インドネシア、EUと包括的経済連携協定(IEU-CEPA)を締結 +カナダともCEPA

 

インドネシア、EUと包括的経済連携協定(IEU-CEPA)を締結

+カナダともCEPA

※ インドネシア・カナダCEPAについて後半に追加しました。


東南アジア株式新聞 2025年9月24日


インドネシアと欧州連合(EU)は9月23日、包括的経済連携協定(IEU-CEPA)をに署名した。

両者はそれぞれの批准手続きを経て、2027年1月1日の発効を目指している。


今年7月、プラボウォ大統領とフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長の間で基本合意が

成立したと発表されていた。


両者にとって10年越しの貿易交渉を経ての合意だ。

これには、米トランプ政権の関税・貿易政策という特殊要因が推進力となったのだろう。

お互いに、新しく友好的な経済圏を開拓する必要性があった。




インドネシアは、パーム油、コーヒー、繊維・衣料、家具など輸出拡大に期待


国営アンタラ通信の9月24日(水)の記事:

インドネシアとEU、関税を98%削減する歴史的な貿易協定を締結

バリ島ヌサドゥア - インドネシア政府と欧州連合(EU)は、労働市場の活性化と中小零細企業(MSME)の支援

を目的とし、インドネシア・EU包括的経済連携協定(IEU-CEPA)に署名した。

「この協定は2027年1月1日に発効することを目指しています」と、

アイルランガ・ハルタルト経済担当調整大臣は火曜日の調印式後に述べた。

(中略)

この協定は、物品、サービス、投資の貿易を網羅し、双方は貿易品目の98%以上(輸入額ベースでは約99%)の

関税を撤廃することを約束する。

「発効すれば、インドネシア製品はEU市場の約90%で即時ゼロ関税を享受できる」とハルタルト氏は述べた。



インドネシアとEUはこの交渉を2016年に開始しており、約10年で合意に達した。

米国トランプ政権の関税政策により対米輸出の鈍化が見込まれる中、

インドネシアもEUも大きな輸出市場を求めた結果でもある。


2027年1月に協定が発効すれば、約80%の品目で双方の関税がほぼゼロになるという画期的なものだ。



アンタラ通信の9月23日の記事:

IEU-CEPAはインドネシアのEV投資を促進し雇用を創出する:大臣

アイルランガ・ハルタルト経済担当調整大臣は、インドネシア・欧州連合包括的経済連携協定(IEU-CEPA)は、

特にインドネシアにおける電気自動車(EV)開発において、大きな投資機会を開くものだと述べた。

「鉱物資源については、現在、欧州の投資家と連携しており、欧州の自動車メーカーとの協力についても協議

しています」と、ハルタルト大臣は火曜日にバリ島ヌサドゥアで行われたIEU-CEPA調印式で述べた。

また、欧州連合(EU)はインドネシアの鉱物資源と成長を続けるEV産業に強い関心を示していると指摘した。


この記事に書かれたポイント:

  • IEU-CEPAは、両地域の7億2,300万人を結びつけ、経済価値は合計21兆米ドルを超える。

  • インドネシアの対EU輸出は、実施初期段階で最大60%増加すると予測されている。

  • 最も恩恵を受けるインドネシア産業は、パーム油、コーヒー、繊維・衣料、履物、家具など。

  • インドネシアはスマートフォンや通信機器などのハイテク製品の輸出を拡大すること

ができると期待される。


ハルタルト氏によると、この協定は双方に利益をもたらし、欧州市場へのアクセスにおいて長らく官僚的な

障壁に直面してきたインドネシアの中小零細企業(MSME)への重要な支援も含まれるという。

「我々は、EUとのMSME支援に関する合意に基づき、MSMEが欧州市場に円滑に参入できるよう

ガイダンスを提供していく」とハルタルト氏は付け加えた。




EU側は食品や機械・自動車の輸出と重要原材料の確保に期待

EUの発表資料を見ると、IEU-CEPAにはインドネシアと双方に大きなメリットがもたらされる

と期待されている。

EUが重視している分野は、食品、化学品、機械、自動車の輸出と、

クリーンテクノロジーのための鉱物資源の確保だ。


EUの9月23日の発表:

EU・インドネシア貿易協定および投資保護協定の主要要素

2025年9月23日、欧州連合とインドネシアは「包括的経済連携協定」(CEPA)の交渉を完了した。


以下、貿易協定(Trade Agreement)の一部:


物品貿易

EUとインドネシア間の二国間物品貿易は、2024年に273億ユーロに達した。

インドネシアからのEU物品輸入は2024年に175億ユーロ、EU物品輸出は昨年98億ユーロに達した。


EUとインドネシアは、関税品目の98%以上、金額ベースではほぼ100%の関税を撤廃する。

発効時点で80%が自由化され、5年間の段階的撤廃を経て、貿易の96%が自由化される。


双方の主要経済セクターに大きなメリットがもたらされる。例えば、

  • EU:農産食品、化学品、機械、自動車産業。

  • インドネシア:パーム油、繊維、履物。


インドネシアは、工業製品に対する高関税を撤廃します。例えば、

  • 自動車(現在の関税は最大50%ですが、5年間かけて大部分を撤廃します)。

  • 機械及び電気機器(発効時は大部分が無税、5年後も継続)。

  • 医薬品(発効時は大部分が無税、3年後も継続)。

  • 化学品(発効時は大部分が無税、5年後も継続)。


本協定は、EUの農産食品輸出に対する関税も撤廃します。例えば、

  • 加工食品(現在最大30%の関税、多くは発効時に撤廃、一部は短期間の段階的措置を経て撤廃)。

  • ほとんどの乳製品(現在最大10%の関税、多くは発効時に撤廃)。

  • 肉製品(現在5~20%の関税、多くは発効時に撤廃)。

  • 本協定は、EUに輸出されるインドネシア産品のほとんどに対するEUの関税も撤廃または大幅削減する。



EU が同日発表したプレスリリースの中に、

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長のコメントがある。

「EUの雇用をさらに支援し、成長を促進するため、我々は多様化とパートナーシップの強化に注力することを

約束しました。

インドネシアとの協定は、成長を続ける主要経済国の企業や農家に新たな機会を創出します。

また、欧州のクリーンテクノロジーと鉄鋼産業に不可欠な重要原材料の安定的かつ予測可能な供給も

確保します」




東南アジア株式新聞 2025年9月26日

インドネシア、カナダと包括的経済連携協定(CEPA)



カナダ首相府の9月24日の発表:

カーニー首相、インドネシアとの新しい貿易協定を発表、ASEAN諸国との初の二国間貿易協定

米国があらゆる貿易関係を根本的に変革する中、世界の貿易環境は急速に変化しています。

この新たな時代において、パートナーはもはや米国の価値観の強さだけでなく、米国の強みの価値にも頼る

ようになるでしょう。

わが国は国内で強みを築き、海外でのパートナーシップを多様化し、自国の利益を追求するための新たな

つながりの網を構築しています。

この目的のため、マーク・カーニー首相は本日、インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領をオタワに迎え、

新たなカナダ・インドネシア包括的経済連携協定(CEPA)を発表しました。

これは、カナダにとってASEAN加盟国との初の二国間貿易協定です。


CEPAの骨子:

  • 関税および非関税障壁を撤廃または削減し、貿易と投資のための透明性と予測可能性の高い

環境を創出する。

  • CEPAが完全に実施されれば、カナダからインドネシアへの現在の輸出品の95%以上で

関税が削減または完全に撤廃される。

  • 小麦、カリ、木材、大豆などのカナダの輸出品はインドネシアにおいて競争力を高める見通し。

  • CEPAは2026年に発効する。


その他の協定:

カナダ輸出開発公社(EDC)とインドネシア投資庁(INA)との間で、

市場リーダー・パートナーシップ協定

  • EDCはINAに対し最大8億2,500万ドルの融資を提供する。

  • EDCとINAは、インフラ、デジタルサービス、再生可能エネルギー、先進製造業など、

インドネシア全土の優先分野において、カナダの輸出業者と投資家のために投資誘致と

新たなビジネス機会の創出に協力する。


カナダ・ビジネス評議会とインドネシア商工会議所(Kadin)との間で、

カナダとインドネシア間の貿易投資関係を強化するための協定

  • 二国間貿易ミッションを通じて、強力なビジネス連携ネットワークを構築する。
















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