サラワク州都クチン(Kuching)訪問記ーー暮らしやすそうな街だが、公共交通が未発達

 東南アジア株式新聞 2024年12月7日

サラワク州都クチン(Kuching)訪問記ーー暮らしやすそうな街だが、公共交通が未発達



マレーシアのサラワク州の州都クチンを訪れた(12月4日〜7日)。

雨の多いシーズンということだったが、困るほどは降らなかった。

3泊して中心街を歩いた。


(私が3年ほど住んでいるクアラルンプールと比較すると)

  • 人口密集度が低く、暮らしやすそうだ

  • 公共交通(鉄道・バス)がほとんどないため、中心街以外は自動車がないと暮らせない

  • クチン ‐ KL間の航空運賃が安いのはメリット。



クチン中心街の雰囲気は良い、朝夕なら散歩に適している

ブルネイ王から領土を与えられた「白人王」ブルック家の統治時代から、クチンの北部、サラワク川の両側が中心街として発展した。


  
ダルル・ハナ橋の奥にアスタナ(ブルック邸宅跡)2024年12月5日
ダルル・ハナ橋の奥にアスタナ(ブルック邸宅跡)

現在は名所「ダルル・ハナ橋」が架かっているあたりが中心と見るとわかりやすい。

北側には、ブルック家の邸宅跡(外から見るだけ)と州議会や官庁街がある。

南側には、旧中華街と東の新中華街の間あたりがビジネス街と博物館街となっている。


橋の両岸に遊歩道があり、朝夕なら散歩に適している。

(日よけがほとんどないので、日差しの強い昼間はやめたほうがよい。汗だくになる)

橋の途中に屋根付きの休憩スペースがあり、風が吹いていれば、昼間でも憩うことができる。


夕方には橋のライトアップや遊覧船の運行がある。

南側には(酒を飲める店を含め)飲食店が多い。


クチンの住民はキリスト教徒が多いらしい。

私の目分量だと、中華系と原住民系(マレーも含む)が半々くらいに見えた。

KLと比べるとインド系が少ないため、中華系が目立つほか、原住民系の人々の顔つきがバラエティに富んでいる。

イスラム教徒を除き、Tシャツ・(長・短)パンツ・サンダルの人が多い。


  
猫の像、クチン新中華街近く、2024年12月6日
猫の像


猫の街でもある。

新中華街のほうに、シンボルとなっている猫の像があるほか、街のあちこちで猫の像や置物を見かける。

クチンの街の名前は猫とは関係ないそうだが、マレー語で猫を「kuching」と言うため、クチンは猫の街を称している。

官庁街側にキャット・ミュージアムもある(歩くと遠いので今回はパスした)。


さて、現在のクチンの街はブルック王朝時代から大きく拡大しており、オフィスビル、住宅街(広いスペースを使った2階建ての戸建てが多い)、高層コンドミニアム、ショッピングモールはあちこちに点在している。


モール直結ホテルに宿泊した、しかし通りの向こうのスーパーへ行けない

今回、私はインペリアル・ホテル・クチンに宿泊した。

クチン空港から中心街へ向かう途中にある。

ホテルが中型モール「Boulvard」と直結、裏に高層コンドミニアムを備えた大型施設だ。



完結型で良さそうだが、モール内のスーパーマーケットが改装中だったため、不便さが見えた。

初日、ビールを買いに片道1キロほど歩いて(ホテルと同じ通り・同じ側にある)セブンイレブンへ行った。


実は、ホテルから大通りを挟んだ向かい側に「エバーライズ」というスーパーがある。

スーパーの隣には「タイガー・ビール」の看板を掲げた店もある。

しかし、そこへ行くには、信号機付き横断歩道も陸橋もない車道(片側2から3車線)を横切る必要がある。歩行者には(朝方の車が少ない時間帯を除き)事実上不可能なのだ。


そんな条件を持つ場所はざらにある。

少し北側(中心街方向)にイオン・モールがある。

イオンの正面エントランスから、通りを挟んで大きなオフィスの集合ビルと高層コンドミニアムが見える。

しかし、車道を渡る方法がない。


  
イオン・モールにも猫、クチン、2024年12月5日
イオン・モールにも猫


念のために行っておくと、KLでもそんな道は多い。だが、KLなら、鉄道とバスを使いこなせばたいていの目的地には行ける。

クチンの弱点は公共交通網の不足だ。

中心街だけにバス路線があるようだが、少し離れている場所に住めば何にもない。


自分で車を運転するか、配車アプリGrabで車を呼ぶしかない。


モールでGrabを呼んで待つ時観察していると、地元の人達も多くGrabを使っている。

家族連れ、または近所の人同士と見られる3人、4人組で車を呼ぶパターンが多いようだ。

往復30リンギット(1,000円ちょっと)くらいになったとしても、人数で割れば、たいしたことがないという計算だろう。

 

KLークチン間は、交通費が安い


まあ、車がないと暮らしていけないのは日本の地方も同じだ。

そこを何とかすれば、クチンは住みやすい街だと思う。


住居不動産検索アプリ(プロパティ・グルや i プロパティ)で賃貸物件を探してみると、KL中心部よりは安い。

単身用アパート(コンド)で月額1,000〜1,500リンギット。

家族用で月額2,400〜3,100リンギット。

ただ、KLに比べると物件数がかなり少ない(選ぶ余地は多くない)。


食費や交通費がKLと同じくらいなので、クチンの住居費が安い分、若干安く暮らせる可能性はある。


とはいえ、KLのような巨大モールはない。

たいていのブランド品は中規模モールでも手に入るが、催し物を含め巨大モールに憧れるときもあるだろう。


だが、心配はいらない。

KLークチン間は1時間45分くらいのフライトだが、航空運賃は安い。

エアアジアなら、往復320リンギット(約1万1,000円)くらいのときがある。

高いシーズンでも500リンギットくらいだ。


クチンに住んで時折KLへ遊びに行くのは、わりとハードルが低いのだ。




Geminiにサラワク州の概要と歴史をまとめてもらった。

マレーシア・サラワク州の概要と歴史

概要

サラワク州は、マレーシアを構成する13州のうちのひとつで、ボルネオ島の北西部に位置しています。マレーシア国内で最大の面積を誇り、多様な民族が共生する魅力的な州です。州都はクチン。

  • 自然:

    • 熱帯雨林が広がり、多様な動植物が生息しています。

    • キナバル山など、壮大な自然景観も魅力です。

  • 文化:

    • イバン族、カダザン族など、多様な先住民族が独自の文化を築いています。

    • マレーシア半島とは異なる文化を持つため、独自の風習や伝統芸能が見られます。

  • 経済:

    • 森林資源が豊富で、木材産業が盛ん。

    • 石油や天然ガスなどの資源も豊富です。

    • 観光業も重要な産業の一つです。

歴史

サラワクの歴史は、非常に興味深いものです。

  • ブルック王朝: 19世紀、イギリス人冒険家のジェームズ・ブルックがサラワクを支配し、ブルック王朝を築きました。ブルックは、現地の人々と友好関係を築き、近代的な行政システムを導入しました。

  • イギリスの保護領: 第二次世界大戦後、サラワクはイギリスの保護領となり、その後マレーシア連邦に加入しました。

  • マレーシアの一州: 1963年、マレーシアが成立すると、サラワクはマレーシアの一州となりました。

魅力

  • 多文化: 多様な民族が共生しているため、文化体験が豊富です。

  • 自然: 熱帯雨林や山岳など、豊かな自然を満喫できます。

  • 歴史: ブルック王朝など、独特の歴史を持つ場所です。

  • 美食: 多様な民族の食文化が融合した、美味しい料理が楽しめます。



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