企業研究|CKハチソン(CK Hatchison Hodings Limited、HKEX:1)[更新]
企業研究|CKハチソン(CK Hatchison Hodings Limited、HKEX:1)
香港拠点、ケイマン登記の複合企業
李嘉誠(Li Ka-shing)氏が1971年に長江実業を設立
2015年、長江実業とグループ企業のハチソン・ワンポアが合併
ハチソンのパナマでの港湾事業、買い手に中国本土の投資家が参加へ
東南アジア株式新聞 2025年7月28日
ハチソン・ポート・ホールディングスは7月28日に、パナマでの港湾事業の売却について、
「中国本土の首相戦略投資家」を招くと発表した。
米ブラックロック主導のコンソーシアムへの売却について中国政府の反対に配慮するための
措置とみられる。
ハチソンの7月28日の発表:
ハチソン・ポート・グループに関わる取引に関する内部情報
本発表は、CKハチソン・ホールディングス・リミテッド(当社)の取締役会が、香港証券取引所における
証券上場規則第13.09条(2)項(a)及び証券先物取引条例(香港法第571章)第118部に基づく内部情報規定に
基づき行うものです。
当社は、2025年3月4日付の発表において言及した、当社グループとコンソーシアム間の独占交渉期間が
終了したことをお知らせします。
当該期間満了後も、当社は、中国本土の主要戦略投資家をコンソーシアムの主要メンバーとして招聘すること
を目指し、コンソーシアムのメンバーと協議を継続しています。
コンソーシアムの構成員構成および取引構造(新契約)の変更は、関係当局の承認を得るために必要となります。
当社グループは、新契約の実現に必要な協議期間を確保する意向です。
当社は、関係当局の承認を得られない取引は進めないことを複数回表明しています(当社の過去の発表を
ご参照ください)。
新たな取決めに関する協議が円満に終了するかどうかは不確実であるため、
投資家の皆様は当社の証券を取引する際には慎重になる必要があります。
(以下、略)
7月17日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記事によると、
中国政府が、中国の海運会社COSCOが株式を取得しない場合、売却を阻止すると警告しているそうだ。
3月20日の発表:
2024年12月31日までの会計年度の業績
RESULTS FOR THE YEAR ENDED 31 DECEMBER 2024 HIGHLIGHTS
会長の声明
2024年初頭の経済状況は比較的穏やかで、インフレは緩和し、概ねコンセンサス成長予想の範囲内でした。
しかし、英国と欧州ではエネルギーと投入コストが引き続き上昇し、米国では予想されていた金融政策の緩和
は実現せず、結果として米ドルは歴史的に見て堅調に推移しました。
当年第3四半期以降、米国および当社の事業が展開するいくつかの主要市場では、
株式、通貨、債券、債務市場のボラティリティが高まっています。
地政学的および貿易上の緊張も大幅に高まっています。
商品市場は大幅に変動し、経済活動の低迷に伴う需要懸念の結果、石油、ガス、精製品の価格は概して低調です。
当年、当グループはベトナムの通信事業で37億香港ドルの一時的な非現金減損およびその他の引当金を認識
しましたが、これは事業環境が引き続き大きな圧力にさらされているためです。
しかしながら、全体としては、当グループの基礎的な営業成績は比較的安定していました。
IFRS 16 適用前ベースで、上記の一時的損失を除いた基礎 EBITDA は、主に港湾部門の好調な成長、CKHGT
の全業務の改善、小売部門とインフラ部門の安定した業績により、2023 年と比較して現地通貨で 2% 増加
しましたが、2023 年の非中核資産処分による一定の財務利益が 2024 年には発生しなかったことと、
Cenovus Energy からの貢献が減少したことで一部相殺されました。
基礎 EBIT は、主に CKHGT と Cenovus Energy の減価償却費の増加により、前年比で現地通貨で 1% 減少しました。
(以下略)
CKHGT=CK Hutchison Group Telecom Holdings Limited
Cenovus Energy=カナダの石油精製会社
パナマ運河の港湾事業を売却で株価が上下
2025年3月、普段は大きく動かないCKハチソンの株価が上下に激動した。
日本経済新聞の3月5日の記事:
香港株寄り付き 反発、中国政策に期待 CKハチソンは大幅高 - 日本経済新聞
5日の香港株式相場は反発して始まった。ハンセン指数の始値は前日比258.65ポイント(1.12%)高の
2万3200.42だった。中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が5日に開幕し、中国当局の政策期待
から買いが優勢になっている。
パナマ運河港湾の運営権を売却する計画を発表した香港複合企業の長江和記実業
(CKハチソンホールディングス)が大幅高となり、相場全体を押し上げている。
米国時間4日、米ブラックロックなどの投資家連合がパナマ運河の港湾事業をCKハチソンから
買収することで合意した。
買収額 228億米ドル(約3兆4,000億円)。この巨額なキャッシュがCKハチソンに入ることを材料に
株が買われた。
この買収の背景には、トランプ大統領が、パナマ運河を米国が取り戻すと発言していることがある。
大統領の意向に沿って投資家連合が動き、CKハチソンは米大統領に事業を妨害される可能性を
嫌ったのだろう。
CKハチソン公式サイトの3月4日の発表:
ハチソン・ポート・ホールディングスが所有・運営する特定の港湾に関する「原則的」合意
ところが、この買収話には第2幕があった。
日経の3月14日の記事:
香港CKハチソン、株価一時7%安 パナマ港湾売却に批判 - 日本経済新聞
香港株式市場で14日、大手複合企業の長江和記実業(CKハチソンホールディングス)の株価が急落し、
一時前日比6.8%安となった。
中米パナマのパナマ運河周辺2港の運営権の売却を決めたのを巡って13日夜、中国当局系のホームページに
批判するコラムが掲載され、中国側との関係悪化懸念が浮上した。
コラムは中国共産党で香港政策を担当する「中央香港マカオ工作弁公室」などのホームページに掲載された。
中国政府系香港紙「大公報」による13日付のコラムを転載したもので、香港メディアは
中国側によるメッセージとして大きく報じている。
パナマ運河事業を手放したことに対し、中国政府の不快感が伝わったことで、
CKハチソン株は大きく売られた。
とは言え、政府上層部が直接メッセージを発しているわけではないし、
CKハチソン・グループに何か制裁をしてくるのか不明だ。
3月14日、ブルームバーグ電:
中国政府がパナマ事業売却で脅しても李嘉誠にはほとんど失うものがない
この記事によると、CKハチソン・グループの中国本土と香港での事業は全体の15%に過ぎない。
ちなみに李嘉誠氏は現在96歳、CKハチソンのシニア・アドバイザーだ。
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