イスラエルとイランの軍事衝突に対するASEANの反応(2025年6月)

 

東南アジア株式新聞 2025年6月15日

イスラエルとイランの軍事衝突に対するASEANの反応

6月13日にイスラエルがイランの軍事施設などへ大規模攻撃を実施した。

これに対し、イランはイスラエル本土をミサイル攻撃した。


2024年4月にも両国の軍事衝突があったが、そのときは比較的短期間で終息した。

このときはイスラエルがシリアのイラン大使館を空爆し、

イランがイスラエル本土をミサイル攻撃した(が、ほとんどミサイル防衛網で無効化)。


今回は当時よりも双方とも攻撃の規模が大きく、規模拡大の可能性が残る。

イラン側は死傷者が多く、一部のエネルギー施設も破壊された模様だ。

イスラエル側では、テルアビブなどの都市の一部が破壊された。

(隣接していない国同士でも直接戦争ができることを示した。)


13日(金)、東南アジアの株式と通貨は軒並み下落した。

原油価格の上昇で、一部銘柄(マレーシアのエネルギー株)は上がったけれども。


東南アジア金融市場では、トランプ関税に加えて、混乱要素が増えた。


来週の動向は予想できないが、とりあえず、主な政府の反応をまとめた。




マレーシアのアンワル首相、6月13日のX投稿

   
アンワル首相のX投稿(2025年6月13日)
アンワル首相のX投稿(6月13日)


私は、イランの高官を殺害した標的攻撃を含む、イランにおけるイスラエル軍の攻撃を、可能な限りの強い言葉で非難します。


これは重大かつ無謀な行為であり、脆弱な地域をさらに不安定化させる恐れがあります。その明確な目的は、米国とイランの間で進行中の交渉を妨害することです。また、イスラエルのガザにおける行動に対する新たな監視と、ベンヤミン・ネタニヤフ首相への政治的圧力の高まりの中での行為です。


マレーシアは、イスラエルのパートナー諸国、特に影響力と影響力を持つ国々に対し、更なる侵略を阻止するために最大限の圧力をかけるよう呼びかける。国際社会は、外交を妨害し、世界平和を危険にさらすような行動を容認してはならず、また、イスラエルのパートナー諸国の圧力を緩和し、更なる侵略を阻止するよう求める。

写真:ロイター



ASEANの中で、

イスラム教の国(インドネシア、マレーシア、ブルネイ)はイスラエルと正式な国交がない。

同じイスラム教としてイランを応援する心情が強い。


中でも、マレーシアのアンワル首相は、

ガザ(パレスチナ)に対する軍事侵攻についてイスラエルを非難してきた。


インドネシア政府は、今年3月、マクロン仏大統領が同国を訪問した際には、

パレスチナ独立国家が成立するならイスラエルと国交を樹立してもよいとコメントしていた。

だが、国交樹立は遠のいたようだ。

6月14日にインドネシア外務省からイスラエルを非難する声明を出した。




イスラエルと国交がある国は難しい対応を迫られている。



タイのぺートンタン首相、6月14日のX投稿

  
ぺートンタン首相のX投稿(2025年6月14日)
ぺートンタン首相のX投稿(6月14日)


タイ政府は、イスラエルとイラン間の緊張の高まりを深く懸念しています。タイは、事態のさらなる悪化と地域全体への影響を防ぐため、すべての関係者に対し、最大限の自制を強く求めます。


私は外務省に対し、被災地のタイ国民を支援するため、緊急対応センター(RRC)を直ちに立ち上げるよう指示しました。また、その際、タイ国民の避難が必要になった場合には国防省とも緊密に連携するよう指示しました。


タイには、イスラエルからの旅行者が多い(時々、行儀の悪いイスラエル人旅行者がニュースになる)。

今年1月にはイスラエルと自由貿易交渉を検討するという話も出ていた。



シンガポールは、イスラエルとの関係がASEANの中で最も濃い。

6月13日、外務省声明で、「シンガポールは、この地域における緊張の高まりを深く懸念しており、全当事者の自制を強く求める」と述べた。







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