マレーシアで政府転覆の陰謀?
マレーシアで政府転覆の陰謀?
東南アジア株式新聞 2026年3月5日
最近にわかに、マレーシアのメディアが盛んに「plot to topple government」(政府転覆の企て)を
報じるようになった。
3月3日には議会答弁で、首相が陰謀疑惑の中身を説明するまでになった。
本当に「政府転覆」の陰謀が存在するかはともかく、
反MACC(マレーシア汚職委員会)、反アンワル政権の活動が活発化しているようだ。
CNAの3月3日(火)の記事:
政府転覆と目される陰謀は資金が豊富、時期選挙まで「戦略的に計画されている」、アンワル首相
マレーシア政府転覆を企てたとされる陰謀は、2028年2月に予定されている次期総選挙まで、
国際的な銀行家やメディアを利用して国家機関を弱体化させる計画だったと、
アンワル・イブラヒム首相は3月3日(火)の議会で述べた。
「予備調査によると、この活動は海外を拠点とし、多額の資金援助を受け、地元住民の支援を受け、
現政権とその政策に挑戦することを戦略的に計画し、次期総選挙でその頂点に達するまで続けられていた」と、
アンワル首相は、野党のシャヒダン・カシム議員による警察の捜査に関する質問に答えて述べた。
こんな突拍子もない陰謀話は2月下旬ににわかに出てきた感じだった。
たとえば、地元マレーシアの新聞 The Star の2月27日の記事:
Police probe alleged plot to topple government | The Star
警察は、政府転覆と国家の安定を阻害する陰謀の疑いに関する報告書を受け取り、
捜査を開始したことを確認した。
警察監察総監のモハメド・ハリド・イスマイル氏(写真)は、捜査は地元の「有力者」が国際メディアと
共謀していたという疑惑に焦点を当てていると述べた。
CNAの記事は、以下のようなことを記している。
警察の報告書には、故ダイム・ザイヌディン元財務相の未亡人ナイマ・アブドゥル・ハリド氏
の名前が挙がっていたが、彼女は政府の不安定化を企てるいかなる試みにも関与していないと
否定し、この疑惑は「虚偽であり、ばかげている」と述べた。
ダイム氏とナイマ氏は2024年1月に資産申告を怠った罪で起訴され、
ダイム氏は同年11月13日に死去した後、無罪となった経歴がある。
アンワル首相によると、この陰謀には、新聞編集者やジャーナリストの利用、
政府の措置に疑問を呈する法的分析の掲載、国会質問への介入、国際銀行家らの影響力を
利用して首相の動機に疑問を呈することが含まれている。
アンワル首相はさらに、「著名な」シオニスト団体に所属する人物の関与を示唆した。
首相の説明では、捜査中の陰謀は、国際的なフォーラムや国際NGOを通じて情報収集と
影響力行使を行い、マレーシア政府に国際的圧力をかけ、それをブルームバーグに報道させる
こと。
陰謀に関与したとされる企業、組織、個人が2025年にマレーシア国内外で6回会合した。
アンワル首相は、議会答弁で、次のように強調した。
「これは首相への批判ではありません。政府と国家を妨害しようとする試みなのです」。
さて、ブルームバーグが名指しされるのには理由がある。
ブルームバーグの2月10日(火)の記事:
マレーシアの反汚職委員会の責任者であるアザム・バキ氏が、金融サービス会社の株式を数百万株保有してい
たことが、企業提出書類で明らかになった。
数年前、同氏の株式保有をめぐる騒動が起こり、辞任を求める抗議活動が巻き起こって以来、
同氏名義の主要株式が公表されたのはこれが初めてだ。
マレーシア反汚職委員会(MACC)の委員長を務めるアザム氏は、ベロシティ・キャピタル・パートナー社の
株式1,770万株を保有していた。
これは、ベロシティ・キャピタル社が昨年2月3日にマレーシア企業委員会に提出した年次報告書で明らかに
なった。
火曜日の取引終了時点で、その株式の価値は約80万リンギ(約20万4,000ドル)に上る。
アザム氏側の反応についても、記事の中で紹介されている。
「マレーシア中央委員会(MACC)は火曜日、ブルームバーグの報道を受けて声明を発表し、
アザム氏は収入源、株式を含む資産の取得・処分に関して「適用される資産申告要件を完全に遵守
している」と述べた。」
同じ記事で、
マレーシアでは法律や通達で公務員が企業の株を持つ場合、公表する義務があること、
しかし違反したとして厳しい処分を受けた例が、同国ではないことも、書いている。
つまり、多くのマレーシア国民は気にしていない。
しかも、このブルームバーグ記事が問題にしていることは、
アザム氏についてよほど集中的に調査しないと気づかないような内容だ。
つまり、ブルームバーグがアザム氏の評判を落としたいか、
そのように望む誰かが記者に告げた可能性が高い。
MACCは、多くの人や組織を汚職容疑で摘発しており、同委員会やアザム氏に恨みを持つ人がいることは
想像に難くない。
また、アンワル政権になってからMACCによる汚職摘発が増加したことも事実だ。
次の選挙で、正義派のアンワル氏の権力を削ごうと陰謀をめぐらす勢力がいても不思議ではない。
そこに「シオニスト」が関与しているとなれば徹底的に究明するのに反対意見は出にくい。
そこで、冒頭で紹介した陰謀疑惑に、この記事を流したブルームバーグが登場することになった。
ベロシティ・キャピタルについては、The Edge Malaysia が同じ2月10日の記事で、紹介している。
Who is Velocity Capital? A look at the penny stock that drew Azam Baki's interest
低位株のVelocity Capital Partner Bhd(KL:VELOCITY)は、マレーシア汚職防止委員会(MACC)の
タン・スリ・アザム・バキ委員長が昨年同グループの株主に名乗りを上げていたとの報道を受け、
火曜日に再び注目を集めた。
Edge 記事によると、
Velocity Capitalという名称は、上場以来7番目。最初はAPP Industries Bhd、
その後、PFCE Bhd、Spring Gallery Bhd、DWL Resources Bhd、KTG Bhd、
CSH Alliance Bhdと、6回社名を変更した。
同社は傘下に、運送サービス、ITソリューション、包装材製造、EV販売など、
様々な分野で事業を展開する子会社を持つ。
株価は低迷しており、株を持っていてもアザム氏が大儲けした可能性はあまりなさそうだ。
逆に、同氏がそんな低迷株を保有しているのはなぜか、という疑問が生じるものの、
株式保有のみを問題にしている上記のブルームバーグ記事にはやはり奇妙な印象を残る。
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| ベロシティ・キャピタル株の1年間(Bursa公式サイトより) |

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