米国・イスラエルのイラン攻撃の東南アジアへの影響(2026年3月2日)
米国・イスラエルのイラン攻撃の東南アジアへの影響
東南アジア株式新聞 2026年3月2日
2月28日、米国とイスラエルがイランを攻撃、イランも反撃し、戦争が始まった。
東南アジア諸国では、いろんな方面に動揺が出ている。
タイなど中東への出稼ぎ労働者が多い国の政府は避難方法を準備中だ。
ドバイなどを経由するエアラインが運行停止で、欧州と東南アジア間の物流・人流が滞る。
広く経済への影響も懸念されている。
どこの国でも、原油価格が上昇することによりインフレが国民生活を襲う可能性が出てきた。
新興国特有の心配として、金融市場からの先進国マネーがどの程度退避するかも気になる。
ASEAN主要国は、外務省声明などで、国際法に基づく平和的解決を求めたのに加え、
イスラム教徒の多いインドネシアとマレーシアの首脳は外交努力に意欲を示した。
原油価格の上昇、物流の停滞、金融市場への影響・・・
イランだけでなく、中東産油国に広く影響が出ているため、原油価格がどの程度上昇するかに
注目が集まっている。
3月2日午前、ブレント原油は一時82.00ドルを超えたが、その後 4.5%上昇して1バレル76.07ドル近辺
となった。(ブレントはつい最近まで数ヶ月間、60ドル台で推移していた。)
米国産原油は3.9%上昇して1バレル69.59ドルとなった。
Oil prices jump, stocks skid on Middle East turmoil - CNA
各国の航空会社はドバイなど中東の空港への便を停止した。
東南アジアから欧州への航空便の多くは、ドバイなどを経由するため、物や人の流れが滞る。
海の物流にも大きな懸念がある。
ホルムズ海峡が封鎖されれば、ドバイなどアラブ首長国連邦(UAE)、カタール、クウェート、イラクなどとの間で海の物流も止まる。
CNA の3月2日の記事:
US-Israel strikes on Iran put focus on the Strait of Hormuz - CNA
米国とイスラエルからの攻撃を受けたイランは、報復措置の一つとして、戦略上重要なホルムズ海峡の封鎖を
実施したようだ。
ペルシャ湾の河口にあるこの狭い海路は、世界の海上石油取引の約4分の1を担っている。
イランの準公式メディアは、この海峡が事実上閉鎖されたと報じ、船舶はイラン海軍が通航禁止を告げる
無線放送を聞いたと報告した。
こうした状況を受け、一部の石油・ガスタンカーはこの水路を避けるようになった。
この混乱がどれくらい続くかは不明である。
過去には、大きな軍事紛争が起きると、新興国の金融市場から先進国マネーが流出することが多かった。
3月2日(月)、東南アジアの各株式市場の代表インデックスは軒並み値下がりした。
各国とも金融市場動向からも目が離せない。
特に、インドネシアは、指数会社MSCIが株式上場の流動性不足を指摘するなど
先進国投資家から厳しい目を向けられている。
The Edge Malaysia の3月2日の記事:
インドネシア中央銀行は月曜日、中東紛争を受けて市場動向を注視し、適切に対応し、ルピアが
ファンダメンタルズに沿った動きをするよう努めると述べた。
インドネシア中央銀行金融管理局長のエルウィン・グナワン・フタペア氏は声明で、
外国為替市場において引き続き積極的な姿勢を維持し、金利政策の有効性向上に努めると述べた。
エルウィン氏は、米国のイラン攻撃を受けて中東情勢が緊迫化したことで、世界の金融市場でリスクオフの
ムードが高まっていると述べた。
この記事では、ルピア相場は以下のようになっている。
「ルピアは月曜日の午前2時16分(GMT)時点で、対ドルで最大0.45%下落し、
16,835ルピアとなった。」
東南アジア主要国、国際法に基づく平和的解決を求める声明
マレーシアとインドネシアの首脳が外交努力へ意欲
CNA の3月1日の記事:
マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は、イスラエルと米国によるイランへの攻撃を受け、連帯を強調し、
外交的解決を求めた。
一方、インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領は、「調停を行うため」テヘランを訪問する用意があると
表明した。
マレーシアの首相は、「米国とイランに対し、事態のエスカレーションをこれ以上進めるのではなく、
外交的な出口を模索するよう強く求める。また、国際社会に対し、二重基準を使わずに迅速に
行動するよう求める」と2月28日(土)に地元メディアで述べた。
過去にもイスラエルのガザへの軍事行動を強く非難してきたアンワル氏は、「イスラエルによる
今回の攻撃は、進行中の交渉を妨害し、他国を封じ込め不可能な紛争に引きずり込もうとする
卑劣な試みだ」とも言った。
首相は、地元メディアが引用した日曜日のフェイスブック投稿で、
マレーシアは緊張関係の影響を受けている中東のすべてのイスラム教徒とコミュニティと連帯する
と述べた。
インドネシア外務省が土曜日に発表した声明では、
「すべての関係国に対し、自制し、対話と外交を優先する」よう求めた。
地元メディア「テンポ」が引用した声明によると、
「すべての国の主権と領土保全を尊重し、平和的手段を通じて意見の相違を解決すること」
の重要性を改めて強調している。
さらに、プラボウォ大統領が米国とイランの双方が同意すれば、「調停を行うため」テヘランを
訪問する用意があると述べていた。
タイのアヌティン・チャーンウィラクル首相は28日、Facebookへの投稿で、
「緊張と暴力が罪のない民間人に及ぼした影響に深く心を痛めています。
特に、被災地にいるすべてのタイ国民とすべての友人の安全と幸福を心より願っています」と記した。
首相はまた、国際法と平和と安定の維持という国際社会の共通の利益に従い、
対話と外交を通じて事態の沈静化に向けた迅速かつ誠実な努力を求めた。
同日、ベトナム外務省のファム・トゥ・ハン報道官は、
中東における複雑かつ激化する紛争を深く懸念していると述べた。
ASEANの中でイスラエルに近いとされるシンガポールは、以下の声明を出した。
シンガポールは、米国とイスラエルによるイランへの攻撃、そしてイランによるバーレーン、イスラエル、
ヨルダン、クウェート、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦への報復攻撃という結果に至った
交渉の失敗を遺憾に思います。
シンガポールは、すべての関係国に対し、国際法および国連憲章の原則に従い、平和的解決に向けて交渉に
戻るよう強く求めます。
3月2日、韓国の李在明大統領が(かねてからの予定通り)シンガポールを公式訪問した。
シンガポールでローレンス・ウォン首相と会談し、人工知能(AI)や原子力などの分野での協力拡大
について合意した。
両首脳の記者会見では、
「中東の安定と平和が回復することを願う点で(両首脳の)意見が一致した」ことも発表された。
(李大統領は3日からフィリピンを訪問し、マルコス大統領と会談する予定だ。)
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