企業研究|GOTO(PT GoTo Gojek Tokopedia Tbk、IDX:GOTO)[更新]
東南アジア株式新聞 2025年3月14日
企業研究|GOTO(PT GoTo Gojek Tokopedia Tbk、IDX:GOTO )
インドネシアの配車サービス大手「Gojek(ゴジェック)」と、eコマース(EC)大手「Tokopedia(トコペディア)」が2021年に合併
配車サービス、EC、金融サービスなどを統合した「スーパーアプリ」を展開
2022年、インドネシア証券取引所に上場
2023年、TikTokがTokopediaに出資(約18億米ドル出資し、約75%所有)し、インドネシアでのEC事業をTokopediaと統合
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GOTO株の1年間(3月13日まで、IDX公式サイトより) |
GoToの2024年、調整後EBITDAで初の黒字化
Financial Times の3月12日の記事:
インドネシアのGoToが初の黒字化、Grabとの合併も視野に
Indonesia’s GoTo makes first profit and remains open to Grab merger
GoToのCEOが業績発表で、同社の初の年間プラスの利益を発表するとともに、ライバルのGrabとの合併の可能性を否定しなかったーーという記事だ。
最近またこの合併するかも話を見るようになったが、個人的には、ないと思う。
Grabは単独でインドネシアの配車・配達の両市場でかなりシェアを取っているし、Grabにプラスがなさすぎる。
GoTo の3月12日の発表:
GoToグループ、業績予想を上回る記録的な業績を発表
2024年第4四半期および通期の業績
主なハイライト
グループのコアGTV(総取引額)が第4四半期には過去最高の79.2兆ルピアに達し、前年比66%増、通年では58%増
総収益が第4四半期には過去最高の5兆ルピアに達し、前年比28%増、通年では30%増
経常現金固定費は通年で前年比3%減少
グループ調整EBITDAが第4四半期は3990億ルピアと過去最高、通年では3860億ルピア
金融テクノロジー部門の調整後EBITDAが黒字化した。GoPayアプリ利用とローン残高がともに増加したことによる。2025年にはさらに拡大する見込み
オンデマンドサービス部門は堅調な成長と収益性を維持 - コアGTVは第4四半期に前年同期比24%増、通年では17%増。調整後EBITDAは第4四半期には2670億ルピア、通年では6790億ルピア
GoToは2025年の調整後EBITDAを 1.4兆ルピアから1.6兆ルピアとガイダンスを発表
当期損益で見ても、2024年度は損失が5.4兆ルピアと、2023年度の損失90兆ルピアより大幅に減少した。
Grabと合併?あまり現実的には思えない。
配車・配達はインドネシア市場での寡占率が高すぎる状態になるため、インドネシア政府が許可するとは想像しにくい。
強いて言えば、統合できるのはインドネシアでの金融サービスくらいか。
Grab側のメリットがなさすぎる。
2024年8月19日
前回記事(⇩)から約1か月、少しましになったようだ。
このグラフから底ばいしていたころを観察できる。
東南アジア株式新聞 2024年7月17日
インドネシアの GOTO、株式が底値を這い続けて1カ月
最近、インドネシアの複合企業 GoTo Gojek Tokopedia (GOTO) の株価がまるで罰ゲーム状態に陥っている。
6月19日以降のこの1カ月間、ときおり微妙に上がることはあるものの、底値の50ルピアに張り付いている。
Jakarta Globe の6月20日の記事:
GOTO Stock Dips to Record Low Below 1 Cent, Raises FCA Listing Concerns
(GOTO 株価が 1 セントを下回る記録的安値に下落、FCA リスト入りの懸念)
テクノロジー複合企業 GoTo Gojek Tokopedia (GOTO) の株価は木曜日に史上最安値の 50 ルピアまで急落した。株価は一時 51 ルピアに達したが、すぐに 1 セント未満の 50 ルピアまで下落した。
GOTO の株価は大きな圧力にさらされている。6 月 11 日に開催された株主総会 (RUPS) では株価は上昇しなかった。過去 1 か月で株価は 24.24% 下落し、過去 3 か月で 30.56% 下落した。
GOTO 株が 50 ルピア水準で約 6 か月間推移した場合、フル・コール・オークション (FCA) の特別監視ボードに載せられるリスクがある。このボードの基準の 1 つは、過去 6 か月間の通常市場の平均株価が 51 ルピアを下回っていることだ。
FCAについて正確には不明だが、コール・オークションは株式市場の場(通常の取引時間)外の時間にまとまったコール(売り注文)がある時だけオークション形式で取引を成立させることだ。
長く続けば上場廃止が近い、という状態なのだろう。
私が GoTo の株価を調べたのは、最近 TikTok のニュースを見たからだ。
Nikkei Asia の7月16日の記事:
TikTok e-commerce grows fourfold in ASEAN, narrows gap with Shopee
(TikTokの電子商取引がASEANで4倍に成長、Shopeeとの差が縮まる)
中国のバイトダンスが所有する人気ショートビデオアプリ「TikTok」は、ShopeeやアリババのLazadaなどの地元企業が長らく独占してきた東南アジアで、最大のeコマースプラットフォームの1つになりつつあることが、火曜日に発表された年次調査で明らかになった。
同アプリのeコマースプラットフォーム「TikTok Shop」は、2022年の44億ドルから昨年は163億ドルと、流通総額(GMV)がほぼ4倍に増加し、地域のライバルの中で最も高い成長率を記録したと、シンガポールを拠点とするコンサルティング会社Momentum Worksが報告している。
TikTokが昨年過半数の株式を取得したインドネシアのTokopediaと合わせると、TikTokのeコマースプラットフォームはLazadaを抜いてASEAN地域で2番目に大きな企業となり、昨年の市場シェアは推定28.4%となったと報告書は述べている。
少し見方を変えれば、このTikTok 絶好調の記事とは別の世界もある。
4月に米国でTikTok利用を禁止する法律が成立し、米国での営業が継続できるか微妙になっている。
米国ではTikTok利用者も多いが、中国系テクノロジーを嫌悪する人も多い。
大市場の米国で生き残るためには、中国との関係を薄くする必要があるため、TikTokが狙える大市場として東南アジアの重要性が高い。
だが、TikTokは昨年12月、インドネシアでソーシャルメディアで商品販売を禁止する法律に違反すると認定された。
このため、インドネシアの大手eコマース Tokopediaに出資し、商品販売はTokopediaを通じてやっていますという形を取り、インドネシアでの営業をかろうじて継続した。
上場以来、株価不振から脱却できないインドネシアの期待の星
というわkで、TikTok 絶好調のニュースがあれば、インドネシアでのパートナーがどうなっているか気になるというもの。
はっきり言えば、GOTOの株価不振は2022年4月の上場以来ずっと続いている。
かつての期待のユニコーンでも、いつまでも赤字営業していれば、株主が逃げていく。
同社が何の努力もしなかったわけではない。
4月29日に第1四半期の業績発表をしたときも、TikTokとの提携により黒字化に向けて順調に進んでいることを強調した。
しかし、同期の基礎損失は1020億ルピア(628万米ドル)と巨額であり、黒字への道は遠い印象を残した。
最近でも、7月16日に GoToエコシステム全体に最新のAI(人工知能)テクノロジーを開発して組み込む長期的なプログラム「GoTo AI」を導入したと発表した。
その一環として、インドネシア語で使える初のAI対応フィンテック音声アシスタント「Dira by GoTo AI」も発表した。
だが、株価は反応しなかった。
GoTo Gojek Tokopedia は2021年に、インドネシアの2つの最も価値のあるスタートアップである配車大手Gojekとeコマース企業Tokopediaの合併した会社だ。インドネシアの輝く星だった。
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