中国本土の影響強まる香港株式市場、上場企業も投資家も本土から
東南アジア株式新聞 2024年6月17日
イスラム祝日で休みが多い中、東南アジア株は横ばいから下がり気味。
上海株や日本株も下げたため、アジアは全面安となった。
中国本土の影響強まる香港株式市場、上場企業も投資家も本土から
さて、今日は香港株式市場の話をしたい。
香港市場は、上場企業も、投資家も、本土から来る比率が高まったため、市場動向も本土と密接に関係を持つようになった。
かつての香港市場は、国際金融都市と中国へのアクセスの2つの魅力で、外国から上場企業も投資家も集まっていた。
中国本土との融合が進むにつれ、国際金融都市としての地位は薄れ、中国へのアクセスだけが残った。この流れは強まっているようだ。
6月17日の South China Morning Post の記事:
Hong Kong stocks end flat amid doubts China’s retail sales data recovery will be sustained
(香港株は横ばい、中国小売りデータの回復が続くとは信じられず)
<香港株式市場は月曜日、横這いで引けた。中国の小売データがさほど刺激のない一連の経済指標の中で明るい兆しを見せたことを受けて上げたが、同じだけ下げた。欧州連合(EU)との貿易摩擦が激化する中、警戒感も広がっている。
ハンセン指数は、午前の取引で最大2%上昇した後、ほぼ変わらずの17,936.12で引けた。ハンセン・ハイテク指数は0.1%上昇、上海総合指数は0.6%下落した。>
<さほど刺激のない一連の経済指標>とは、最近の中国の経済データの中にあまり好材料がないことを言っている。
中国の工業生産は、4月の6.7%から、5月には5.6%に減速。
1月から5月までの不動産投資は、最初の4か月の前年比9.8%減から同10%減へ。
<明るい兆し>は、5月の小売売上高が3.7%増と、4月の2.3%増を上回ったことだ。
しかし、ハンセン指数を大きく持ち上げることはできなかった。
香港ハンセン指数は今や、中国の景気見通しに大きく左右される。
理由は、中国本土企業の上場が増えたためだ。
ハンセン指数構成銘柄の約4割が本土企業となっている。
さらに、中国本土の投資家からの資金フローも大きくなった。
SCMPの6月12日の記事:
Hong Kong stock market increasingly driven by mainland China investors: Hang Seng Indexes
(香港株式市場はますます中国本土の投資家が動かすようになった:ハンセン指数会社)
<香港株式市場の今年の上昇は、売買高を押し上げている中国本土の投資家からの資金流入に支えられている、と指数会社のハンセン指数(HSI)が水曜日に発表した調査で明らかになった。
香港株式市場は、中国本土の適格投資家が香港で上場されている適格株式を売買できるストック・コネクト制度の下で、今年に入って香港への資金流入が2023年年間と比べて2倍の3210億香港ドル(410億米ドル)に上ったと、HSIは発表した。
これにより、香港の時価総額の95%をカバーする指標であるハンセン総合指数は、今年これまでに6%上昇している。同指数は6月に5カ月連続で上昇を続ける見込みだ。>
中国はこの数年、不動産セクターの債務問題など悪材料がしつこく残り続けている。
政府発表のGDP成長率などは悪くない。
1-3月のGDP成長率は前年同期比5・3%だった。
だが、中国経済が強いとの見方は大勢になっていない。
中国の投資家は自国市場を見限り、香港や日本の株式市場に流れていると言われている。
日本企業がほとんどの日本市場とは違い、香港では中国本土企業が多い。
香港市場での中国投資家の売買姿勢にも弱気が交じる。
とはいえ、香港証券取引所(HKEX)も魅力を高める努力を怠ってはいない。
以下、GeminiにHKEXの今年に入ってからの新規上場(IPO)をまとめてもらった。
(さらに、中国本土色が強まっていく)2024年香港証券取引所(HKEX)IPO金額ランキング(1月から6月17日時点)
2024年1月から6月17日までのIPO件数:43件
合計調達金額:約234億米ドル
関連記事:6月24日の東南アジア株、材料難で小動き
コメント
コメントを投稿