ASEAN、オンライン詐欺対策で中国と緊密協力へ

 

東南アジア株式新聞 2025年1月22日

ASEAN、オンライン詐欺対策で中国と緊密協力へ

マレーシアのリゾート島 ランカウイで開かれていたASEAN外相会合で、オンライン詐欺対策が主要な議題の1つとなった。

議長のマレーシア外相は、この件で、ASEANは中国と緊密に協力すると発表した。


ASEAN諸国と中国が共通して問題視するオンライン詐欺は、どんな犯罪組織で、どれほど被害が広がっているのか?





The Star の1月19日の記事;

ASEANは国際犯罪対策で中国と提携する、モハマド外相語る

Asean to partner with China to tackle transnational crime, says Tok Mat | The Star


ASEAN諸国は、オンライン詐欺シンジケートを含む国際犯罪と戦うために中国と緊密に協力すると、外務大臣(称号 ダトゥク・スリ)モハマド・ハッサンは発表した。

「オンライン犯罪と詐欺に中国は無関係だが、中国は詐欺師と国境を越えた犯罪の問題を解決するためにASEANと協力しているパートナー国だ」

「我々は中国と緊密に協力する」と、日曜日(1月19日)午後にASEAN外相会合(AMM)が終了した後、モハマドは短く述べた。

モハマドはAMM後の記者会見で記者団に語った。



これは、中国の王毅外相が1月16日、ASEAN諸国に対し、オンラインギャンブルや通信詐欺を取り締まるよう要請したことに対応した動きだ。

王外相はASEAN10か国の大使を集めて、要請した。特に、タイ・ミャンマー国境で活動する詐欺集団への対処を呼びかけた。

多くの中国人が被害にあっているためだ。

(東南アジアで活動する詐欺集団のメンバーに多いのは中国出身者だという皮肉な事実もあるが)



ミャンマー軍事政権はさっそく自分たちの行動をアピールした。2023年10月以降の逮捕者5万人になったと。

1年数か月で 5万人とは驚くべき人数だ。

ほとんどを中国へ強制送還したという。ミャンマー・中国の国境で、中国人民解放軍の部隊に引き渡したのだろうか。想像するだけでも、すごい光景だ。


NST Online の1月21日に記事(中身はヤンゴン発AFP電):

ミャンマー軍事政権、詐欺拠点の従業員5万人以上を中国へ強制送還

Myanmar junta deports over 50,000 scam centre workers to China | New Straits Times


ミャンマーの軍事政権は火曜日、2023年10月以降、オンライン詐欺に関与した疑いのある5万人以上を中国に強制送還したと発表し、近隣諸国に介入を要請したのは異例のことだ。

ミャンマーの国境地帯では詐欺施設が急増しており、外国人が働いており、彼らはしばしば人身売買され、強制的に働かされ、同胞をだましている。業界アナリストによると、この詐欺は数十億ドルの価値があるという。


国営のグローバル・ニュー・ライト・オブ・ミャンマー紙に火曜日に掲載された社説は、オンライン詐欺やギャンブルを含む犯罪行為の範囲を初めて公に詳述した。

軍事政権は2023年10月以降、国境詐欺に関与した5万5000人以上の外国人を逮捕し、母国に強制送還しており、そのうち5万3000人以上が中国に強制送還されたと述べた。




上記のタイ・ミャンマー国境地帯だけでなく、他にも犯罪組織が多いらしく、東南アジアでは最近、オンライン詐欺事件のニュースが絶えることがない印象だ。

発生場所も手口も多種多様だ。


マレーシアの The Star の1月20日の記事:

自動車部品店店長がオンライン投資詐欺で約40万リンギ失う

Manager loses almost RM400,000 to online investment scam | The Star


46歳の男性がオンライン投資詐欺に引っかかり、個人貯蓄の約40万リンギットを失った。

ジョホールバル南部警察署のラウブ・セラマト副署長は、自動車部品店の店長として働く被害者が月曜日(1月20日)に事件について報告したと述べた。

同氏は、この詐欺はオンラインプラットフォームを通じた驚異的な利益の約束に簡単に影響される個人をターゲットにしていると付け加えた。


「被害者は最初、WhatsApp経由で「アリス・キラナ」と名乗る容疑者から連絡を受けた。

「容疑者は会話を始めるために『誤送信』戦術を使い、その後『GRS』というアプリを通じて投資の機会を提供した。この計画は、初期資本がわずか515リンギットで短期間に20%の利益を約束していた」と副署長は声明で述べた。

ラウブ副署長は、被害者は魅力的な約束に騙され、7日間で15件の取引を行い、合計39万7815リンギットを3つの異なる銀行口座に送金したと付け加えた。


被害者は、資金を引き出そうとしたとき追加で22万リンギを要求され、詐欺だと気づいたという。

40万リンギは約1,400万円。



The Strait Times の1月21日の記事:

シンガポールの俳優ローレンス・パン、フィリピン美人のオンライン詐欺で3万5千ドル失う

S’pore actor Laurence Pang loses $35k to pretty face in online scam in Philippines | The Straits Times


ドラマシリーズにふさわしいどんでん返しで、ベテランのシンガポール人俳優がオンラインの魅力的な女性に恋をしたが、後にその女性は彼の次の恋愛の主人公よりも詐欺師であることが判明した。

78歳のローレンス・パン氏は、出会い系サイトで出会った女性「ミカ」に騙されてフィリピンのオンラインビジネス詐欺に資金を投資させられ、150万ペソ(3万5000 Sドル)近くを失った。


シンガポールのテレビ番組「タングリン」や「サニーサイドアップ」に出演していたパン氏は、フィリピンのアナウンサーから上院議員に転身したラフィー・タルフォ氏が司会を務める公共サービス番組「ラフィー・タルフォ・イン・アクション」の1月17日のエピソードで、マニラでの苦難を語った。


150万ペソは約400万円。

被害者は、外国人男性とフィリピン女性を対象とする出会い系サイトで「ミカ」と知り合い、チャットによるデートを重ねていた。

「ミカ」は、ショッピングサイトの再販業者になってくれと言い、出資金を送らせた。

そのショッピングサイトは楽天市場に似せて作ったフェイク・サイトだと、ずっと後になって被害者が気づいた。








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