ペイシャンス・キャピタル・グループ(Patience Capital Group)、妙高でリゾート開発を進めるシンガポールの投資会社

 

東南アジア株式新聞 2024年1月6日


ペイシャンス・キャピタル・グループ(Patience Capital Group)、妙高でリゾート開発を進めるシンガポールの投資会社






日本経済新聞の1月5日の記事:

リゾート地・妙高、外国人オーナー急増 期待と不安交錯

インバウンド(訪日外国人)がけん引役となり、国内の観光市場が急拡大している。スキーや温泉など抱負な観光コンテンツを誇る新潟と長野でも、インバウンドの誘客に向けた新たな投資やM&A(合併・買収)が活発だ。観光客のニーズが多様化するなか、地域独自の魅力を最大限引き出した観光戦略が求められている。信越観光地の最前線(フロントライン)を追った。


この記事に、「シンガポールのペイシャンス・キャピタル・グループ(PCG)」が登場する、

「妙高付近で土地やスキー場を取得し、総額2000億円を投じてホテルや商業施設街などを整備する計画だ。28年の第1期開業に向け現在詳細を詰めている」とのことだ。



このシンガポールの投資会社は、日経新聞だけでなく、他の日本のメディアでも記事になっている。


たとえば、1年ほど前。

朝日新聞デジタルの2024年1月30日の記事:

2千億円超え、旺盛な外資のスキー場買収 高級リゾートへ期待と不安


妙高市が同年春、妙高戸隠連山国立公園内の敷地の一部を含む43ヘクタールの土地を売却したことがきっかけだった。売却先はシンガポールと東京に拠点を置く不動産投資ファンド「ペイシャンス・キャピタル・グループ(PCG)」の関連会社だった。PCGは妙高市と長野県飯山市にまたがる斑尾高原スキー場も買収。昨年11月には杉野沢地区の妙高杉ノ原スキー場を西武ホールディングス(HD)から買い取ったことが明らかになった。



これらの記事からわかることは、PCGが長野県・新潟県の妙高エリアで大型投資を実行していること。

スキー場もいくつか買っており、ホテルその他の商業施設街を整備して、観光拠点を作る計画のようだ。



ペイシャンス・キャピタル・グループとはどんな投資会社なのか?


  
PCG公式サイト、2025年1月6日
PCG公式サイト



Patience Capital Group の公式サイトには日本語ページがある。

https://patiencecapital.group/jp/

2019年に設立されたペイシャンス・キャピタル・グループ(PCG)は、シンガポールと東京に拠点を置く不動産&プライベートエクイティ投資運用会社です。


公式サイトから以下のことがわかる。


  • PCGのCEO/CIOであるケン・チャン氏は、シンガポール政府投資公社(GIC)の日本法人の前代表だった

  • 2つのファンドを運用している

    • ジャパン・ツーリズム・ファンド(JTF):日本の観光資産に投資

    • 日本レジデンシャル・オポチュニティ・ファンド(ASTRO):東京と首都圏の高品質住宅資産に投資




PCGの活動はシンガポールでも報道されている。


The Strait Times の2024年11月13日の記事(中身はシンガポール発ブルームバーグ電):

Former GIC Japan head Ken Chan planning $1.9 billion luxury ski resort near Tokyo | The Straits Times


チャン氏の投資会社は、2年間にわたり、円安のおかげで周辺の土地を格安で購入してきた。

そして2026年までに、国際ホテルを建設し、数千人の労働者のための住宅を建設することを目指している。

妙高を世界の観光地図に載せる計画は、チャン氏と彼の会社ペイシェンス・キャピタル・グループにとって基礎となるプロジェクトだ。同社は5億ドル(6億8400万Sドル)の資産を運用し、日本の住宅用不動産資産にも投資している。

(中略)

同氏の会社は、運用資産400億円のジャパン・レジデンシャル・オポチュニティーズ・ファンドも管理している。同社は現在、年率15%の収益を目標とする第2の住宅ファンドのために250億円の資金調達に取り組んでいる。

日本で最も有名なスキー場ニセコが現在の状態に到達するまでに約19年かかったが、チャン氏はゼロから開発を計画しており、土地を所有することでプロセスが効率化されると考えている。

「私が設立した会社は私を超えるでしょう」と彼は言う。「これは次の世代に利益をもたらすでしょう」





円安時代の日本には東南アジアから雪を目当てにした観光客が増えている。

そんな需要を見込んで、北海道・ニセコでは外国人観光客向け施設の開発が盛んだ。香港、シンガポール、マレーシアなどの資本が入っている。


一方で、日本人のスキー・スノーボード人口は減少傾向にあり、日本の資本が雪の観光地に投資する意欲は盛り上がらない。

長野・新潟だけでなく群馬あたりの雪の観光地も海外からの投資が増えそうだ。


このままいけば、日本の中に、<外国人が施設を所有・運営、従業員も客も外国人が主>という観光地が増える。

そんな予想を背景にして、冒頭で紹介した日本のメディア記事は地元の「期待と不安」を書いている


だが、円安傾向の維持とインバウンド観光の振興は日本政府が意図して実行している一種の国策だ。

もともと予想されたことが起きているだけだし、今後も続く。




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