トヨタ自動車、アストラのオンライン中古車販売会社に出資

 

東南アジア株式新聞 2025年5月8日

トヨタ自動車、アストラのオンライン中古車販売会社に出資


5月8日、トヨタ自動車が2025年3月期の決算を発表した。

注目は、トランプ関税の影響。

トヨタは、4月と5月だけで1,800億円の減益要因という推計を示した。

関税の行方がわからないのに加え、米国現地生産の増強へ動けば巨額のコストがかかる。


そんな前途多難なトヨタだが、最近こんな発表もしていた。


日本経済新聞の5月6日の記事:

トヨタ、インドネシアの中古車販売の株式取得 170億円 - 日本経済新聞


トヨタ自動車のアジア子会社は6日、インドネシアの中古車販売事業者「アストラ・デジタル・モービル」の株式40%を取得したと発表した。同社はインドネシアの主要10都市などで店舗や拠点を展開し、両社で同国での中古車事業を拡大する。

株式の取得額は総額1億2000万ドル(約170億円)。アストラ・デジタル・モービルの株式60%分については、インドネシアの複合企業アストラ・インターナショナルがグループ会社を通じて保有を続ける。


自動車メーカーにとって米国以外で販売を拡大することも重要課題となっているが、トヨタの1つの答えは東南アジアの地域大国インドネシアにあるようだ。



   
OLXmobbiの中古車販売店(TMAの発表文より)
OLXmobbiの中古車販売店(TMAの発表文より)


トヨタ・モーター・アジアの5月6日の発表:

アストラとトヨタ、中古車事業における戦略的提携を強化

Astra and Toyota Strengthen Strategic Partnership in Used Car Business


アストラとトヨタは、PTアストラ・デジタル・モービル(ADMO)における提携を通じて、戦略的パートナーシップを強化し、インドネシアにおける中古車事業における協業を拡大します。


トヨタ・モーター・アジア(シンガポール)(TMA)は、ADMOの株式40%を取得しました。TMAによる買収は、新株引受と既存株取得により行われ、総額は1億2,000万米ドル(約2兆ルピア)です。この取引後、アストラはPTアストラ・デジタル・インターナショナル(ADI)を通じてADMOの株式60%を保有し、経営権を維持します。


PT Astra Digital Mobil(ADMO)のグループには、OLXmobbi(オンラインとオフラインの中古車販売会社)や、自動車、バイク、ガジェット、電子機器、家庭用品、不動産、サービス、求人などを扱うインドネシア最大級のオンライン広告プラットフォーム会社 OLX.co.id がある。


   
OLXアプリ(TMAの発表文より)
OLXアプリ(TMAの発表文より)

アストラ・インターナショナルの社長 ジョニー・ブナルト・チョンドロ氏のコメント:

「当社は、拡張性の高い高成長の機会に積極的に投資しながら、コア事業を継続的に最適化しています。インドネシアの中古車市場は依然として大きく細分化されており、大規模な価値創造の大きな可能性を秘めています。今回の提携は、イノベーション、アクセシビリティ、そしてすべてのインドネシア国民に信頼できるモビリティ・ソリューションを提供するという当社のコミットメントを強化するものです」




発表文に載っているアストラの紹介文:

アストラはインドネシア最大級の上場企業の一つであり、301の子会社、合弁会社、関連会社を擁し、19万人以上の従業員を擁しています。多角的な事業モデルは、自動車・モビリティ、金融サービス、重機、鉱業・建設・エネルギー、アグリビジネス、インフラ、情報技術、不動産など、様々な業界セクターにシナジーと機会を生み出しています。同社は、2030年までの持続可能性目標を含む新たな持続可能性フレームワークを策定しました。この目標は、2030年以降、より持続可能な企業へと移行するための道筋を示すものです。アストラは、包摂的で繁栄した社会の実現を支えながら、インドネシア経済の力強さと回復力の向上に貢献したいと考えています。


  
アストラ・インターナショナル株の1年間(2025年5月8日、IDX公式アプリより)
アストラ・インターナショナル株の1年間(IDX公式アプリより)


トヨタ自動車とアストラ・インターナショナルは、インドネシアの自動車産業において長い提携関係にある。

  • 1971年、トヨタ自動車とアストラ・インターナショナルの合弁会社 PT Toyota-Astra Motor (TAM) が設立された

  • 1970年代後半、 トヨタとアストラの合弁で自動車部品製造のPT Toyota Mobilindo (TMI) などを設立

  • 1980年代、エンジン製造の PT Toyota Engine Indonesia (TEI) 設立

  • 1989年、TAM、TMI、TEIを含むインドネシア国内のトヨタ関連4社が合併し、新生PT Toyota-Astra Motor に

  • 2003年、生産部門がPT Toyota Motor Manufacturing Indonesia (TMMIN) として分離独立




Gemini によるインドネシア中古車市場の推計


Geminiに「インドネシアの中古車市場の規模は?」と聞いてみた。


現時点(2025年5月8日)において、インドネシアの中古車市場全体の正確な市場規模(金額ベース)を特定できる最新の包括的な公式データを見つけることは困難です。市場調査会社のレポートは通常、年単位で発行されるため、リアルタイムの市場規模の数値は公開されていない可能性があります。

ただし、入手可能な情報から、市場の規模感や成長に関するいくつかの重要なポイントを以下にまとめます。

市場規模の推定:

  • 中古車販売台数: 中古車販売台数は新車販売台数の約3倍と言われています(株式会社リデルタ)。

  • 成長予測: インドネシアの中古車市場は、予測期間(2025年~2030年)中に年平均成長率(CAGR)5.79%で成長すると予測されています(Mordor Intelligence)。別の情報源では、2018年から2023年にかけて年平均8.5%成長し、2024年からも8%以上の成長が見込まれています(株式会社リデルタ)。

  • 中古車ファイナンス市場: インドネシアの中古車ファイナンス市場規模は2024年に399.9億米ドルと推定されており、2029年には530.2億米ドルに達し、予測期間中に5.80%のCAGRで成長すると予測されています(Mordor Intelligence)。これは、中古車取引額の大きな部分を示唆しています。

  • 東南アジア地域全体: 東南アジアの中古車市場規模は、2024年に623.1億米ドルとなり、予測期間中に年平均成長率6.23%で成長し、843億米ドルに達すると予想されています(DRI)。インドネシアはこの地域で主要な市場の一つです。

市場規模に関する示唆:

上記の情報を総合すると、インドネシアの中古車市場は、新車市場の数倍の取引台数があり、数十億ドル規模の市場であると考えられます。また、経済成長と中間層の拡大を背景に、今後も高い成長率で拡大していくと予測されています。



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