マレーシア国家半導体戦略の開始から1年

 

マレーシア国家半導体戦略の開始から1年

東南アジア株式新聞 2025年7月29日


ASEAN半導体サミット2025(主催:マレーシア投資貿易産業省・マレーシア半導体産業協会)が

7月24日に開催された。

アンワル首相が登壇し、「国家半導体戦略(NSS)」開始から1年の成果を報告した。


NSSは、2024年5月、アンワル政権が発表した半導体産業育成政策だ。

下流部門に特化して育成してきた マレーシアの半導体産業を上流まで拡大し、

グローバル半導体ハブにするのが目標だ。



   
半導体サミットについてのアンワル首相のX投稿(2025年7月24日)
半導体サミットについてのアンワル首相のX投稿(7月24日)


7月24日のアンワル首相のキーノートスピーチ(首相府の発表):

ちょうど1年ほど前、私はマレーシアの国家半導体戦略(NSS)を発表しました。

NSSでは、社会全体の利益のために技術を推進し、マレーシアをASEAN諸国と共に世界の半導体産業における

主要パートナーとして位置付けるという目標を掲げました。

それ以来、多くの変化がありました。世界的な関税情勢は、輸出規制の強化と技術自立への圧力の高まりに加え、

より不安定で予測不可能なものとなっています。

このように変化する環境において、NSSはマレーシアの長期的な経済的および地政学的グローバルポジション

を強化する上で、これまで以上に重要になっています。



このスピーチで首相は、NSS開始から1年が経過した現在までの主要な成果を披露し、

今後の最重要目標と支援策を説明した。


主要な成果

  • 2025年3月時点で、630億リンギット以上の投資を確保した。

注目すべきプロジェクト

  • Carsem社のAI向け先進パッケージング

  • NXP社の半導体製品

  • Infineon社の200mmシリコンカーバイド(SiC)パワーファブ

  • Syntiant社のMEMSマイクとセンサー

  • Plexus社のプリント回路基板の製造・再生事業

  • マレーシアには現在、半導体バリューチェーン全体で少なくとも13社の国産企業がある。

Carsem、Inari、Pentamaster、ViTrox、Kelington、OppStar、SkyeChip、Infinecs、Experioなど

  • CREST(通商産業省傘下の機関)とHRD-Corp(人材省傘下の機関)が、

2025年から2030年にかけて半導体産業向けの強固な技術系人材パイプラインの構築に向けて

協力する。5年間で12億リンギットの予算配分を提案している。



最重要目標の「10+100」

  • 売上高が10億~47億リンギットのマレーシア半導体サプライチェーン企業を10社設立

  • 売上高10億リンギットをめざす100社を育成する

(現在の為替レートで、10億リンギットは約350億円、47億リンギットは約1700億円)


支援策と3つの重点分野

  • 初期段階の研究開発・製品開発・エコシステムの拡大を支援するための触媒資本を強化。

政府系ファンド(KhazanahやKWAP)や外資などからすでに20億リンギット超のコミット。

  • 政府間協力の深化、マレーシア企業の市場アクセス拡大、技術パートナーシップの構築。

  • CREST/HRDイニシアティブに連携して、官民学の連携を強化。





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