企業研究|コードライフ(Cordlife、SGX:P8A)血液ユニット破損事件の重み

コードライフ(Cordlife)、血液ユニット破損事件から立ち直れるか

東南アジア株式新聞 2024年5月14日


   
コー5月14日、ドライフ株の1年間(2024年SGX公式アプリより)
コードライフ株の1年間(SGX公式アプリより)

シンガポールの民間血液銀行、コードライフ(Cordlife、SGX:P8A)の株価下落がなかなか止まらない。

2023年11月に保健省(MOH)の発表によって、コードライフが大量の臍帯血ユニットを破損したことが明らかになって以降、同社の株価は下がり続けている。

ビジネス自体はこれまでのところ壊滅的な打撃を受けてはいないが、MOHの調査や事業停止命令、訴訟問題などが株価に大きな影を落とした格好だ。


最近でもニュースが多い。


The Strait Times の5月13日の記事:

Cordlife to cancel private placement; MOH highlights importance of having Singapore-based directors | The Straits Times


「コードライフは5月13日、4月17日に発表した820万ドルの私募増資を撤回すると発表した。

これは、高等裁判所が同社の新株発行を一時的に差し止める仮差し止め命令を支持し、その取り消しを求める上告を棄却したことを受けてのことだ。」


「これとは別に5月13日、経営難に陥った臍帯血銀行は、保健省(MOH)が5月14日の年次株主総会に先立ち、シンガポールに本拠を置く理事を置くことの重要性を強調する通知を出したと発表した。 株主間の争いの中で取締役が交代することになる。」


このうち、ビジネス面で痛いのは、株主が起こした訴訟によって裁判所に増資を止められたことだ。

今後、訴訟費用が増えるのが予想されるので、資金手当ては必要だ。

また、東南アジア地域での事業拡大に投資をしてきただけに、事業計画が予定通りに進まなくなる可能性が出てきた。


4月までに以下のようなニュースが多数報じられた。


4月5日の The Star の記事:

Another Cordlife director arrested, the seventh in string of arrests | The Star


「コードライフの取締役会メンバーがまた一人逮捕された。これは、問題を抱えている民間臍帯血銀行の幹部の一連の逮捕の最新のものである。

同社は4月5日午後5時18分の証券取引所への提出文書で、取締役会の非独立社外取締役であるYiu Ming Yiu氏が逮捕され、警察商事局の事務所での面接に出席した後保釈されたと発表した。


Yiu は、コードライフの現グループ CEO、Yiu Pang Fai の弟。

彼は、臍帯血ユニットの誤った取り扱いに関連した会社の開示義務違反の疑いで逮捕された」


以前の逮捕者 6名には、元グループCEO、最高財務責任者、会長代理、取締役が含まれていた。



とはいえ、現在までのところ、コードライフの経営は機能している。少し前には、スキャンダル対応からの脱却をめざす抱負を、ストレートタイムズに語っている。


5月7日の The Strait Times の記事:

‘We don’t want to fail parents another time’: Cordlife CEO on addressing lapses | The Straits Times


「コードライフでは、新ボスのイワン・ユイ氏のリーダーシップの下、プロセスの見直しが行われ、問題を抱える民間さい帯血バンクの信頼を回復することを誓った。

会社の技術力を強化するために、新しい研究室の雇用者も追加された。


ユイ氏は5月7日、2月19日に同グループの最高経営責任者となって以来初めて沈黙を破り、ストレーツ・タイムズ紙に語った。」


現経営陣は、スキャンダル対応のコードライフの業績への影響をどこまで限定できるか、とてつもなく難しい判断を迫られている。



2023年度の決算では、以下のような内容を発表した(2024年2月29日)。

https://cordlife.listedcompany.com/financials.html

コードライフの 2023 年度の純利益は 23.1% 減の 380 万シンガポールドルに


• 2023 年度の収益は、前年比 1.4% 増の 5,590 万シンガポールドルとなりました。 

• 2023年度の営業利益は、2023年12月15日からシンガポールでのグループの事業が停止されたことと、グループのサービス提供コストに影響を与えたインフレ圧力の影響もあり、31.0%減の290万シンガポールドルとなった。 

• 保健省(「MOH」)による進行中の調査とシンガポールでのグループの事業停止は、引き続きグループの財務にマイナスの影響を与えることが予想されます。 当社は引き続きMOHと緊密に連携し、特定された問題に対処していきます。 

• 停止および進行中の調査はシンガポールにおけるグループの事業に限定されており、シンガポール国外にある子会社の事業には影響を与えません。



以下、Geminiにスキャンダルの情報をまとめてもらった。


Cordlife スキャンダルに関する情報

  • スキャンダル発覚時期: 2023年11月

  • 影響を受けた顧客数: 2,150人以上

  • 破損した臍帯血サンプル数: 不明

  • 原因: 冷凍庫の温度管理不備

  • 影響: サンプルが破損し、治療に使用できなくなった

  • 顧客の反応: 怒り、悲しみ、訴訟

  • Cordlifeの対応: 謝罪、調査、影響を受けた顧客への補償



6月16日追記

The Business Times の6月11日の記事:

Customer refunds, business suspension send Cordlife S$11.6 million into the red in Q1

(顧客への支払い、営業停止により、コードライフの第1四半期は1160万シンガポールドル赤字)

<苦境に立たされている民間臍帯血バンク、コードライフ・グループは、3月31日までの3か月間で1,160万シンガポールドルの純損失を報告し、前年同期の120万シンガポールドルの純利益を反転した。

同グループは火曜日(6月11日)の証券取引所への提出書類で、2024年第1四半期の収益がマイナス24万シンガポールドルだったと発表した。2023年第1四半期は1,410万シンガポールドルの黒字だった。

収益の反転は、コードライフが、適切な凍結温度で保管されなかったために保管された臍帯血サンプルが損傷した顧客に返金したことによる経済的影響によるもの。>



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