企業研究|シティ・デベロップメント(City Development Limited.、SGX:C09)[更新]

企業研究|シティ・デベロップメント(City Development Limited.、SGX:C09)

  • 1963年設立のシンガポールの大手不動産会社

  • シンガポールとマレーシアを両本拠とする複合企業ホンリョン・グループの中核企業の1つ

  • 不動産開発・投資、ホテル経営などを世界中で展開

  • 東京などでQUALITASブランドの賃貸マンションを所有するほか、ホテルにも投資

   

CDL株の1年間(2025年8月13日、SGX公式サイトより)
CDL株の1年間(SGX公式サイトより)



東南アジア株式新聞 2025年8月13日


2025年上半期は増収増益


8月13日の発表:

CDL、2025年上半期の売上高が17億Sドル、PATMIが9,120万Sと発表

シティ・デベロップメンツ・リミテッド(CDL)は、

2025年6月30日までの半期(2025年上半期)に16億Sドルの売上高を記録した。

税引後・非支配持分控除後純利益(PATMI)は9,120万Sドル(2024年上半期:8,780万Sドル)。

この増加は、不動産開発部門の業績改善によるもので、

2025年4月に完工した合弁事業のエグゼクティブ・コンドミニアム・プロジェクト「コペン・グランド」、

そして「ザ・ミスト」、「ノーウッド・グランド」といったその他の貢献プロジェクト、

そして合弁事業プロジェクト「キャニングヒル・ピアーズ」、「テンブス・グランド」、「ジ・オリー」、

「カシア」からの利益が計上された。


(S$ million)

1H 2025

1H 2024

% Change

収益

1,687.9

1,562.5

8.0

税引き前利益

139.9

155.4

(10.0)

PATMI

91.2

87.8

3.9


賃貸物件セクターの説明で、日本が登場する。

Japan:当グループのポートフォリオ(2,246戸からなる40の運用資産)は、特に東京と大阪で95%の

平均稼働率と力強い賃料上昇を達成しました。





東南アジア株式新聞 2025年4月24日

クウェック父子の対立受け、4月23日の株主総会は大荒れ

ホンリョンが強いシンガポールとマレーシアのメディアは、クウェックのお家騒動でまだ騒いでいる。

それでも株価はやや回復基調にあるようだ。そろそろ、経営不安への売りよりも、業績で買う向きも出てきたのだろう。



The Edge Singapore の4月23日の記事:

医者と蛇:CDLの年次総会で取締役会と株主が家族の確執を反対尋問、火花が散る

Of doctors and snakes: Sparks fly at CDL AGM as board, shareholders cross-examine family feud

今年初め、シティ・デベロップメンツ・リミテッド(CDL)の取締役会における二派閥間の亀裂が明るみに出た

衝撃的な騒動を受け4月23日に開催された、同社の第62回年次総会(AGM)は、3月に保有株の価値が16年ぶりの

安値に急落した株主の不安を和らげるはずだった。

ところが、社外取締役のフィリップ・ヨー氏は、既存の取締役3名(筆頭独立取締役のフィリップ・リー氏、

独立社外取締役のダニエル・デスバイエ氏、独立社外取締役のウォン・アイアイ氏)に対し、

取締役会の全会一致の承認を得ずにウォン・スー・イェン氏とジェニファー・ドゥオン・ヤング氏を

独立社外取締役に任命するという「議題の押し付け」を行ったとして、反対を唱えた。

(中略)

もう一人の新任取締役であるウォン・スー・イエン氏は、シンガポール取締役協会(SID)の元会長であったため、

今回の騒動への関与でより大きな批判に直面した。

ウォン氏は、自身のLinkedInプロフィールに記載されているように、2020年から2023年にかけて

「シンガポールの企業統治の最高機関」を率いており、SID初の女性会長でもあった。

(中略)

CDLの社外取締役5名全員が4月23日に再任された。

CDL株は4月23日、前日比6セント(1.24%)高の4.90ドルで取引を終えた。

1年前に52週間高値の6.15ドルを記録したCDL株は、年初来で4.3%下落した。




東南アジア株式新聞 2025年3月3日

クェック(父)、息子に対する訴訟を取り下げ


CNAの3月13日の記事:

CDL shares up more than 4% after Kwek Leng Beng drops lawsuit against son - CNA

シティ・デベロップメント(CDL)の株価は、クウェック・レンベン会長が息子のシャーマン・クウェック氏と

取締役グループに対する訴訟を取り下げると発表した翌日の木曜日(3月13日)、急騰した。

午前の取引で同指数は4.45%上昇し、5.16Sドル(3.87米ドル)となった。

その後、株価は上昇分を失い、終値は3%(0.15Sドル)高の5.09Sドル。取引された株数は約567万株、

価値は2,900万Sドル。




クェック(父)、ウー博士を辞任させ、クウェック(息子)に反撃


The Edge Singapore の3月4日の記事:

キャサリン・ウー博士が辞任

 CDL CEO は「もはや」企業統治に関する疑惑を唱え、取締役会のクーデターを

正当化することはできない: クウェック・レン・ベン

「M&C在職中、ウー博士はM&Cの多くの業績に大きく貢献しました。 私たちはウー博士の長年にわたる奉仕に

感謝しており、彼女の今後の活躍を祈っています」とクウェック氏は言う。

ウー博士の辞任に伴い、CDLのCEOであるシャーマン氏と彼の取締役チームは、CDLに関して

「そのような企業統治に関する申し立て」をしたり、取締役会のクーデタを正当化したりすることが

できなくなるだろうとレン・ベン氏は付け加えた。


クウェック(父)は再度「クーデタ」という言葉を使った。

法定の審議では、ウー博士の辞任がクウェック(息子)の企業統治改革の正当性をどれだけ弱めるかは

わからない。

むしろウー博士の人事がクウェック(父)の独断で行われてきたことを証明しているように見える。

3月3日時点での報道では、クウェック(息子)=シャーマン・クェック氏は大物弁護士

ダビンガー・シン氏を味方につけたそうだ。


ホンリョン財閥創業家での権力争いはますます燃え上がっている。

だが、CDLの多くの利害関係者にとっての問題は、企業のレピュテーション(評判)リスクだろう。


The Edge Malaysia の3月5日の記事:

シンガポールのCDL、内紛のせいで最大デベロッパーの地位を失う

シティ・デベロップメント・リミテッド(CDL)は月曜日に株価が下落したことでシンガポール最大の

上場デベロッパーとしての地位を失い、公の場で明らかになった一族間の確執に対する投資家の懸念を

浮き彫りにした。

シンガポールを拠点とするこの不動産開発会社の株価は一時7%下落したが、正午前には下げ幅を縮小した。

 2009年以来の最低値で終了する見込みだ。

(中略)

シティグループを含むアナリストらは、同社の株価は過小評価されているため、

ポジティブな解決策が長期的に株価上昇の大きな要因となるだろうと述べた。



たとえば、プロパティ・アジア・ダイレクトの以下の記事では、5日の時点でもCDLが首位となっている。

シンガポールの不動産デベロッパー、ベスト10

  1. City Developments Limited (CDL)

  2. CapitaLand Limited

  3. Keppel Land Limited

  4. GuocoLand Limited

  5. Bukit Sembawang Estates Limited

(以下、略)





東南アジア株式新聞 2025年3月3日

シンガポールのホンリョン系大手不動産会社で親子闘争

最近、シンガポールやマレーシアのメディアは連日、CDLの親子権力闘争についての記事を書いている。

ホンリョン・グループの不動産部門の中核企業で、グループ創業家クウェック・ファミリーの現在のボスとその息子が法定で争っている。

(Gemini に聞いたところ、実際の英語の発音に近い表記は「クウォック」または「クワク」とのことだが、この記事では英語スペルが想像しやすい「クウェック」で統一した。)



CNAの2月26日の記事:

CDLの権力争いがガバナンスと株価への懸念招く

(前略)

何が起きたのか

シンガポール最大の不動産開発会社内部の権力闘争は水曜日(2月26日)、会長のクウェック・レンベン氏が、

息子でグループCEOのシャーマン・クウェック氏が取締役会で「クーデター」を企てたと非難する声明を

発表したことで公になった。

クウェック氏は、息子と取締役グループがCDLの指名委員会を迂回して新たな独立取締役の任命を強行し、

その後取締役会の委員会とガバナンスに重大な変更を加えたと主張した。

そこで、彼は「企業の誠実さを回復する」ために裁判所に書類を提出し、「適切な時期」にCEOを交代させる

つもりだ。


CDLは、同社の経営陣を変更する正式な取締役会決議が可決されるまで、シャーマン・クウェック氏が

CEOに留まると述べた。

同社の広報担当者は、取締役会での論争によりCDL株の取引は一時的に停止されたが、

事業運営には影響がないと付け加えた。



息子のシャーマン・クウェック氏も声明を出して、反撃している。

シャーマンCEOは、父親の行動を「極端」と表現し、この法的措置は取締役会の過半数によって承認されたものではないと主張した。


ところで、クウェック・レンベン(Kwek Leng Beng、郭令明)氏は、有名な富豪だ。

シンガポールとマレーシアで大きな勢力を持つ財閥ホンリョン・グループの創始者である故クウェック・ホンプン(Kwek Hong Png、郭芳楓)氏の息子で、現在のホンリョン・グループの会長だ。

そんな人が「息子にクーデタの試みを起こされている」と主張している。


本当にクーデタの試みなのか?


CDLの公式サイトによると、(2024年2月29日時点で)大株主は以下の通り。

  1. Hong Leong Investment Holdings Pte. Ltd. 18.60%

  2. Hong Leong Holdings Limited 16.41%

  3. Citibank Nominees Singapore Pte Ltd 11.87%

他は一桁%だ。


クウェック(父)氏は上記 1、2などの企業に対する支配力を通じて、CDLでも大きな影響力を行使している。

クウェック(息子)氏がどれだけ 1、2の企業で発言権を有しているか不明だが、単独でCDL会長の座からクウェック(父)氏を追い出す力があるとは想像しにくい。


CDLが2月21日に発表した「取締役会委員会の構成に対する変更」を読んだが、指名委員会と報酬委員会を統合して指名・報酬委員会にするとか、独立社外取締役を2名で設置するとかだ。

少なくとも表面的には、会長の権限を縮小するような話には見えない。

クウェック(父)の不満は、自分に忠実な取締役たちの発言権を縮小することになるか、委員会構成の変更の決定に問題があった(会長が知らなかった、など)、ということだろう。


法的に父と息子のどちらの主張が正しいかは法廷闘争の結果を待てばよい。


このクウェック家の争いをシンガポールやマレーシアのメディアで騒々しくなっているのは他にも理由がある。

クウェック(父)氏と親しい女性の問題だ。


The Strait Timesの3月2日の記事:

キャサリン・ウー、CDLのクェック・レンベンの「目と耳」として活躍する台湾人音楽家

キャサリン・ウー博士が入ってくると、ホテルの宴会場の雰囲気は気まずいものになった。

不動産グループ、シティ・デベロップメント・リミテッド(CDL)が2024年に開催した主要なイベントには、

ウー博士と「長い関係」にあると言われているCDLの80代の会長、クウェック・レンベン氏の妻、

セシリア・クウェック夫人が出席した。

クウェック夫妻に近い人々は、ウー博士(65歳)が政府関係者を含む来賓や要人と挨拶し、

握手する様子を不快な思いで見守っていた。



ウー博士の名前は、クウェック(息子)氏の声明の中に登場した。

「この紛争の主な原因は、キャサリン・ウー博士の行為から生じたCDLグループ内の企業統治に関する

非常に深刻な問題に関係している」と。

ウー博士は、ホンリョン・グループ内でCDLとも関係の深いミレニアム&コプソーン・ホテルズ

(M&C)の取締役を務めている。

クウェック(息子)氏によると、「彼女と会長との長い関係のため、状況をコントロールするための

努力は慎重に行われたが、無駄だった」。


上の記事によると、クウェック(父)氏と独身であるウー博士は1992年に台湾の

ディナーパーティーで会って以来親しい間柄だという。

台湾出身のウー博士は、ジュリアード音楽院で修士号を、ニューヨーク大学で博士号を取得した。

「昨年、聯合早報とのインタビューで、ウー博士は過去30年間、クエック・レンベン氏に同行して

グループのさまざまなホテルを訪れ、会議や視察に出席し、モデルルームを見学し、装飾を監督し、

食事を共にしてきたと語った」とも書いている。


CDLとウー博士には直接の関係はない。

それでも、CDLの、CEOクウェック(息子)氏やその他の幹部にとって、

ウー博士のアドバイスを含めた会長クウェック(父)氏の経営判断への介入が邪魔なものなのだろう。


そこまで考えるとクーデタの試みがあったのかも、と思えてくる。

あるいは、父が法廷闘争にしたのを好機として、愛人問題で父を追い落とそうとしているのかも

しれない。

今後の成り行きから目を離せない。




2024年度は業績好調、前年比で収益は33.8%増、PATMIは36.6%増


2月26日の発表:

CDLの2024年度、33億Sドルの収益、PATMI(税・少数株主利益引き後利益)2億130万Sドル

  • シンガポールの住宅販売は好調で、1,489戸を販売、販売額は29億7,000万Sドル

  • 投資不動産部門は買収、資産の増強とオーガニック成長により収益が11.1%増加

  • 資本リサイクルイニシアチブの一環として、世界中で6億Sドルを超の資産売却を達成

  • 28億Sドルの現金準備金により、強力な流動性ポジションを維持



プレゼン資料:

https://citydevelopmentslimited.gcs-web.com/static-files/895d6439-fe22-4e71-828d-c4fd42b6c2cf


2024年度のグローバル投資例には、日本でのマンション5物件も紹介されている。















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