インドネシア、正式にBRICSメンバーに

 

東南アジア株式新聞 2025年1月8日


インドネシア、正式にBRICSメンバーに、しかし外交姿勢は変化しないと見られる

1月6日、インドネシアがBRICSの正式メンバーになった。

今年の議長国ブラジルが発表した。

正式メンバーになりたがっている国が多い中、インドネシアが選ばれたということは、BRICS側が東南アジアの大国を早期にメンバーにしたかったのかもしれない。


インドネシア外務省は「積極的に貢献する」と公式に発表した。

とはいえ、プラボウォ大統領の政権は今後もインドネシア外交の基本姿勢(米国とも中国ともつかず離れす)を維持する、というのが大方の見方だ。


BRICSは「グローバルサウスを代表する組織」と呼ばれることもあるが、まだその組織としての性格はよくわからない。

インドネシアは史上最初のグローバルサウスのイベント「1955年 アジア・アフリカ会議」を主催した国である。名門出身の政治家プラボウォ氏はその誇りを持っている人だ、と個人的には見ている。





サンパウロ発ロイター電 1月6日:

インドネシアがBRICSの正式加盟国として加盟するとブラジルが発表

Indonesia joins BRICS bloc as full member, Brazil says | Reuters

ブラジル政府は月曜日、インドネシアが正式にBRICSに正式加盟すると発表した。これにより、ロシア、インド、中国、南アフリカを含む主要新興経済国のグループがさらに拡大することになる。

インドネシア外務省は火曜日の声明で、この発表を歓迎し、「BRICS加盟は他の発展途上国との協力と連携を強化する戦略的な方法だ」と述べた。


ブラジルがBRICS議長国なので、それが公式発表だ。



China Daily(中国日報)の1月7日の記事:

China congratulates Indonesia on becoming full member of BRICS - Chinadaily.com.cn

中国外務省報道官は月曜日、インドネシアがBRICSの正式メンバーになったことを歓迎し、心から祝福すると述べた。

今年のBRICS議長国であるブラジルは、インドネシアがBRICSの正式メンバーになったことを発表する声明を発表し、国際社会から大きな注目を集めた。

報道官は、インドネシアは主要な発展途上国であり、南半球の重要な勢力として、BRICSの精神を高く評価し、「BRICSプラス」協力に積極的に参加していると述べた。




インドネシアからの報道はこれらより遅かった。


国営アンタラ通信 1月7日:

インドネシアはBRICSの新たな正式加盟国として積極的な貢献を約束

Indonesia promises active contribution as BRICS' newest full member - ANTARA News


インドネシア外務省は火曜日、今月のBRICSの正式加盟を歓迎し、今後同組織の議題に積極的に貢献することを約束したと述べた。

「インドネシアは成長を続ける多様な経済を持つ国として、経済回復力、技術協力、持続可能な開発に関するBRICSの議題に積極的に貢献することを約束する」と同省は声明文で述べた。

インドネシアは、気候変動、食糧回復力、公衆衛生などの地球規模の課題に取り組むとともに、包摂的で公正な世界秩序を目指し、BRICS内での役割を果たすことを目指している。




ドイツのメディア DW は、インドネシアの研究者のコメントを紹介している。

DWの1月7日の記事:

What will change with Indonesia entering BRICS? – DW – 01/07/2025

「インドネシアは、ゆっくりであって、すぐにであっても、西側から離脱するつもりはない」と、インドネシア戦略国際問題研究所(CSIS)国際関係部門の研究員、M・ハビブ・アビヤン・ザクワン氏はDWに語った。

「インドネシアの外交政策のDNAでは、プラボウォ(スビアント大統領)も述べたように、すべてが友人だ」と同氏は述べ、ジャカルタは「単に活動の場を広げたいだけだ」と指摘した。


西ジャワ州パジャジャラン大学の別の国際関係専門家で講師のテウク・レザシア氏は、インドネシアは米国やEUとの関係を維持しながら、BRICS内で「バランサー」として行動できるとDWに語った。

「中堅国として、BRICSのメンバーであることはインドネシアに国際秩序における影響力を与える」と彼は語った。



BRICSは2011年に、当初のブラジル、ロシア、インド、中国に加え、南アフリカが参加し、5カ国となった。

2024年に、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)が加わり、10か国となったが、後にアルゼンチンが参加を撤回し、9か国。

このほか、サウジアラビアが加盟を認められている模様だ(南アフリカが議長国のときに発表)が、参加は未定。

2025年1月、インドネシアが初の正式メンバーとなった。10か国。


2024年に新設されたパートナー国として、タイ、マレーシア、ベトナムを含む12か国(2025年1月1日発効)が参加している。


活動としては、毎年(議長国も1年ごと)の首脳会議で多様なことが話し合われてきたが、具体化したのは「新開発銀行(New Development Bank)」くらい。

世界銀行に対抗したとみられる新開発銀行のほか、IMF対抗と見られる「緊急準備」も創設されつつある。

このほか、SWIFT(国際銀行間通信協会)対抗の共通ペイメント・システム、米ドル支配からの脱却をめざす共通通貨なども議題になっているが、実現性は未知数だ。


BRICSはこれまで活動を経済・金融の分野での協力にしぼっており、政治的な意味合いは薄かった。

だが、2025年は、強いアメリカの復活をめざすトランプ大統領が再登板する。

トランプ氏は就任前から、中国だけでなく広く関税をかける意向を表明しており、実施されれば、貿易面での軋轢がいろんなところで生じる見込みだ。

北米と欧州を除く地域の大国が集まるBRICSの反米色が強まるかもしれない。



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インドネシア ‐ マレーシア首脳会談(2025年1月9日)

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