HSBCのEMサーベイ12月:9月に比べ新興国投資家の強気が減少、中東への債券投資が上昇中
東南アジア株式新聞 2024年12月21日
HSBCのEMサーベイ12月:9月に比べ新興国投資家の強気が減少、中東への債券投資が上昇中
HSBCが最近発表した新興市場センチメント調査12月では、「(新興国の)投資家は新興市場 (EM) に対してやや慎重になっているものの、2025 年に向けて引き続き投資機会を厳選しようと努めている」とまとめた。
注目点は2点:
新興国投資家が注目する最大リスクは米国などの金利引き下げペース
中東が投資先として台頭
HSBCの12月16日の発表:
抑えられた熱意
Tempered enthusiasm | Insights | HSBC
Dr. Murat Ulgen, Global Head of Emerging Markets Research
HSBC 新興市場センチメント調査
この調査は、10月22日から12月4日まで、新興国における運用資産3,430億米ドルを保有する101の機関の101人の投資家を対象に実施された。現地調査は、ボラティリティ、米国金利の上昇、米ドル高を特徴とする米国選挙後の時期とほぼ重なった。調査期間中には、中国経済の見通しを安定させるための政策措置の発表もあり、これはさまざまな経路を通じて新興国に多大な影響を及ぼしている。
今後 3 か月間の新興市場の見通しについて「弱気」と回答した投資家の数は、9 月の調査の 13% から 23% にほぼ倍増し、「強気」と回答した投資家の数は 38% から 36% にわずかに減少した。純センチメント (強気と弱気の見解を差し引いたもの) は 9 月の 25% から 13% に低下したが、それでも依然として前向きな姿勢を維持している。
投資家の「リスク選好度」スコアも、加重平均ベースで6.2から6.1にわずかに低下した。これは、新興国における「0」が「リスクなし」で「10」が「最高リスク」である当社の基準で測定された。投資家の(ポートフォリオに占める)現金レベルは、運用資産の5.3%から4.4%に大幅に低下した。
これらのデータから、9月調査に比べ、わずかに強気やリスクを取る態度が抑えられたが、新興国投資家はリスクを取って投資する意欲が高い水準に留まっている、とHSBCは見ている。
その他の注目点は2点。
ダウンサイド(下振れ)・アップサイド(上振れ)のどちらでも意識されているリスクとしては、米国・先進国の金利政策だ
中東が投資先として台頭してきたこと
1. 米国などの金利引下げペースが鈍化する➜ダウンサイド、利下げペースが速い➜アップサイド
新興国市場の見通しに対するダウンサイド(下振れ)リスクに関する投資家の主な懸念は変化している。9月の景気後退懸念と比較して、連邦準備制度理事会/先進国市場(DM)の金利が長期間高止まりするリスクが最優先事項に上がっている。これは、米国/DMインフレに関する当社の新しい質問にも反映されており、今後12か月間でインフレが上昇すると予想する回答者が42%であるのに対し、インフレが低下すると予想する回答者はわずか27%である。主要中央銀行による利下げは依然として新興国市場の見通しに対する最大のアップサイド(上振れ)リスクとみられているが、地政学的緊張の緩和が急増したことは注目に値する。
2. 中東の投資先としての台頭
投資家は、現在の純ポジショニングと将来の期待の両方において、調査史上初めて中東に圧倒的に注目しました。これに続いてアジアがもう一つの好ましい地域となっています。地政学的な面でのより好ましい期待と中国の景気刺激策が、これらの選好を後押ししているようです。
アラブ首長国連邦やサウジアラビアが熱心に海外からの投資を呼びかけるようになってきている(東南アジアでも広告を見かける)ため、株式投資も増えているのかと早合点してしまった。
だが、調査結果をよく見ると、投資先として注目を集めているのは、先進国通貨建て債券と現地通貨建て債券だった。
高めの利回りをわりと安全に獲得できるという判断だと見られるが、アジア地域を上回ったのは、やはり画期的だ。
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中東の台頭(HSBC EM Surveyより) |
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