[更新]タイのカジノ解禁遠のく
[更新]タイのカジノ解禁遠のく
東南アジア株式新聞 2025年7月14日
CNAの7月8日の記事:
タイ、首相停職を受けてカジノ合法化計画を撤回
タイ内閣は7月8日(火)、カジノ賭博合法化法案を廃案にした。
この法案は、先週ペートンタン・シナワット首相が停職処分を受けた、低迷する与党の目玉事業である。
いわゆる「エンターテインメント・コンプレックス(娯楽施設)」法案は、カジノ合法化と、
タイを地域のギャンブル拠点にすることで低迷する経済の活性化を目指すタイ貢献党の主要政策だった。
カンボジアとの国境問題をこじらせ、タイ名誉党が連立から離脱し、ペートンタン首相が司法から停職を食らった。現在の内閣では成立する見込みがなくなった。
東南アジア株式新聞 2025年3月19日
「急がない」が、着実に法案の準備を進めているペートンタン政権
The Nation Thailand の3月11日の記事:
ペートンタン首相:カジノ法案の審議は急がない
Paetongtarn: Cabinet will not deliberate casino bill soon
ペートンタン・シナワット首相は火曜日、議論を呼んでいる娯楽施設法案は関係者全員の徹底的な検討と意見を必要とするため、内閣は法案の最終審議を急ぐつもりはないと述べた。
パトンターン大臣は閣議後の政府庁舎での週例記者会見で、大規模な娯楽施設内でのカジノ運営を認めようとする法案について、政府はまだ最終決定を下す準備ができていないと述べた。
政府庁舎の外では反対デモが行われていると記者から伝えられ、首相は国民の声を聞く姿勢をアピールした。
タイ国内には、カジノ反対運動を繰り広げる団体があり、現在の法案についてマネーロンダリング対策が不備などの批判の声もある。
法案の成立を急げば、政権への支持率低下も起こり得るため、首相はじっくり議論を深める姿勢を強調している。
その一方で、ペートンタン政権は着々と娯楽施設法案の具体化を進めている。
CNAの3月14日の記事:
タイ、カジノ娯楽施設誘致のため観光客に人気の4県を選定
Thailand picks 4 provinces popular with tourists to host casino-entertainment complexes - CNA
タイは、カジノを併設する娯楽施設の最初の4か所として、バンコク、チョンブリ、チェンマイ、プーケットを発表した。
バンコクポスト紙が報じたところによると、娯楽施設建設プロジェクトを監督する特別委員会の副委員長ニコム・ブーンウィセット氏は、これらの場所が選ばれたのは主要な観光地だからだと3月13日木曜日に語った。
そんなタイ国内の事情にはかまわず、外国のカジノ事業者はタイのカジノ免許を虎視眈々と狙っている。
日本経済新聞の2月27日の記事:
マカオカジノ大手の銀河娯楽、28%増益 タイ進出に意欲 - 日本経済新聞
マカオのカジノ大手、銀河娯楽集団(ギャラクシー・エンターテインメント)が27日に発表した2024年12月期連結決算は、純利益が87億香港ドル(約1700億円)と前の期比28%増えた。中国本土客需要の回復で事業環境は好転し、タイ市場への進出にも意欲をみせた。
(中略)
同日の決算会見で呂耀東(フランシス・ルイ)主席はカジノの合法化を目指しているタイへの進出に意欲をみせた。合法化が完了するのを待って慎重に進めるとしつつも、「我々は潤沢な現金があり、タイなどで世界的な施設を展開する力がある」と強調した。
もちろん、ラスベガス勢もタイ市場に熱い視線を送っている。
カジノビジネス情報専門のiGBの3月18日の記事:
Despite legislative setbacks, MGM committed to Thailand
この記事では、MGMリゾーツ・インターナショナルのビル・ホーンバックルCEOにインタビューし、以下のような発言を引き出している。
ホーンバックル氏は、国民の反対を考慮すると、王国の娯楽複合施設法案の可決は「私が思うほど速くは進まないだろう」と認めた。しかし、彼は「日本ほど長い時間をかける必要はない」と付け加えた。
MGMは2023年に日本のカジノ免許事業者第一号になったが、同社は2014年から日本で熱心にロビー活動をしていた。(その当時、私はIRとカジノについてよく取材していたが、ホーンバックル氏は当時COOだった)
タイに関しては、ホーンバックル氏は「2026年の第1四半期か第2四半期までに、実際の法律が制定され、実際のプロセスが確立されることを期待したい」と述べた。
同氏の予想通りに進むかどうかは不明だが、日本ほどの時間はかからない予想については私も同意する。
米国カジノ事業者は海外でも賄賂事件を起こせば地元で免許を取り上げられる。このため、法案成立までのロビイングに熱心な印象だ。
近い将来、ラスベガス勢の姿がタイで目立つようになるだろう。
東南アジア株式新聞 2025年1月15日
タイのカジノ解禁が近づき、動き出す近隣のカジノ企業
タイのペートンタン内閣が1月13日に、統合型リゾート(IR)を建設するためのカジノ法案を承認した。
今後、内閣法制局に当たる部署で法案が整えられ、議会へ提出され、審議へと進む。
早ければ数カ月後にカジノ営業を認める法律が成立することになった。
早くも、マカオのメルコやマレーシアのゲンティンといった近隣のカジノ会社が関心を示し、動き始めた。
そのうち米ラスベガスのカジノ会社も登場し、地元の有力企業と企業連合(コンソーシアム)作りが始まるだろう。
2013~14年頃に議論し始め、2018年に特定複合観光施設区域整備法(通称:IR法)を成立させた日本で見られた展開とよく似たことがこれからタイで繰り返されようとしている。
日本よりは展開は早そうだが、少数のカジノ免許をめぐる企業連合の競争と有力政治家へのロビイング(もしかしたら贈賄疑惑も)の騒ぎがしばらく続く点は同じだろう。
CNA の1月13日の記事:
タイ内閣、物議を醸すカジノ法案を承認
Thai cabinet approves controversial casino Bill - CNA
タイの内閣は月曜日(1月13日)、観光業の振興と雇用創出を目的に、指定された「娯楽施設」でのギャンブルを合法化する物議を醸す法案を承認した。
提案された法案は、テーマパーク、ウォーターパーク、ホテル、ショッピングモールを含む観光施設内にカジノを設置することを許可するものとなる。
タイでは現在、ギャンブルは一部の国営競馬と公式宝くじでのみ合法だが、違法ギャンブルは蔓延している。
「目的は、収入を増やし、タイへの投資を支援し、違法ギャンブルを解決することだ」とペートンタン・シナワット首相は記者団に語った。
法案は起草のため法制委員会事務局に送られ、その後国会で議員らが議論し、採決される。このプロセスにはおそらく数か月かかるだろう。
タイの英語メディアを見ると、国内には反対意見も根強いようだ。
それに、ペートンタン内閣が作った法案は、観光振興ばかりを重視し、ギャンブルの悪影響(依存症や犯罪組織の介入)への対策を軽視しているという批判もある。
Nation Thailand の1月13日の記事:
Cabinet approves bill for casino-entertainment complex
Bangkok Post の1月15日の記事:
https://www.bangkokpost.com/thailand/general/2939697/casinos-a-boon-to-criminals
カジノ会社の動向
法律ができ、免許事業者の選定までどのようなスケジュールで進むかはまだ分からない。
だが、近隣のカジノ事業者がすでに話題になっている。
1月15日の Nation Thailand が報じたところでは、タイ首相府からの情報として、多国籍企業6社が関心を示している。
Six firms interested in casino resort construction in Thailand
おそらく6社に数えられている2社を紹介する。
ゲンティン・マレーシア(Genting Malaysia Bhd. 、Bursa:4715)
New Strait Times の1月14日の記事:
ゲンティン・マレーシア、タイのカジノ市場の動向を注視:CGS証券
ゲンティン・マレーシア社(GENM)は、ニューヨーク州南部のカジノライセンスの取得を引き続き追求しながら、タイのギャンブル市場の動向を注意深く監視している。
CGSインターナショナルは、GENMがこれらの主要市場に戦略的に注力することで、同社は成長機会を活かすと同時に、運営効率と長期的な収益性を向上させることができると述べた。
(中略)
ゲンティンBHDの社長兼最高執行責任者であるタン・コン・ハン氏は、2024年6月に開催されたグループの年次総会で、同グループがタイやアラブ首長国連邦(UAE)などの新興市場での統合型リゾート開発の機会を模索していると述べた。
メルコ・リゾーツ&エンターテイメント(Melco Resorts & Entertaianment Lts. 、NASDAQ:MLCO)
Bangkok Post の1月9日の記事:
マカオのカジノ運営会社がタイにオフィスを開設
https://www.bangkokpost.com/business/general/2936421/macau-casino-operator-opens-thai-office
マカオのカジノ運営会社メルコリゾーツ&エンターテインメントは、タイの統合型リゾートやホテルへの投資を計画しており、同国の活発な観光産業と文化、そして合法的なギャンブルの承認に期待している。
タイは素晴らしいホスピタリティとユニークな文化を持つトップクラスの観光国だと、メルコリゾーツの会長兼最高経営責任者ローレンス・ホー氏は述べた。
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| メルコ株の1年間(NASDAQ公式サイトより) |
ついでに、タイではオンラインカジノ合法化の可能性も話題になり始めた。
話しているのは、首相の父だ。
バンコク発ロイター電 1月14日:
Thailand's Thaksin bullish on legalising online gambling, crypto | Reuters
タイの政界の重鎮タクシン・シナワット氏は、東南アジア第2位の経済大国タイはオンラインギャンブルの合法化を推進すべきだと考えている。同氏は、オンラインギャンブルは政府に年間1000億バーツ(28億9000万ドル)もの収入をもたらす可能性があると述べている。
政府で正式な役職に就いていないものの、75歳の同元首相はタイ政治で最も影響力のある人物の1人であり、38歳の娘パトンターン・シナワット氏の首相職を支える権力の中枢と広く見られている。
タイ内閣がカジノ合法化法案を承認したわずか数時間後の月曜日遅く、バンコクで行われたイベントでタクシン首相は、政府はオンラインギャンブルへのアクセスを規制し、オンラインギャンブルから得られる収入に課税する方法を検討していると述べた。



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