金融センター・ランキングで香港3位・シンガポール4位、人口で見るとシンガポールは増・香港は減

 

東南アジア株式新聞 2024年9月26日

  • 日経平均 +2.79%、上海総合 +3.61%だが、東南アジア株は小幅に上下

シンガポール STI

マレーシア FBM KLCI

インドネシア IDX総合

タイ

SET

香港

Hang Seng

3582.23

-0.03%

1671.32

-0.12%

7744.52

+0.05%

1455.03

-0.45%

19924.58

+4.16%

金融センター・ランキングで香港3位・シンガポール4位、人口で見るとシンガポールは増・香港は減


東南アジアのメディアでは最近、金融センター都市ランキングでシンガポールが4位に後退し、香港が3位となったことが話題になっていた。

香港がアジアのトップに返り咲いた。

だが、金融センターであるかどうかは都市繁栄の1尺度に過ぎない。

人口で見ると最近、シンガポールが600万都市(国家)になった。



まずは金融センター都市の話。


シンガポールの The Strait Times の9月25日の記事:

Singapore places fourth in world financial centres ranking, ahead of San Francisco, Shanghai | The Straits Times

シンガポールは世界金融センターランキングでサンフランシスコ、上海を上回り4位に

世界の金融センターの競争力を評価するランキングシステムで、シンガポールはサンフランシスコ、上海、ジュネーブなどの他の都市を圧倒し、4位となった。

9月23日に発表された最新の世界金融センター指数では、ニューヨークとロンドンがトップ2の座を獲得した。香港は3位となり、過去4回の指数で首位だったシンガポールからアジアのトップ金融センターの座を奪還した。


香港の South China Morning Post の9月24日の記事:

Hong Kong overtakes Singapore as Asia’s top financial centre, influential ranking shows | South China Morning Post

香港はシンガポールを抜いてアジアのトップ金融センターに、有力ランキング調査

火曜日に発表された半年ごとの世界金融センター指数の最新版によると、香港はシンガポールを抜いて2年ぶりにアジアのトップ金融センターとなった。


データは、ロンドン拠点のシンクタンク Z/Yen Group が調査・集計しているGFCI 36 ランキングの最新版。

他の東南アジア都市は以下の通りなので、アジアではシンガポールと香港が抜き出ていることに変化はないい。

クアラルンプール 59位(前回から18上昇)

バンコク 95位(前回から2下降)

ジャカルタ 97位(前回から5上昇)


だが、シンガポールと香港の間では、金融センター機能以外にも競っていることがあるように見える。

その都市で働き、生活する住民の多さだ。

奇しくも、上記ランキングが話題になった日に、シンガポールの人口がニュースになっていた。


The Strait Times の9月25日の記事:

Singapore population crosses 6 million mark | The Straits Times

シンガポールの人口が600万人を突破

シンガポール政府の最新の人口概要報告書(Population in Brief report)によると、2024年6月時点でシンガポールの総人口は604万人で、2023年6月から2%増加している。

この数字が600万人の大台を超えたのは今回が初めて。


この増加は主に非居住者人口の5%増加によるもので、非居住者人口は2023年6月の177万人から2024年6月には186万人に増加したと、国家人口・人材局(NPTD)が9月24日に発表した年次報告書は述べている。


労働許可証保持者や移民家事労働者を含む非居住労働者の増加は、介護ニーズのサポートや、建設業など居住者が通常は興味を持たない職業の補充など、シンガポール人の社会的・経済的ニーズを満たすために切望されているサービスの提供に役立ったと、NPTDは声明で述べた。


シンガポールの人口に含まれる「非居住者(Non-resident)」は、正規のビザを与えられて長期滞在する外国人のことだ。シンガポール企業の従業員と技能労働者、その家族、そして学生だ。


同国政府は人口を690万人にすることを計画しているが、国民だけ見れば少子高齢化傾向が定着しており、外国人の流入は欠かせない。


人口概要報告書によると、国民(Citizens)と非居住者(Non-resident)の内訳は以下の通り。

Population in Brief 2024

  
シンガポール人口600万の内訳(2024年9月、NPTD報告書より)
シンガポール人口600万の内訳(NPTD報告書より)

このニュース、香港メディアも取り上げた。

South China Morning Post の9月25日の記事:

Singapore closes in on Hong Kong’s population, tops 6 million for first time | South China Morning Post

シンガポールの人口が香港に迫る、初めて600万人超

(前略)

一方、ライバルの金融ハブである香港の人口は、最新の国勢調査データによると先月時点で7,531,800人で、過去12か月間で4,300人減少している。


ーーと述べた後、シンガポールの高齢化問題などに触れるが、香港の人口が今後どうなっていくかについては同記事は何も言わなかった。


少し前の情報になるが、香港の人口は昨年まで2年連続で増えていた。

2月21日のロイター電:

Hong Kong's population edges up to 7.5 mln, second year of post-COVID growth | Reuters

香港の人口 750万人に増加、コロナ後2年連続増

香港の人口は2023年に0.4%増加して750万人になると政府は発表した。これは、金融の中心地である香港がパンデミック以降2年連続で人口増加を記録したことによる。

(中略)

この期間に記録された香港住民の純流入数は51,700人で、79%が香港居住を許可するために中国本土から発行された「片道許可証」を持っていると政府は述べた。

同じ期間に、21,200人の自然減が記録され、出生数は33,200人、死亡数は54,400人だった。


香港は、アジアの金融ハブとしての繁栄を維持しているものの、中国の政治体制を嫌う住民が外国へ逃げ出す流れが続いている。

今後の人口増加は、中国本土からの流入に大きく依存している。


もっとも、香港もシンガポールも土地の制約を持っている点は共通している。

人口を増やしたい(都市をさらに繁栄させたい)からと言っても、隣町を合併して拡大するような方法は取れないのだ。


金融・ビジネスのハブとして繁栄しても、住んでいるところが超過密都市では住民は豊かになった気はしないだろう。


CNAの9月25日の解説記事(リー・クアンユー公共政策大学院シニア・レクチャラーのウー・ジュン・ジエ氏):

Commentary: Even as Singapore’s population exceeds 6 million, it doesn’t have to feel crowded - CNA

解説:シンガポールの人口が600万人を超えても混雑を感じる必要はない

シンガポールは世界的なビジネスハブとしての強さを維持し、都市の居住性も高いため、熟練労働者が仕事の機会と安全な生活環境を求めてシンガポールに引き寄せられるのも不思議ではない。

土地の制約がある中で、シンガポールは人口増加にどう対応できるでしょうか。当局は、居住者だけでなく、成長する経済の中でチャンスを求めてやって来る人々も快適に住めるように都市を計画できるでしょうか。


ウー氏は、こう問いかけた後、高層化・高密度化に加えて、地上と空中の両方に緑地を組み込んだ住宅地を設計、アパートとショップやスーパーマーケット、交通機関、さらには公共サービスが共存する複合開発、などを提案する。

そして、次のように話をまとめる。


住宅街や住宅地に点在する緑地やレクリエーション施設は、高層住宅につきものの視覚的な単調さを打破するのに役立ちます。また、これらのスペースは、住民に遊びや休息のための新しい驚きのスペースを提供し、世界中の多くの人口密集都市に影響を及ぼしがちな混雑感を軽減します。


シンガポールは成長を続けながらも、革新的な都市計画と空間の再利用により、都市の住みやすさと快適さを維持することができます。人口密集都市だからといって直ちに混雑を感じる必要はありません。




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