『みずほリポートーー米大統領選とアジアへの示唆』を読む
東南アジア株式新聞 2024年11月16日
『みずほリポートーー米大統領選とアジアへの示唆』を読む
トランプ関税・貿易政策の東南アジアへの影響を考えるのに良い参考資料を見つけた。
みずほリサーチ&テクノロジーズが11月15日に発表したリポートだ。
簡単に紹介する。
アジアへの影響を考える主要な論点
中国製品の締め出し
米国への生産回帰
アジアへの調達シフト
1.米国市場からの中国製品・投資の締め出しは、トランプ政権・共和党多数議会で協力/極端な方向へ進む。
中国はいっそう東南アジア市場へ製品を売ろうとし、最終製品化も東南アジアで行おうとする。
(東南アジア各国政府は、自国製品保護のため、安い中国製品に対処しなければならない。)
迂回生産は、すでに太陽光発電装置で米国に目をつけられているが、他の製品でも関税を強化される可能性がある。
2.米国への生産回帰は、コスト面から一部でしか進まないと予想。
3.問題はこの論点だ。
米国が、中国製品に代わる製品を東南アジアから調達する。
ASEAN5にとっては米国へ輸出を増やす好機になる可能性がある。
しかし、米国が対中関税以外に一般輸入関税(10〜20%)を導入すれば、米国での輸入製品の需要が減る。
そこから、東南アジア工業国の対米貿易ゲームは難しくなる。
米国からの製品輸入を増やすなど、何らかのDeal(取引)を迫られる
アジアの「内向き化」を助長するかもしれない(インドネシアの資源禁輸など)
そんなわけで、日本企業のサプライチェーン戦略も難しくなる、というような話だ。
(素朴な感想:みずほのリポートは書いていないが、今の円安・日本も東南アジア工業国と似たような立場だと思う。米国へ輸出を増やそうとすれば、何らかのDealを迫られる。少数与党の政権であることを逆手に取って上手に対応できればよいのだけれど・・・)
東南アジア各国の初期反応は、パートナー関係の強化が主流
さて、みずほリポートは冒頭でちょっとおもしろいことをしている。
トランプ政権誕生時の各国首脳のコメントの比較だ。
日本を含めアジア各国は、いずれも、強固なパートナー関係や2国間関係の促進・前進を希望すると発言している。
マレーシアのアンワル首相だけが、要望を追加した。
「パレスチナとウクライナにおける破壊的暴力と生命が失われている状態を終結させるため、米国にはその強い影響力を行使していただくことを強く求めたい」と。
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