世界金融センター指数 2025年3月版、香港3位・SG4位と前回のまま

 

東南アジア株式新聞 2025年3月28日

世界金融センター指数 2025年3月版、香港3位・SG4位と前回のまま

東京が22位に下降、KLが51に躍進


ロンドン本拠のコンサルタント会社 Z/Yen Groupが半年ごとに更新している世界金融センター指数(Global Financial Centres Index)の第37版が3月20日に発表された。

上位の顔ぶれはほとんど変化がなかった。


アジアで目立ったのは、東京が(前回 20位から)22位へ下降したのと、クアラルンプール(KL)が(前回 59位から)51位に躍進したこと。

残念なことに、東京は順位の低下が止まらない感じになってきた。

対象的に、KLは1年前のGFCI第35版では77位だったので、1年よくがんばりました、という印象だ。

   
GFCI第37版の表紙
GFCI第37版の表紙




Z/Yen Groupの3月20日の発表:

世界金融センター指数37: 信頼感が回復、主要金融センターは安定

Press Release: Global Financial Centres Index 37: Confidence Returns While Leading Centres Are Stable

世界金融センター指数(GFCI)の第37版が、Z/Yen Groupと中国開発研究所(CDI)の協力により本日発表されました。

(中略)

私たちは、中期的に国際金融センターが直面する主要な課題を調査しました。地政学的な課題は明らかに最も重要なリスクとみなされており、回答者の 18% が言及しています (GFCI 36 の 20% より低い)。他のセンターとの競争と地域/国の優先事項の変化は、それぞれ回答者の 15% と 13% が言及しています。


第37版:GFCI 37 Rank - Long Finance


ベスト5位の他に、東アジアと東南アジア地域の主な都市を抜き出してみた。

東南アジアの各主要都市は金融センター(金融ハブ)を目指した政策を導入しているが、少しずつでも結果を出しているのはKLのみのようだ。

2025年の順位

金融センター都市名

前回(2024年9月)比

1

ニューヨーク

0

2

ロンドン

0

3

香港

0

4

シンガポール

0

5

サンフランシスコ

0




8

上海

0

9

深セン

0

10

ソウル

1上昇




20

北京

2下降

22

東京

2下降




40

大阪

4上昇

51

クアラルンプール

8上昇




96

バンコク

1下落

97

ジャカルタ

0

98

ホーチミン・シティ

7上昇



マレーシアは2024年2月に、KL中心部で10年かけて開発したにTRX(The Tun Razak Exchange)エリアを国際金融センターとして公式発表した。
財務省傘下のMOF Inc.の子会社TRX City Sdn Bhd (TRXC)がマスター・デベロッパーとなり、最先端インフラと設備を持つ地区として整備した。証券取引所が入居した超高層ビルと大型ショッピングモールからなるエクスチェンジTRXを中心に、HSBCマレーシア、プルデンシャル・マレーシア、アフィン銀行の本社ビルや高層コンドミニアムがそびえ、今も周辺開発が続いている。

  
KLのTRXエリア、2025年3月20日撮影
KLのTRXエリア



東京の金融センター順位の低下について、日本人はよくよく考えなくてはいけない。

経済大国1位の米国のニューヨークなど、2位の中国(への窓口として)の香港は当然としても、東京はシンガポールともっと競えるのではないか?


2024年を振り返ると、株式市場は東証もSGX(シンガポール証取)もまずまず調子が良かった。

そのうえで、IPOでもM&Aでも東京のほうがシンガポールより盛んだった。

少なくともその意味では、東京のほうがシンガポールより金融市場としての価値はあった。


それでも、(GFCIのポイント算出の)客観的要素と金融マンの意見を合わせると、金融センターとして順位に差がついた。


ヒントの1つは、金融センター上位は英語圏だということだ。

東京は、英語でビジネスが完結する状態にはほど遠い。

これは、短期的には絶望的だが、長期的には改善が予想される。

外貨を稼がないと食っていけなくなれば、誰でも英語を使う。

多くの日本人が英語を十分に理解できるならば、英語で法的手続きが済むように法整備がされていくだろう。





コメント

このブログの人気の投稿

建設途上で破産したニセコ高級ホテル La Plume、アジア系資本とは

2025年 ASEAN議長国としてのマレーシア

ペイシャンス・キャピタル・グループ(Patience Capital Group)、妙高でリゾート開発を進めるシンガポールの投資会社