ASEAN諸国は新たな友好関係作りを急ぐ、米国のイラン攻撃を横目に

 

東南アジア株式新聞 2025年6月23日

ASEAN諸国は新たな友好関係作りを急ぐ、米国のイラン攻撃を横目に

先週末、インドネシア大統領はロシアを訪問し、両国関係を戦略的パートナーシップへ格上げした。

シンガポール首相は22日から中国を訪問中。

マレーシア首相は23日、韓国首相と電話で関係強化を話した。

ASEAN首脳の訪ロや訪中は予定されていたものだが、

世界情勢の変化・緊迫化によって各国は新たな友好関係作りを迫られている。


6月22日(米時間、未明)に米国がイランの各施設を攻撃した。

米政府は「イランの核兵器計画への攻撃であり、イランへの攻撃ではない」と主張している。

だが、外国領土を宣戦布告なしに攻撃した事実は重い。

(米国はイランに直前に核施設を攻撃すると伝えたという報道もあるが、宣戦布告ではない)

その後、イランはイスラエルへミサイルを撃ち、報復として米国基地を攻撃する可能性を公言した。

中国やロシア、それにイスラム教の国々は米国の攻撃を非難している。


米・西欧・イスラエル対イラン(イスラム世界)の構図ができあがる可能性が高まる中、

ASEAN主要国は米中関係だけを気にしている余裕はなくなってきた。




シンガポール首相が訪中


シンガポール首相のX投稿(6月23日):

中国公式訪問開始のため北京に到着し、賀栄(He Rong)司法大臣に温かく迎えられました。

今後の予定も目白押しで、中国との長年にわたるパートナーシップをさらに深める機会となることを

楽しみにしています。


ウォン首相のX投稿(6月23日)


CNAの6月22日の記事:

ローレンス・ウォン氏、首相として初の訪中、北京で李強氏・習近平氏と会談へ


ローレンス・ウォン首相は6月22日から26日まで中国を訪問し、北京で中国の李強首相と習近平国家主席と

会談する。

ウォン氏にとってシンガポール首相として初の中国訪問となり、両国はシンガポールと中国の

外交関係樹立35周年を記念します。

「これは両国の首脳が二国間問題だけでなく、地域・国際情勢についても意見交換する機会でもある」と、

首相官邸は6月22日(日)の声明で述べた。


ウォン首相は中国首脳と会談するほか、天津で世界経済フォーラム(WEF)のニュー・チャンピオン年次総会(通称サマー・ダボス)に出席しる予定だ。


今回の訪問には、ビビアン・バラクリシュナン外相、グレース・フー持続可能性・環境相兼貿易関係担当相、ジェフリー・シオウ運輸相代行兼財務担当上級政務官が同行している。




マレーシアは韓国と電話首脳会談


The Edge Malaysia の6月23日の記事:(中身は国営ベルナマ通信と韓国聯合ニュース)

アンワル氏と李氏、マレーシアと韓国の協力拡大と自由貿易協定について協議


韓国大統領府によると、アンワル・イブラヒム首相と李在明(イ・ジェミョン)大統領は月曜日、

自由貿易協定(FTA)締結に向けた努力を含め、「互恵的かつ実質的な」形で二国間協力を拡大するため

協力することで合意した。


聯合ニュースによると、両首脳は同日早朝に行われた初の電話会談でこの合意に達し、

韓国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の戦略的パートナーシップをさらに発展させることへの期待を表明した

と、カン・ユジョン大統領報道官が記者団に語った。


カン報道官は、「両首脳は、貿易、投資、インフラ、デジタル・トランスフォーメーション、グリーン成長、

防衛など、幅広い分野において互恵的かつ実質的な協力をさらに拡大するため協力することで合意した。

特に、韓国・マレーシア自由貿易協定(FTA)の年内締結を見込んでいる」と述べた。


マレーシアと韓国は国交樹立65周年だという。



イスラム教徒国の連帯が浮上、反イスラエル鮮明に


マレーシアの NST Online の6月23日の記事(中身はイスタンブール発AFP通信):

イスラム諸国、イスラエルにイランに対する「侵略」停止を要請


イスラム協力機構(OIC)加盟国の外相らは、イスラエルに対し、イランへの「侵略」を停止するよう強く求めた。

米国によるイランの核施設への攻撃については言及しなかった。


宿敵であるイスラエルとイランは、6月13日、イスラエルがイランが核爆弾を保有しようとしていると主張し、

壊滅的な空爆を連続して開始し、軍の最高司令官や科学者を殺害して以来、戦争状態にある。

イランは直ちに報復し、それ以来、両国は激しい攻撃を続けている。

外相らは「イスラエルによるイラン・イスラム共和国への侵略を断固として非難し、

イスラエルの攻撃を緊急に停止させる必要性を強調し、

この危険なエスカレーションに対する強い懸念を表明する」とOICの声明で述べた。


イスラム協力機構(OIC)には、イスラム教徒が多数派の57か国が参加している。

ちょうど6月21、22日の日程でイスタンブールで外相会議を開いていた。


インドネシアとマレーシアの外相はそれぞれ、現地で取材を受け、

OIC共同声明と同様、米国への直接言及は避け、イスラエルの軍事行動を批判した。


今後、米国によるイランへの軍事攻撃がエスカレートすると、

インドネシアやマレーシアは「反イスラエル」だけではすまない立場に追い込まれる可能性がある。

両国とも米国との関税交渉が終盤だ。そこに頭の痛い問題が加わった。










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