロジー、業界の専門知識、多様な才能を組み合わせることで、重要な課題に迅速かつ効果的に取り組んでいます。航空宇宙と防衛、自動車、エネルギー、ハイテク、医療技術とヘルスケア、鉄道、半導体の各業界でこれを行っています。世界クラスのエンドツーエンドのエンジニアリング・ソリューションを提供する当社は、信頼できるパートナーです。
これは、明らかにクエスト・グローバル側が提供した自己紹介文であり、「25年以上、世界で最も複雑なエンジニアリングの問題を解決してきた」と言っている。
しかも「航空宇宙と防衛、自動車、エネルギー、ハイテク、医療技術とヘルスケア、鉄道、半導体」と得意分野が幅広い。
実のところ、クエスト・グローバルの公式サイトには日本語のページもある。
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クエスト・グローバル公式サイト |
クエスト・グローバルは、これから日本で何をしようとしているのか。
日本経済新聞の3月25日の記事:
ラピダスと提携のクエスト・グローバルCEO「日本の半導体再興は好機」
CEO自身が語っている。
「クエスト・グローバルとしては今後5年で日本のエンジニアを2倍の1000人に増やす。将来は2500人と米国並みにしたい。米国の半導体エンジニアは非常にオープンで、例えばインドに行って一緒に開発することが簡単にできるが、日本では言語の壁もありそうではない。ギャップに対して橋をかける役割が必要だ。AIも導入していく」
同社について、少し過去のニュースを探してみた。
グローバルPE(プライベート・エクイティ)ファンド、カーライルの2023年8月8日の発表:
Carlyle and Quest Global Enter into a Strategic Partnership
世界的な投資会社カーライル(NASDAQ: CG)と世界有数のエンジニアリング・サービス会社であるクエスト・グローバルは本日、カーライルが同社の重要な少数株を取得するという最終的な提携契約を締結したことを発表しました。この取引の資本は、カーライル アジア パートナーズ傘下の企業が管理および助言するファンドから調達されます。
この取引の一環として、現在の投資家であるベインキャピタルとアドベントインターナショナルは撤退し、クエストグローバルは自社の株式を買い戻し、クエストグローバルの会長兼CEOであるアジット・プラブは同社の株式を追加取得します。この取引で採用されたパートナーシップアプローチは、クエストグローバルのビジネス戦略と従業員の長期的な成功への取り組みを示しています。
ニュース報道によると、この結果、CEOのアジット・プラブ(Ajit Prabhu)氏が40%、カーライルが約30%の持ち株比率になった模様だ。
当時まで、グローバルPEファンドが相次いで投資するほど、クエスト・グローバルには企業価値があり、その価値がまだ上がると見られていたことを示している。
この1年とちょっと後には、次のようなニュース報道があった。
インドの The Economic Times 2024年12月13日の記事(中身はブルームバーグ電):
カーライル、クエスト・グローバルのインドIPOを10億ドルで検討中:報道
Carlyle eyeing $1 billion Indian IPO for Quest Global: Report - The Economic Times
カーライル・グループは、インド株式市場への投資家の関心が高まる中、エンジニアリングサービス会社クエスト・グローバル・サービスのインドでの新規株式公開を検討していると、事情に詳しい関係者が明らかにした。
クエスト・グローバルはシンガポール拠点の企業だが、当時のカーライルは(そして、おそらくアジット・プラブCEOも)、インドでの上場のほうが有利と考えていたことがわかる。
この件、その後の具体的な報道はまだない。
だが、2025年の大型IPO案件として株式市場では期待されているようだ(今年の大型IPO候補の報道はある)。
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