マレーシアのジョホールでシンガポール人多数が不動産トラブル
東南アジア株式新聞 2024年12月27日
マレーシアのジョホールでシンガポール人多数が不動産トラブル
コンドミニアムを購入したと思っていたら、長期リース契約をしているだけだったーーそんなショッキングな話がシンガポールで問題になっている。
マレーシア半島部の南端ジョホール州で、シンガポール人がそんな体験をし、訴訟を起こし始めた。
12月25日にシンガポールのCNAが報じ、マレーシアのメディアが追いかけ始めたところだ。
ジョホール州は、マレーシアとシンガポールの共同開発プロジェクトの舞台である。ジョホール-シンガポール経済特区(Johor-Singapore Special Economic Zone = JS-SEZ) では、両国の物流・人流を一層活発化させるため協力することになっている。
両国関係に暗雲というと言い過ぎかもしれないが、個人レベルではコンド購入は決して安くない買い物であり、後味の悪い問題に発展しそうではある。
CNA の12月27日の記事:
ジョホールのコンドミニアムの所有権をめぐるシンガポール人購入者とマレーシア不動産開発業者との法的紛争
シンガポール人のセバスチャン・タンさんは数年前、ジョホール州で3ベッドルームのコンドミニアムを約27万5000 Sドル(18万4000米ドル)で購入した。この価格はお買い得だと考える人もいる。
しかし最近、弁護士の友人と話をしているときに、自分が購入した不動産の法的所有者ではないことに気づいた。
タン氏は、この物件は 99 年間のリースホールド物件だと思っていたが、実際にはマレーシアの一部の物件に特有のプライベート・リース・スキーム (PLS) に基づいて売却された。
PLS では、購入者は物件を所有するのではなく、一定期間 (たとえば 99 年) のリース (賃貸契約のようなもの) を購入する。
開発者が所有権を保持する。購入者はテナントとみなされ、賃貸または売却の権利が制限される。
対照してみると、シンガポールには同様の概念はない。
(以下、略)
似たような購入者 約100人がマレーシアの開発業者に対して法廷闘争をしようとしているらしい。
別に記事に登場したシンガポール人でなくても、コンドミニアムのような不動産の購入は、投資の意味があることは多い。
しかし、転売する権利を持っていないと投資にはならない。
法廷闘争をして何を得られるかはまだ不明だ。
少し追加負担が生じても、所有権を手に入れたいと言う人もいるだろう。
記事の後半では、マレーシアとシンガポールの不動産に詳しい弁護士の意見も載せている。
マレーシアの弁護士は、プライベート・リース・スキーム (PLS) は合法であると証言する。
一方で、シンガポールの弁護士は、不動産の価値が影響を受ける可能性を指摘する。所有権の譲渡契約でないなら、シンガポール人の相場観からはかなり安く計算しなければならないのだろう。
CNAの調査によると、少なくとも70人のコンドミニアム購入者が、6月にシンガポール不動産代理店協会に、物件を販売した不動産代理店に対して苦情を申し立てました。
しかし、裁判所の文書を見ると、デベロッパーは、購入者は知っておくべきであり、PLSは有効で正当であると主張しました。彼らは、購入者が請求を行う法的期間も過ぎていると付け加えました。
マレーシアのメディアもCNA報道を追いかけ始めた。
Free Malaysia Today の12月25日の記事:
100 Singaporeans in legal dispute over condo purchases in JB | FMT
CNA の報道によると、シンガポールの住宅購入者少なくとも 100 人が、不動産の所有権をめぐってマレーシアの開発業者と法廷闘争を繰り広げている。
同ニュースポータルによると、購入者らは開発業者が販売条件について率直に説明しなかったと主張している。
不動産弁護士らは、ジョホールで不動産を購入する前に、購入者に細則をよく読み、現地の状況に詳しい現地のエージェントと契約するよう促している。
今のところ、大騒ぎというほどではないが、今回の報道で終わるとは思えない。
隣接地であるシンガポール-ジョホールの交流は深い。
しかも今、ジョホール州(有名な開発中断中のフォレストシティのプロジェクトもある)はシンガポール人を含めて外国人からの巨額の投資を集めようとしている。住居用不動産への投資を含めて、だ。
今回の問題が合法かどうかを別にして、購入したシンガポール人たちは詐欺にあったような気持ちだろう。
多くのシンガポール人から不信感を持たれるようなら、投資誘致に大きな障害になる。
私のような外国人にとっては、この騒動から別の教訓もある。
両国は法制度がよく似ていると思っていたが、案外大きなすれ違いを抱えたままだとわかった。
交流の深い隣国同士ですら、こんなことが起こる。
法や契約の問題は油断はできない。
私などは、コンドの部屋の賃貸契約でさえ読むのが面倒でしょうがないのだが、やはり精密に読むことにしよう。
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