ベトナム、米国との関税交渉で合意

 

ベトナム、米国との関税交渉で合意

東南アジア株式新聞 2025年7月3日


ベトナムと米国は米国7月2日に合意。

初日に伝わった情報は以下の通り(ほとんど米国側の政府高官発言のみ)

  • 米国はベトナムからの輸入に20%関税を課す

  • ベトナムでのトランスシッピング(積み替え輸出)には40%関税を課す

  • ベトナムは米国からの輸入関税を0にする


ベトナム政府も、「合意を歓迎」と声明を出した。

だが、合意内容にどれだけ満足しているかなどは情報がない。


ベトナムのVN株価指数は3日、下落した。

東南アジア地域の株式市場も全般に冴えなかった。





米CNNの7月2日の記事:

米国とベトナムの貿易ディール成立、トランプ大統領が発表

この記事によると、以下のようなことが起きた。


  • 「ベトナムと貿易協定を結んだ」とトランプ大統領はTruth Socialへの投稿で述べた。

  • さらに、投稿し、米国がベトナムからの輸出品に20%の関税を課し、

transshipping」には40%の関税を課すと述べた。

  • ハワード・ラトニック米商務長官は水曜日午後のXへの投稿で、

  • transshipping」関税とは「ベトナムから米国に輸出される製品を通じて他国が自国の

コンテンツを販売する場合、40%の関税が課される」

「その見返りとして、ベトナムはこれまで一度も行ったことのない行動を取るでしょう。それは、アメリカ合衆国に自国の貿易市場への完全なアクセスを与えることです」


CNNは、概要を述べた後、次のように書いた。

この合意が最終的に成立したのか、あるいはベトナムがトランプ大統領の発表に同意したのかは、

現時点では明らかではない。

ベトナム国営メディア「ベトナムニュース」は、トー・ラム事務総長とトランプ大統領が水曜日に電話会談を

行い、合意の条件(同メディアはこれを「枠組み」と呼んでいる)を詰めたと報じた。

ベトナムの米国大使館はCNNのコメント要請に応じなかった。

ホワイトハウスは、トランプ大統領が水曜日の朝に発表した合意の詳細を示す資料をまだ公表していない。


Transshipping は、荷物の積み替え。

中国企業などが製品をベトナムへ送り、ベトナム産のラベルを貼って米国へ輸出すること。



ベトナムは「相互関税」46%を課される予定だったので、20%は大幅に低下したのかもしれない。

その一方で、ベトナム側が米国からの輸入について関税ゼロにするのは、かなり釣り合いが悪い。

本当だろうか?


ベトナム政府の発表を見てみよう。


ベトナム政府ポータル 7月2日:

トー・ラム書記長がドナルド・トランプ米大統領と電話会談

両首脳は、二国間関係の強固かつ良好な発展を喜ばしく思うとともに、両国の交渉代表団が公正かつ均衡のとれた

相互貿易協定に関する共同声明に合意したことを歓迎した。


トランプ大統領は、大排気量エンジン搭載車を含む米国製品への特恵的な市場アクセスを認めるという

ベトナムのコミットメントを高く評価した。

トランプ大統領は、米国はベトナムからの多くの輸入品に対する相互関税を大幅に削減するとともに、

特に双方の優先分野において、未解決の貿易関連問題の解決に向け、引き続きベトナムと協力していく

と明言した。


トー書記長は、米国に対し、ベトナムを市場経済国として早期に承認し、特定のハイテク製品に対する輸出規制を

撤廃するよう求めた。


両首脳はまた、今後数年間における米国とベトナムの包括的戦略的パートナーシップを促進するための主要な

方向性と措置についても協議した。

両者は、あらゆるレベルで代表団の交流と接触を強化し、経済、貿易、投資分野、特に科学技術やハイテク

といった重要かつ画期的な分野における協力を促進することで合意した。


トー書記長は、この機会にトランプ大統領夫妻へのベトナム訪問の招待を改めて表明し

、近い将来にトランプ大統領と再会したいとの意向を表明した。

トランプ大統領はトー書記長の招待に感謝の意を表し、

ベトナムの指導者と近い将来に再会したいとの意向を示した。



ベトナム政府発表は、米国からの輸入に関税ゼロとは言っていない。





株式市場の反応


とりあえず米株の一部(ベトナムを製造拠点にているアパレル系)は上昇。


7月2日のロイター電:

Nike, other retailer stocks rise on Trump's trade deal with Vietnam to reduce tariffs | Reuters

ドナルド・トランプ米大統領が、ベトナムとの貿易協定で同国からの輸入品の多くに当初予想より低い関税率を

課すと発表したことを受け、ナイキなどのアパレルメーカーの株価は水曜日に上昇した。

(中略)

ナイキ(NKE.N)の株価は4%上昇、アンダーアーマー(UAA.N)は2%上昇、リーバイ・ストラウス(LEVI.N)は

2%近く上昇した。



3日のアジア市場は全般に冴えなかった。

ナイキなどと同じくベトナムを製造拠点にているUNIQLO(ファーストリテーリング株)は下落した。


ホーチミン証券取引所(HOEX)のVN指数も3日は下落で取引を終えた。


   
2025年7月3日のVN指数(HOEX公式サイトより)
7月3日のVN指数(HOEX公式サイトより)



さて、関税率20%は成功なのかは見方によるだろう。

当初の40%台よりはるかにましではあるが、アパレル製品で20%は結構高い。


米国がベトナム近隣の諸国に課す関税率がいくらになるかによっては、

東南アジア地域でサプライチェーンの再編が起きる可能性も残る。



関連記事:米国が14か国を対象に新関税率を発表、東南アジアは高めのまま





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