インドネシア大統領、G7より優先してのロシア訪問
東南アジア株式新聞 2025年6月20日
インドネシア大統領、G7より優先してのロシア訪問
戦略的パートナーシップ宣言に署名、軍事・原子力の協力で憶測呼ぶ
インドネシアのプラボウォ大統領がロシアを公式訪問し、6月19日にプーチン大統領と会談した。
6月15〜17日のカナダでのG7サミットにも招待されていたが、プラボウォ大統領は訪ロを選んだ。
(この件について、インドネシア政府高官は、イスラエル−イラン紛争でイスラエル側に立つG7に
行かなかったのは正しい判断だったと述べた。6月20日のアンタラ通信)
インドネシアとロシアの首脳会談の成果は、戦略的パートナーシップ宣言への署名だ。
加えて、教育、運輸、情報通信技術の協力協定、
それに、政府系ファンド同士の共同投資の覚書が交わされた。
戦略的パートナーシップの詳細が公開されておらず(20日夕までの時点)、
軍事や原子力発電の分野で協力が盛り込まれている可能性がメディアの間で語られている。
昨年11月には、インドネシアはロシアと海軍の合同軍事演習をジャワ海で行った。
プラボウォ大統領の6月19日のX投稿:
インドネシアのロシア公式訪問の一環として、私はロシア連邦のウラジーミル・プーチン大統領閣下と
お会いし、二国間会談を行う機会を得ました。
75年にわたり築き上げてきた緊密な外交関係は、様々な戦略的分野における協力を継続的に拡大するための
強固な基盤となっています。
建設的な議論の中で、私たちは投資、貿易、農業、教育の分野における協力を強化することに尽力しました。
また、BRICS加盟とユーラシア経済連合を通じた自由貿易へのアクセス拡大におけるロシアの支援に
感謝の意を表しました。
このパートナーシップが両国の経済成長を促進し、両国に発展をもたらすことを期待しています。
会談後、私たちは敬意と友情の証として記念品を交換し、その際、ウラジーミル・プーチン大統領は私に
『ロシア語による軍事指導』と題する本を贈ってくれました。
コンスタンチノフスキー宮殿、サンクトペテルブルク
ロシア連邦、2025年6月19日。
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プラボウォ大統領のX投稿(6月19日) |
プラボウォ大統領の投稿を読む限りは、戦略分野は「投資、貿易、農業、教育」だが、
それ以上にどんな分野に拡大の可能性があるのだろうか?
国営アンタラ通信の6月20日(金)の記事:
Prabowo, Putin deepen ties amid global tensions - ANTARA News
ロシア、サンクトペテルブルク(ANTARA) - インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領と
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は木曜日、ロシアのサンクトペテルブルクにある
コンスタンチノフスキー宮殿で会談し、両国間の二国間関係の深化を確認した。
この記事が伝えた2国間会議のポイント:
BRICS へのインドネシアの正式加盟についてロシアの支援にインドネシアから謝意
プーチン大統領は、防衛や宇宙を含む幅広い分野での協力拡大に楽観的な姿勢を示した。
CNAの6月19日の記事:
Russia's Putin meets Indonesia's Prabowo in St Petersburg in bid to deepen ties - CNA
サンクトペテルブルク:インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領は木曜日(6月19日)、
ロシア北部の都市サンクトペテルブルクでウラジーミル・プーチン大統領と会談し、
一部の関係者が「急成長中の戦略的パートナーシップ」と呼ぶ関係を深化させる方策を探った。
戦略的パートナーシップに関する宣言に署名
政府系ファンドのダナンタラ・インドネシアとロシア直接投資基金(RDIF)も木曜日、
20億ユーロ(22億9000万米ドル)規模の共同投資ファンド設立で合意
この記事では、いくつかの疑問点も指摘した。
ロシア海軍の艦船がインドネシアに来るか?
インドネシアが計画中の初の原子力発電所は、ロシアの技術を導入するか?
ロシア大統領府(Kremlin)の6月19日の発表では、両首脳は以下の書類に署名した。
The signed documents include:
an agreement between the relevant agencies on cooperation in higher education,
memorandums of understanding and cooperation in transport,
information and communication technologies,
and the media,
as well as the memorandum of understanding between the Russian Direct Investment Fund
and Danantara, Indonesia’s sovereign wealth fund.
戦略的パートナーシップの詳細は、今までのところ、両政府の公表資料の中に見つからない。
国営アンタラ通信は、6月18日に以下の記事を掲載した。
インドネシア、ロシアとの戦略的パートナーシップ構築に進める:スギオノ外相
インドネシアのスギオノ外相とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は火曜日、モスクワで会談し、
二国間関係を戦略的パートナーシップのレベルに引き上げるための取り組みについて協議した。
インドネシア外務省の声明によると、両外相の会談は、プラボウォ・スビアント外相が水曜日に
サンクトペテルブルクに到着し、6月20日までの訪問を開始する前日に行われた。
同省の声明によると、スギオノ外相はロシアに対し、相互利益のために様々な分野における協力強化を
継続するよう要請した。
(中略)
プラボウォ氏の訪問について、下院第11委員会のムハマド・ミスバクン委員長は、
これは両国の経済・外交関係を強化する重要な機会だと述べた。
「今回の訪問は単なる象徴的なものではなく、むしろ東南アジアにおけるロシアの戦略的パートナーとしての
インドネシアの地位を強化するための具体的な一歩です」とミスバクン委員長は述べた。
下院財政委員会の委員長を務めるミスバクン委員長によると、プラボウォ氏の訪問は、
両国が今年外交関係樹立75周年を迎えるにあたり、時宜を得た戦略的動きである。
(以下略)
両国の協力関係を一段引き上げたのが、戦略的パートナーシップと言っており、
今後、協力分野が拡大する可能性が感じられる。
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