日本 ‐ インドネシア首脳会談(2025年1月11日)

 

東南アジア株式新聞 2025年1月11日

日本 ‐ インドネシア首脳会談、防衛から食料、エネルギーまで幅広い分野で協力を強化へ


1月11日、日本の石破茂首相とインドネシアのプラボウォ・スビアント大統領が会談した。

日本側の求めた防衛協力の強化にインドネシアが同意したのに加えて、インドネシアの希望する広範な経済・技術協力に日本は同意した。

双方ともに成果を感じた首脳会談だったように見える。


     
プラボウォ大統領のX投稿(石破首相を迎えて)2025年1月11日
プラボウォ大統領のX投稿(石破首相を迎えて)


「本日、西ジャワ州ボゴール宮殿に石破茂日本首相の到着をお迎えした。

今回の訪問中、我々は、特にエネルギー下流と食料自給の分野における二国間協力について突っ込んだ議論を行った」(プラボウォ大統領のX投稿より)



国営アンタラ通信 1月11日12時(ジャカルタ)の記事:

プラボウォ大統領、ボゴール宮殿で日本首相の訪問を受ける

President Prabowo receives Japan PM's visit at Bogor Palace - ANTARA News


プラボウォ・スビアント大統領は土曜日、西ジャワ州ボゴールのボゴール宮殿で日本の石破茂首相の訪問を受けた。

首相と随行員はジャカルタの国家英雄墓地を訪問した後、西インドネシア時間(WIB)午前10時に宮殿に到着した。


到着後、石破首相は宮殿の門で騎兵隊の歓迎を受けた。

グレーのスーツを着たプラボウォ大統領と石破首相は、大砲の音とともにインドネシアと日本の国歌が演奏される歓迎式典に出席した。

同首相は、2024年10月20日にインドネシア大統領に就任した後、プラボウォ氏がボゴール宮殿で迎える最初の外国首脳となる。



ボゴール宮殿は、ジャカルタの南60㌔にあるオランダの元総督府で、大統領官邸だ。

前日のマレーシア同様、インドネシアも日本の首相を最上級のもてなしで迎えた。



アンタラ通信 同日14時:

プラボウォ大統領、日本の首相との会談で政策の優先事項を説明

President Prabowo outlines work priorities in meeting with Japanese PM - ANTARA News


プラボウォ・スビアント大統領は土曜日、西ジャワ州ボゴールのボゴール宮殿で行われた日本の石破茂首相との二国間会談で、自身のリーダーシップの下でインドネシア政府が掲げるいくつかの優先事項を強調した。

大統領の優先事項には、食料とエネルギーの自給自足の達成、天然資源の下流化と工業化、飢餓の撲滅、防衛力の強化などがある。

プラボウォ大統領は二国間会談で「日本が今後インドネシアの経済発展に参加したいのであれば、我々はオープンである」と述べた。


同じ機会に、大統領はインドネシアのさまざまな分野の開発プログラムに対する日本の貢献と支援に感謝の意を表し、これらの取り組みが継続されることへの希望を表明した。


プラボウォ大統領はインドネシア政府の優先事項を説明し、同国経済発展に日本の参加を歓迎することを表明。

日本の政府や民間企業が参加したがりそうなリストを用意していた感じだ。



アンタラ通信 同日15時:

インドネシアと日本、無料の栄養食プログラムを支援することに合意

Indonesia, Japan agree to support Free Nutritious Meal program - ANTARA News


インドネシアと日本は、プラボウォ・スビアント大統領政権の優先課題である無料栄養食プログラムで協力することに合意した。


土曜日、ボゴール大統領官邸でプラボウォ大統領と二国間会談した際、日本の石破茂首相はプラボウォの栄養食プログラムを支援する意向を表明した。

「日本は、学校給食プログラムに関する研修、専門家の研修、日本の経験に基づく水産業と農業部門の改善支援など、協力の取り組みを組織する」と石破首相はボゴール大統領官邸のテラタイ室でプラボウォ大統領との共同声明で述べた。

石破首相は、インドネシアの特定の子供たちの栄養失調に取り組むプラボウォ大統領政権を支援するため、無料栄養食プログラムに参加するという日本の決意を再確認した。


日本がプラボウォ大統領の内政優先課題である無料学校給食に協力を表明。



アンタラ通信 同日15時半:

プラボウォ大統領とシゲル首相、防衛技術移転で合意

President Prabowo, PM Shigeru agree on transfer of defense technology - ANTARA News


インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領と日本の石破茂首相は、両国間の防衛協力を強化することで合意した。これには、主要な防衛システムと装備に関する技術移転が含まれる。


防衛技術移転に加え、両国は防​​衛専門家のための討論フォーラムを設立し、両国の外務大臣と防衛大臣による2プラス2会合を開催することで合意した。


「安全保障協力に関する二国間協議において、防衛装備と技術移転に関する協力を含む海洋安全保障に関する問題に対処するため、防衛専門家のためのフォーラムを設置することで合意した」と石破首相は土曜日、ボゴール大統領官邸で述べた。

プラボウォ大統領との共同記者発表で、石破首相は日本が公式の安全保障支援協力枠組みを通じてインドネシアに高速巡視船を供与することも発表した。



日本側の優先課題であるインドネシアとの防衛協力を強化に、プラボウォ大統領が同意。



アンタラ通信 同日15時半:

インドネシアはすべての国との強い絆を維持することを目指す:プラボウォ

Indonesia seeks to uphold strong ties with all nations: Prabowo - ANTARA News


プラボウォ・スビアント大統領は、インドネシアがすべての国や主要経済圏と健全な関係を築く外交的取り組みを強調し、そのアプローチにはいかなる立場も取らないことを強調した。


プラボウォ大統領は、土曜日にボゴール大統領官邸で行われた石破茂首相との共同記者会見で、「インドネシアは世界中のすべての国や経済圏と緊密な関係を維持したいと考えている」と述べた。

同大統領は、大国間の地政学的緊張を緩和するために、こうした強固な関係を維持するインドネシアの熱意を表明した。


石破首相との二国間会談で、プラボウォ大統領は両国間の協力、地域および世界の課題、既存のパートナーシップを強化する相互の取り組みなど、さまざまな話題について語った。

両首脳はまた、経済・インフラ開発、エネルギー安全保障、産業下流などの主要分野での協力を継続するとともに、農業、人材、保健分野での協力にも合意した。

プラボウォ大統領はまた、インドネシアで進行中の下流化や工業化の取り組みに参加するよう日本政府に招待した。


中国寄りではなく日米寄りに、という希望を日本側がどれだけ伝えたかは不明だが、プラボウォ大統領はインドネシアの外交姿勢をきっちり示した。






日本経済新聞 1月11日12時半(日本時間)の記事:

石破茂首相、インドネシアに高速警備艇を供与へ 首脳会談 - 日本経済新聞


インドネシアを訪問した石破茂首相は11日、ジャカルタ近郊の大統領宮殿で同国のプラボウォ大統領とおよそ2時間会談した。同志国に防衛装備品などを無償提供する「政府安全保障能力強化支援(OSA)」を活用して高速警備艇を供与することで合意した。

両首脳は2025年中の外務・防衛担当閣僚会議(2プラス2)開催でも合意した。首相はプラボウォ氏に年内の訪日を要請した。

首相は会談でインドネシアは「インド洋と太平洋が交わる要衝で、日本と基本的な価値や原則を共有する包括的・戦略的パートナーだ」と表現した。


日本経済新聞 同日18時:

首相、日米のASEAN関与「非常に重要」 帰国の途に - 日本経済新聞


石破茂首相は11日、マレーシアとインドネシアでの外交日程を終えて記者団の取材に答えた。東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟する両国について「著しい発展ぶりを見て、この地域への外交的関与は日本と同時に米国にとっても非常に重要だ」と指摘した。政府専用機で帰国の途についた。

ASEANの2025年議長国マレーシアのアンワル首相や24年10月に就任したインドネシアのプラボウォ大統領との首脳会談をこなした。

首相は「日本は両国との関係強化を一層図らねばならない。エネルギーや防衛・食料の安全保障などできることはたくさんある。両国から支援を受けたい分野もたくさんあり、信頼関係は非常に重要だ」と述べた。



1つ目の記事で、日本政府が今回のインドネシア訪問で最重要テーマにしていたのが防衛協力の強化だったことがわかる。


どちらの記事でも、引用された石破首相のコメントは良いものだ。

特に、2つ目の記事のコメントは、インドネシア・マレーシアとの関係を日本がどう考えているのか、について誠実な言葉だと思う。



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