蘇った「底なし円安」の恐怖、ドル円が1日で153円台➔156円台に
東南アジア株式新聞 2024年12月19日
蘇った「底なし円安」の恐怖、ドル円が1日で153円台➔156円台に
12月19日、「底なし円安」の恐怖が蘇った。
今年は夏場に円安が160円台まで円安が進み、ひょっとしてこのまま170や180という数字を見るかもと恐怖を感じた人も少なくなかったのではないか。
秋から最近まで150円を中心としてわりと安定していたため、忘れていたが、また円安が止まらない不安を感じることになった。
前日153円台だったドル円レートは、日本時間の19日夕方には一時157円台まで円安が進行した。
トリガーとなったのは、米国と日本の中央銀行のトップの会見。
来年は、米利下げペースが鈍化、日本の利上げペースも遅い、という姿勢が示された。
単純に予想すれば、2025年末でも日米金利差は3%程度あることになる。
1ドル=160円を超える円安がまた近づいている。
日本時間 朝
米FRBは18日、0.25%利下げをした。政策金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は4.25〜4.5%となった。
ここまではマーケットの予想通りだったのだが、パウエルFRB議長が会見で来年の利上げペースを遅くする姿勢を示したことから、米国株安(NYダウは10日続落)、10年金利は4.52%まで上昇した。
日本経済新聞の12月19日朝の記事:
NYダウ1123ドル安 10日続落、「タカ派的利下げ」に失望 - 日本経済新聞
米連邦準備理事会(FRB)が18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で2025年の利下げをより慎重に進める「タカ派」姿勢を鮮明にしたことで、同日の米金融市場では米金利上昇とドル高・円安が進んだ。ダウ工業株30種平均は前日比1123ドル(2.6%)安になり、50年ぶりの10日続落となった。
18日の米債券市場ではFOMCの結果公表後、幅広い年限で国債利回りが上昇(債券価格は下落)した。米長期金利の指標になる10年物国債利回りは4.52%と約7カ月ぶりの高水準を付けた。
ニューヨーク外国為替市場では対ドルの円相場が下落し、一時1ドル=154円80銭台と約1カ月ぶりの円安・ドル高水準になった。円やユーロなど主要通貨に対するドルの強さを示す指数も108台に急伸し、2年1カ月ぶりの高値を記録した。
日本時間 昼
日本銀行は19日、利上げを見送った。
マーケットの予想通りだったが、154円台に載っていたドル円は155円台へ。
日本経済新聞の12月19日昼過ぎの記事:
外為12時 円相場、155円台に大幅安 1カ月ぶり安値 日銀利上げ見送りで
19日午前の東京外国為替市場で、円相場が大きく下落した。12時時点は1ドル=155円03〜06銭と前日17時時点と比べて1円46銭の円安・ドル高だった。米金利の先高観が強まるなか、日銀が19日まで開いた金融政策決定会合で追加利上げを見送ったことで円売り・ドル買いが加速。円相場は12時すぎに一時155円35銭近辺まで下げ、11月21日以来およそ1カ月ぶりの安値をつけた。
日銀は19日まで開いた決定会合で、政策金利を従来の0.25%程度で据え置くと決めた。利上げ見送りは予想に沿った結果だったものの、足元の経済・物価動向や円安進行を踏まえて市場の一部では追加利上げを決めるとの思惑が残っていたため、改めてドルやユーロなど主要通貨に対して円売りが出た。
その後の総裁会見を受け、さらに円安が進展した。
植田日銀総裁は会見で、一貫してハト派の姿勢を示した。
日銀は今年2回利上げをしたが、追加利上げを急がないことははっきり伝わった。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB194KO0Z11C24A2000000/
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ドル円レートの年初来(Google Financeより) |
縮まらない日米金利差
政策金利(短期金利)は、日本:0.25%、米国:4.25~4.5%。金利差は4%超。
10年国債利回りは、日本:1.1%弱、米国:4.5%近辺で、金利差は3.4%。
より現実的な金利差を考えるならば、簡単に買える金融商品でどれだけ金利差を取れるか、ということだ。
短期国債で運用しているファンドで個人投資家が買いやすいのはMMF。
日本の証券会社が売っている米ドル建てMMF(マネー・マーケット・ファンド)の利回りは現在、3.9%~4.1%。
雑な計算だが、証券会社の手数料で1%引かれて、2.9%〜3.1%。ということで、約3%。
日本国債10年債の1%をそのまま得られると仮定しても、約2%多く米ドル建てMMFで稼ぐことができる。
それなら米ドル建てMMFを買う人が多いまま、あるいは、増える。米ドル建てMMFを買うと、円を売ってドルを買うことになり、円安要因だ。
もちろん来年の政治情勢が米・日の金融政策を想定外に動かす可能性は十分にある。
米景気重視のトランプ大統領がFRBに利下げを急ぐよう圧力をかけるかもしれない。
行き過ぎた円安に恐怖した日本政府が日銀に利上げを迫るかもしれない。
日米金利差2%台が常態化すれば、手数料コストを考えると金利差目当ての資金移動はかなり減ると予想される。あるいは、日本側で2%以上の金利をほぼ確実に取れるような事態になってもよいのかもしれない。
そうなれば、短期の円安進行は心配しなくて済む可能性はある。
(日本側の財政の劣後・経済成長の劣後・デジタル赤字で長期の円安トレンドは残る)
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