マレーシアの福祉施設で虐待事件、渦中の企業GISBHにカルト宗教疑惑が表面化し捜査は続行中

 

東南アジア株式新聞 2024年9月23日

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マレーシアの福祉施設で虐待事件、渦中の企業GISBHにカルト宗教疑惑が表面化し捜査は続行中


マレーシアで現在、前に紹介したKLIA空港の不正入国シンジケート事件よりも大騒ぎになっている事件がある。

グローバル・イフワーン・サービシーズ・アンド・ビジネス・ホールディングス(GISBH)という企業グループで児童虐待(性的虐待を含む)事件が明らかになり、何人もの逮捕者を出した。

GISBHは、ホールディングス(持ち株会社)と社名に付いている通り、多種の事業を営んでいる。

事件を起こしたのは福祉施設部門だが、虐待だけでなく、禁止されているカルト宗教を教えていたことが明らかになった。

アンワル首相は捜査の早期終結を指示したらしいが、捜査はグループの他の事業部門にも及んでおり、GISBH事件はまだ終息しそうにない。

  
GISBHの公式サイトより
GISBHの公式サイトより

GISBHの公式サイトには、上の画像の通り、「イスラムの生き方」「ブミプトラ(土地の子重視)」などを企業のミッションに掲げている。

マレーシアの多数派イスラム教徒マレー人の間にはそんな思想を持つ人がいるので、ミッションの内容自体は特別に奇妙な感じはない。

しかし、以下のような記事を見ると、通常の企業ではないことがわかる。


The Star の9月20日の記事(中身は国営ベルナマ通信):

GISB case: Former members reveal stories of brainwashing, education neglect | The Star

GISB事件:元メンバーが洗脳と教育無視の実態を暴露

GISBホールディングスSDN BHD(GISBH)の元メンバーは、グループのリーダーは預言者ムハンマド、イマーム・マハディ、霊界からの導き手によって任命されたと信じるように洗脳されたと主張している。


彼らのうちの1人、アフマド(36歳)は、リーダーたちはまた、ヤカザ(意識のある状態)を通じて預言者ムハンマドと交信することができ、リーダーからの指示はすべて従わなければならないと主張していることを明らかにした。

アフマドは、GISBHの学校での教育は、メンバー、特に子供たちにリーダーに対する揺るぎない信仰心を植え付けるためのプラットフォームとして機能していると主張した。

(中略)

1994年に禁止されたアル・アルカム・グループの教えを実践する家庭に生まれたアフマド氏は、父親が同グループのリーダーの一人だったことを明かした。

彼は、幼少期をペラ州の集団居住地で過ごし、その後ラワン、セランゴール、プトラジャヤ、ケダ、サバ、サラワクへと移り、最終的にはヨルダンとシリアへと移ったと語った。

アフマドは、組織のメンバーではない数人の宗教教師から学んだ後、2011年に会衆を去った。

(中略)

36歳のアブ・バカールは、他の10代の若者のように正式な教育を受けていないことに気付き、2010年に組織を脱退したと語った。

「なぜ他の人のように勉強しないのか、イマーム・マハディに会うために戦うよう求められているのかと不思議に思いました。好奇心から脱退を決意しました」と彼は語り、何度か脱退を試みたが、グループのメンバーに捕まり連れ戻されたと付け加えた。

アブ・バカールによると、リーダーの命令により父親が離婚した後、母親はグループを脱退し、その後グループは捜索をやめたという。


警察は、9月11日にセランゴール州とネグリ・スンビラン州にあるGISBH関連の慈善施設20か所を襲撃したグローバル作戦で、労働搾取や性的搾取の被害者と疑われた402人の子どもと10代の若者を救出した。この作戦では、ネグレクトや虐待の事例も明らかになり、105人の女性を含む171人が拘留された。 - ベルナマ



これまでの事件の全容については以下の記事が詳しい。


Malay Mail の9月23日の記事:

What we know so far: The GISBH scandal involving sexual, physical abuse of kids in welfare homes | Malay Mail

GISBH事件、これまでにわかっていること:福祉施設の児童に対する性的、身体的虐待など

9月11日、セランゴール州とネグリ・スンビラン州で大規模な捜索が行われ、世話人や宗教指導者を含む171人が逮捕された後、Global Ikhwan Services and Business Holdings Sdn Bhd (GISBH) と関係のある福祉施設で児童が性的虐待や身体的虐待を受けているとの報告が国中を揺るがした。

GISBHは現在、児童の性的搾取、人身売買、イスラム教逸脱の促進など、多数の犯罪行為に対する複数の機関による捜査の中心となっている。


現在第4段階にあるオプ・グローバル(GISBH捜査)の最新の状況は以下の通り。


  • アル・アルカムの元リーダー、アシャアリ・モハマド氏の息子であるCEOダトゥク・ナシルディン・モハメド・アリ氏を含む同社の最高幹部が逮捕されました。

  • 最高経営責任者、その配偶者、GISBHのリーダー数名を含む19名が捜査協力のため7日間拘留されました。

  • 土曜日、ラワンのバンダル・カントリー・ホームズでGISBHと関連があるとみられる複数のビジネスネットワークに対する大規模な捜索が統合作戦で実施されました。

  • 警察は現在、GISBHに関連するコンテンツがないかソーシャルメディアを監視しており、マレーシア通信マルチメディア委員会はこの件に関するパロディを審査しています。

  • 土曜日にはさらに186人の被害者が発見され、マレーシア全土でさらに78人の男性と77人の女性が逮捕されました。これまでに402人の子供が救出されました。

  • 全国のGISBHの店舗とアウトレットはすべて閉店しました。


記事には、政党間や宗教団体の意見が割れている(処罰を徹底するか、犯罪に加担していない事業部門は放免するか、など)様子も詳しく書かれている。そのあたりに関心がある人は上記URLへ。


ビジネスに関する部分もある。GISBHは、「多数のスーパーマーケット、パン屋、薬局、工場、レストラン」も運営していた。

現在、GISBH公式サイトから店舗検索ができないため、どの店がそうかは不明。


このスキャンダルの興味深い裏話は、GISBHの事業運営方法に関係している。GISBHには、国内外の多数のスーパーマーケット、パン屋、薬局、工場、レストランが含まれている。


先週、宗教当局は、Global Ikhwanのパン製品が2017年以来ハラール認証を更新していないことを確認した。当局は、Ikhwan Poultry Sdn Bhd傘下の同社の家禽屠殺場がハラール認証を取得していないとの疑惑を受けて、ハラール認証を取得しているかどうか調査している。

同社はまた、苦情を受けて労働者に賃金を支払っていないとして調査される。


GISBHは、ブミプトラ・ムスリムが経営する企業として自社を売り込み、世界中に3億2500万リンギット相当の資産を保有し、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、オーストラリアの20か国に415の事業所を所有している。


少なくとも同社の2つの事業、メッカとシンガポールのレストランは、この論争から距離を置いている。



捜査に大きな進展があれば、情報を追加しようと思う。



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