インドネシアとシンガポール、グリーンエネルギー分野で協力強化
東南アジア株式新聞 2025年6月16日
インドネシアとシンガポール、グリーンエネルギー分野で協力強化
6月15日~16日、インドネシア大統領がシンガポールを国賓訪問
インドネシアのプラボウォ大統領が6月15日〜16日の日程で隣国シンガポールを国賓訪問した。
ASEANの地域大国と唯一の先進国、首脳たちはどんな話をしたのだろうか?
「グリーン経済成長を」プラボウォ大統領
プラボウォ大統領の6月16日のX投稿:
シンガポール共和国首相閣下@LawrenceWongSTおよび閣僚との2国間協議は、
両国間の既存の協力関係を強化しながら、さまざまな分野の発展を加速させる戦略的な機会です。
協議では、合同軍事訓練を通じて防衛分野での連携を強化し、
工業地帯の開発を通じてグリーン経済成長を奨励し、犯罪人引渡しメカニズムの実施を加速し、
将来的に食糧安全保障を強化する取り組みを支援することで合意しました。
インドネシアとシンガポールはまた、相互尊重と相互信頼の原則に基づき、
両国間の緊密な友好関係を今後も維持していくことに尽力しています。
シンガポール共和国、2025年6月16日
6月16日、非公式首脳会談(リトリート)の後、記者会見があった。
そして、多くのニュースで見出しになったのは「グリーン経済」だった。
CNAの6月16日の記事:
「グリーン経済はシンガポールとインドネシアの協力にとって有望な新分野」ウォン首相
ローレンス・ウォン首相は6月16日(月)、シンガポールとインドネシアにとって、
グリーン経済は「自国を助け、互いに助け合い、そして世界を助ける」ための有望な新たな協力分野の一つだ
と述べた。
ウォン首相は国会議事堂でインドネシアのプラボウォ・スビアント大統領と行った共同記者会見で、
「気候変動が我が国のような小島嶼国や群島国家に甚大な影響を及ぼすことは承知していますが、
私たちはその脆弱性を機会に変えることができます」と述べた。
だが、非公式とは言え、首脳会談であり、(個人的には)大きな話を期待した。
イスラエル−イランの大規模軍事衝突のほか、
タイ−カンボジアの国境での小規模武力衝突から始まった関係悪化も話題になったのだろうか?
シンガポール外務省が発表した声明を見ると、
「地域および世界情勢についても意見交換」があったと書かれている。
ただ、具体的な内容は公表されなかった。
シンガポール外務省の6月16日の声明:
Singapore-Indonesia Leaders' Retreat, 16 June 2025
(その一部)
ウォン首相とプラボウォ大統領は、地域および世界情勢についても意見交換を行いました。
両首脳は、地域の利益のために、多国間協力の強化に向けたコミットメントを改めて表明しました。
両首脳は、ASEANが引き続き繁栄と成長を遂げるためには、ASEAN内部の統合と域外パートナーとの連携を
深める必要があることで合意しました。
ウォン首相はまた、インドネシアの環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)への
加盟申請を支持すると表明しました。
世界情勢については、上述の箇所だけ。
非公式首脳会談で多くの時間を使ったのは、経済・ビジネスの協力関係についてだった。
たとえば、シンガポール外務省の声明の中に、
両国の企業間プロジェクトについて両首脳が「歓迎した」と書かれている部分がある。
そこに挙がったプロジェクト名は、以下。
スラバヤにおけるシプトラSMGキュリーがんセンター
( Ciputra SMG Curie Cancer Centre)の開設
ヌサンタラ首都圏におけるヌサンタラ・セムコープ太陽光発電所
(Nusantara Sembcorp Solar Energy Power Plant)の稼働開始
セムコープとパンビル(Panbil)グループによるバタム島における
2つの新たな低炭素工業団地の共同開発のための合弁事業
また、首脳会談に先立ち、通商担当大臣たちが多くの仕事をこなした。
インドネシア国営アンタラ通信の6月16日の記事:
インドネシアとシンガポール、6つの分野で経済協力進捗を評価
インドネシアとシンガポールは、6つの戦略的分野における協力の進捗状況を評価するため、
第15回二国間経済作業部会(6WG MM)閣僚会合を開催した。
(中略)
6WGは、バタム・ビンタン・カリムン(BBK)地域をはじめとする特別経済区、投資、人材育成、運輸、
アグリビジネス、観光分野における経済協力を推進するための、
シンガポールとインドネシア間の経済プラットフォームである。
投資を促進するため、インドネシアとシンガポールは、特にクリーンエネルギー、再生可能エネルギー、
エネルギー効率、電気自動車、グリーンファイナンス分野におけるインフラと産業サービスの強化に
重点を置くことで合意しました。
インドネシア国営メディアも、
グリーン経済・金融の分野での協力強化について合意したことを強調している。
(注)バタム島・ビンタン島・カリムン自由貿易地域(BBK-FTZ)については、
インドネシアとシンガポールが2011年から、アジア太平洋地域トップクラスの工業団地へと
発展させるべく協力している。
アンタラ通信は同日その後、次のような記事も書いた。
インドネシア政府、シンガポールからのさらなる投資を求める
アイルランガ・ハルタルト経済担当調整大臣は、戦略的二国間協力の一環として、
シンガポールに対しインドネシアへの投資を300億~400億米ドルに増額するよう要請した。
月曜日に発表された声明によると、ハルタルト大臣はシンガポールのガン・キムヨン副首相兼貿易産業大臣との
二国間協議で、「戦略的協力の一環として、シンガポールに対し、
投資を300億~400億米ドルに増額するよう要請する」と述べた。
高度成長をめざすインドネシアは、なんとしても巨額の投資を呼び込みたい。
400億米ドル(約5.7兆円)と聞いて、シンガポール側はどんな反応をしたのだろうか?
残念ながら、それを書いた記事や声明は見つけられなかった。
少なくとも両国の友好関係を損ねるほどのインパクトはなかったようだ。
両国関係を「さらなる高みに」ウォン首相
ウォン首相の6月16日のX投稿:
シンガポール・インドネシア首脳リトリート(非公式首脳会談)で大統領@prabowoと
生産的で幅広い議論を行いました。これは、私たちの現職での初めての首脳会談です。
また、地域的および世界情勢についても意見交換し、共通の利益を推進するために
ASEANやその他の多国間プラットフォーム内でより緊密に協力していくことで合意しました。
シンガポールとインドネシアは、60年近くにわたり、多くの困難を乗り越えて共に歩んできました。
これからもそうあり続けられると確信しています。
プラボウォ大統領とそのチームと緊密に協力し、両国のパートナーシップを更なる高みへと高めていくことを
楽しみにしています。
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