企業研究|シンガポール航空(Singapore Airlines/SIA、SGX:C6L)[更新]
東南アジア株式新聞 2025年5月16日
企業研究|シンガポール航空(Singapore Airlines/SIA、SGX:C6L)
シンガポールのナショナルフラッグ・キャリア、子会社にLCCの Scoot がある
1947年: マレーシア・シンガポール航空として設立
1972年: シンガポール航空として独立
スターアライアンスのメンバー
機内食やサービスの質に定評、充実したマイルプログラム: KrisFlyer
2024/25 会計年度(2025年3月末まで)通年で最高の純利益
シンガポール航空(SIA)が発表した2024/25 会計年度(2025年3月末まで)決算は、過去最高の純利益だった。
ただし、営業利益は前年比37%減と競争環境の厳しさを示した。
地元のメディアは、利益分配方式の従業員へのボーナスが7.4ヶ月分(前年は7.9ヶ月)になることに注目して報じていた。
5月15日の発表:
SIA GROUP ANNOUNCES RECORD FULL YEAR REVENUE AND NET PROFIT
過去最高の28億ドルの純利益を達成。エア・インディアとビスタラの合併による11億ドルの一時的な非現金会計利益による
競争激化による旅客イールドの低下により、営業利益は17億ドルとなったが、旅客輸送量の過去最高記録により一部相殺された
シンガポール航空グループは、強固な基盤と長期的な戦略的投資により、世界貿易とマクロ経済の不確実性を乗り越える強力なポジションをを維持
2024/25年度の期末配当は1株当たり30セントを提案。年間配当は1株当たり40セント
2024/25 会計年度(2025年3月末まで)(単位:百万ドル)
総収益:19,540 (前年比 2.83%増)
営業利益:1,709 (前年比 37.3%減)
純利益: 2,778(前年比 3.9%増)
東南アジア株式新聞 2025年4月18日
ANAと協力を深化、共同運賃商品など
日本経済新聞の4月17日の記事:
ANA、シンガポール航空と5年越し提携 アジアハブ布石 - 日本経済新聞
両エアラインは以前からコードシェアを実施しており、提携関係にある。「5年越し」とは?
「5年越し」について、記事では次のように書かれている。
ANAが共同事業をするのは米ユナイテッド航空と、独ルフトハンザ航空に続く3社目で、アジアでは初めてとなる。
2020年1月に共同事業を始める方針を表明したが、新型コロナウイルス禍もあり、独禁当局による審査が長期化。
ようやく両国の当局から条件付きで認められた。
今回の「提携」は、提携内容の種類・量を増やすことを指している。以下の発表文では「商業協力を深化」と表現している。
SIAの4月17日のニュースリリース:
全日本空輸とシンガポール航空、共同運賃商品と収益分配型フライトの開始で商業協力を深化
全日本空輸(ANA)とシンガポール航空(SIA)は、2025年9月からシンガポールと日本の間で共同運航する便の運航を開始し、これらのサービスの共同運賃商品は2025年5月に販売開始され、両社の商業的パートナーシップがさらに深まります。
これにより、ANAとSIAは、より多様な運賃オプション、シンガポールと日本間のフライトスケジュールの調整強化、スターアライアンス加盟航空会社間のシームレスな接続など、既存のコードシェア提携を超えた付加価値をお客様に提供できるようになります。
両航空会社はまた、ANAマイレージクラブとクリスフライヤーのマイレージ会員向けに、ANAとSIAのフライトの予約クラスを拡大してマイルを獲得できるなど、相互の特典を強化できるよう取り組んでいます。
両航空会社はまた、ビジネス旅行者へのサービスを強化するために法人向けプログラムの調整にも取り組む予定です。
12月末までの9か月実績は、6か月(上半期)時点よりも改善
2025年2月20日の発表:
SIAグループ、第3四半期(2024年12月末まで)までで3.3%の成長を報告
四半期営業利益は6億2,900万ドル
厳しい競争の中で旅客イールド低下したが、旅客輸送が過去最高により四半期収益も最高
燃料価格の低下により、純燃料費は9.8%減少
燃料以外の単位コストは効果的なコスト管理により管理され、インフレの影響を緩和
純利益は増加、エア・インディアとビスタラの合併は2024年11月に完了したころによる10億9,800万ドルの一時的な非現金会計利益による
第3四半期までの9か月(単位:百万ドル)
総収益:14,716(前年同期比 3.3%増)
営業利益:1,425(前年同期比 34.1%減)
純利益: 2,368(前年同期比 12.8%増)
東南アジア株式新聞 2024年11月11日
SIAの2024年上半期(9月30日まで)、純利益が前年同期比ほぼ半減
The Business Times の11月11日の記事:
SIA、旅客イールドがさらに弱まると予想
SIA expects passenger yields to further moderate
シンガポール航空(SIA)は、業界のキャパシティが増加する中、旅客イールド(passenger yield)は引き続き弱まると予想している。
すべての市場と顧客セグメントでイールドが低下し、グループの収益に打撃を与えているのに。
月曜日(11月11日)に行われた2025年度第2四半期の決算説明会で、SIAの最高商務責任者であるリー・リク・シン氏は次のように述べた。
「もちろんイールドの低下は路線によって異なりますが、イールドの低下は全般的に見られました。市場に投入された追加供給による競争の激化を受けて、当社のすべての路線でイールドが弱まりました。」
同氏はまた、エコノミークラスやビジネスクラスを含むすべての顧客層で減少が広範囲に及んでいることも明らかにした。
旅客イールド(Passsenger Yield)は「旅客収入/RPM(有償旅客数✕移動距離)」で計算される、エアラインの業績指標。1人を1マイル運ぶことによってどれだけ収入があったか、を示す。
つまり、リー氏は利益が出にくい状態が続くと言った。
これを受けて SIA株価は下げたが、下げ幅は大きくはなかった。
11月8日発表のSIAニュースリリース:
SIA グループ、上半期純利益 7 億 4,200 万ドルを報告、中間配当 1 株当たり 10 セント
収益微増だったが、経費増で、減収となった。
(経費部分の説明)
経費は10億9,300万ドル(+14.4%)増加して87億200万ドルとなった。
その要因は純燃料費の4億4,700万ドル(+19.6%)増加と非燃料費の6億4,600万ドル(+12.1%)増加。
純燃料費は、輸送量の増加(+2億7,400万ドル)と燃料ヘッジ利益の減少(+1億7,600万ドル)により27億3,000万ドルに達したが、燃料価格の0.4%下落(-1,000万ドル)により若干相殺された。
一般物価上昇の影響にもかかわらず、当グループは業務効率化の取り組みにより、非燃料費の増加を総容量の10.6%増加とほぼ一致させた。
(発表内容より作成)
乱気流事故の余波
東南アジア株式新聞 2024年5月23日
シンガポール航空(Singapore Airlines/SIA、SGX:C6L)がシンガポール証券取引所(SGX)で注目株になっている。
材料は乱気流事故だ。
5月21日、ロンドン発シンガポール行きのSQ321便がミャンマー上空で激しい乱気流に遭遇し、バンコクのスワンナプーム空港に緊急着陸した、というニュースが世界中を駆け巡った。
客席は激しい揺れに襲われた模様で、心臓発作で1人死亡、多くの人が負傷した。
事故原因の調査が進行中で、SIAの業績への影響はまだ不明だ。
5月15日に好決算を発表し、株価がじりじり上昇しそうな段階にあったが、先行き不透明になっている。
BBC 5月22日(水)の記事:
Singapore Airlines apologises for deadly 'traumatic' flight
シンガポール航空のトップは、火曜日の飛行機が「激しい乱気流」に見舞われ、1人が死亡、数10人が負傷したことを受けて謝罪した。
ゴー・チュン・フォン氏は、ロンドン発シンガポール行きSQ321便に搭乗していた乗客に対し、航空会社が「トラウマ的な経験をさせたことを非常に残念に思う」と述べた。
同便はタイの首都バンコクに緊急着陸を余儀なくされた。
乗客211人、乗務員18人を乗せた同機はインド洋上で激しい乱気流に遭遇し、3分間で6000フィート(1800メートル)以上落下した。
ゴー氏は水曜日のビデオ声明で、航空会社が「捜査に関して関係当局に全面的に協力している」と述べた。
前に週までは、SIAについては好決算や高いボーナスがニュースの中心であり、この航空会社は絶好調という印象だった。
CNN 5月17日の記事:
Singapore Airlines: This airline is paying staff a bonus of 8 months’ salary | CNN Business
シンガポール航空は、ボーナスの支払いに関して高い水準を設定している。
事情に詳しい関係者が金曜、CNNに語ったところによると、航空会社は従業員に給与約8カ月相当のボーナスを支給する予定だという。
この情報は公表することを意図していないため、この人物は匿名を求めた。
シンガポール航空はコメントの要請に応じなかった。
同社は水曜日、2023~2024会計年度の年間純利益が19億8000万ドルとなり過去最高を記録したと発表した。
同社は決算報告で、中国、香港、日本、台湾がパンデミック後に国境を完全に再開したことによる北アジアの回復により、年間を通して「航空旅行の需要は引き続き好調だった」と述べた。
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