マニラ訪問記(2026年3月20〜25日)1:エネルギー非常事態
マニラ訪問記(2026年3月20〜25日)1:エネルギー非常事態
東南アジア株式新聞 2026年3月25日
3月20日〜25日の日程でメトロ・マニラ(マニラ首都圏)を訪問した。
もともとは私にとってのASEAN7カ国目の訪問地として選んだのだが、
フィリピンは、ホルムズ海峡封鎖の影響を大きく受ける国として注目を集めるタイミングとなった。
滞在した間でメトロ・マニラ(マニラ首都圏)を見た限りでは、経済活動が滞るまでには
至っていなかった。
観光客としては、Grab で車を呼ぶのに苦労はなかった。
道路渋滞は激しく、ガソリンスタンドで買い溜めの列を見ることもなかった。
だが、事態は急速に悪化している。
滞在期間中、乗合バス「ジープニー」運転手がストをした、行政が運転手たちに給付金を出す、
といったニュースが流れていた。
そして24日、マルコス大統領がエネルギー非常事態宣言を出した。
25日、運転手が給付金を受け取りに行ったためジープニーが稼働せず、通勤に影響が出たという
Xへの投稿があった。
Grabを利用するごとに、運転手にガソリン値上がりの話を振ってみたところ、
誰もが「利益が出なくなったら稼働を止める」と言っていた。
間もなく、観光客の足にも影響が出るかもしれない。
国家エネルギー非常事態宣言
政府系の Philippines News Agency(PNA)の3月24日(火)の記事:
マルコス大統領、世界的な供給リスクを背景に国家エネルギー非常事態を宣言
フェルディナンド・R・マルコス・ジュニア大統領は、燃料供給の潜在的な混乱に対処し、
国内のエネルギー部門を安定させるため、国家非常事態を宣言した。
火曜日に署名された大統領令(EO)110号において、マルコス大統領は、中東情勢の緊迫化が世界の石油生産と
輸送を脅かす主要因であり、石油製品の純輸入国であるフィリピンにも影響を及ぼす可能性があると指摘した。
(中略)
「石油製品の純輸入国であるフィリピンは、燃料供給を外部に大きく依存しており、そのため世界の石油生産と
輸送の混乱に対して脆弱である。
こうした混乱は、国内のエネルギー需要を維持するために必要な石油製品の供給とタイムリーな配送に影響を
与える可能性がある」と、命令書には記されている。
「エネルギー長官は、上記の状況がエネルギー供給の深刻な不足という差し迫った危険をもたらしており、
国のエネルギー供給の安定性と十分性を確保するために緊急措置が必要であると判断した」と、
命令書は付け加えている。
(以下略)
大統領令の骨子:
国益を守るため、生活、産業、食料、運輸に関する統合パッケージ(UPLIFT)の採択を命じた。この枠組みは、国内エネルギー供給の確保、必要不可欠なサービスの途切れのない提供、
経済活動の継続、そして脆弱なセクターの保護を目的とする。
大統領が議長を務めるUPLIFT委員会は、中東における紛争の影響を軽減するため、
この枠組みの実施を監督する。
エネルギー省(DOE)は、燃料最適化計画、負荷調整、省エネルギー対策の厳格な実施を含む
エネルギー供給管理措置を展開するよう指示された。
エネルギー効率の向上と行動変容を促すための国民への啓発活動も強化される。
安定したエネルギー供給を確保するための関係政府機関間の連携、買い占め、不当な利益、
供給操作に対する適切な措置、エネルギー危機時に認められた権限の行使、
資源保全および優先順位付けメカニズムの採用と実施を命じた。
エネルギー省、フィリピン国営石油会社(PNOC)およびPNOC探査会社は、
必要な燃料および石油製品の調達を行う権限を有し、エネルギー長官が認定する必要性がある
と判断した場合、契約金額の15パーセントを超える金額の前払いを行う権限を有する。
関係機関は、中東危機が国内に及ぼす影響を緩和するために必要な対応措置を実施する。
地方自治体は、それぞれの管轄区域内で、国の政策および関係機関の指示を支援、促進、
補完する措置を講じることにより、中央政府を支援する。
民間セクター、市民社会組織、その他の関係者に対し、政府機関および地方自治体と連携し、
被災セクターおよび脆弱なコミュニティに対し、物流支援、介入、および重要なサービスを
提供するよう要請する。
PNAが25日に以下の記事を出した。
マルコス大統領、フィリピンの燃料供給確保のため200億ペソの緊急資金の放出を命令
200億ペソは約530億円。
この基金が、軽油、ガソリン、液化石油ガス(LPG)の調達に使われる。
事態は急速に悪化している。
マニラ首都圏でも脆弱な公共交通インフラ
マニラ首都圏の公共交通インフラは脆弱だ。
私の観光旅行では、
マカティの中級ホテルに宿泊し、マニラのスペイン統治時代の城塞イントラムロスや
人工的なビジネス都市BCG(ボニファシオ・グローバルシティ)などを訪問した。
イントラムロスへは、マカティのアヤラ駅からMRTを使い、空港近くで、南北のLRTに乗り換えて、
近づいてみた。
LRTでUnited Nations駅まで行ったが、
そこからイントラムロスのサンチャゴ要塞までGoogle Mapの歩行で30分と表示された。
結局、駅からGrabカーを呼んだ。
BGCは鉄道の駅がかすってさえいない。
三越BGCへ。地図を見たところ、マカティ北部の宿泊中のホテルから近かった。
実際、Grabで10数分で着いた。
マカティのワン・アヤラにバスターミナルがあるが、路線に詳しくない観光客が利用するのは難しい。
観光旅行ではGrabに頼るしかない。
マカティやイントラムロスへ行く間のマニラ地区では、庶民の足、ジープニーを多く見かけた。
ジープニーが停車すると、地元民がどんどん乗り込んでいく。
燃料費高騰でジープニーが稼働停止すると、通勤を含め地元民の生活への打撃は大きい。
やがてGrabが稼働停止すれば、観光旅行は不可能になる。


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