日本 ‐ マレーシア首脳会談(2025年1月10日)
東南アジア株式新聞 2025年1月10日
日本 ‐ マレーシア首脳会談、クリーンエネルギー開発での協力や戦略的教育パートナーシップで合意
1月10日、石破首相とアンワル首相が会談した。
昨年10月に日本の首相に就任した石破茂氏にとっての最初の外交訪問地がマレーシアとなった。
アンワル首相は、最初の訪問地に選んでくれたことに謝意を述べたと報じられた。
マレーシア現地の報道を見る限り、エネルギー分野など経済協力、教育協力の強化が日本・マレーシア首脳会談の成果だった。
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アンワル首相のX投稿(石破首相との会談後) |
「本日は有意義な訪問をありがとうございました。マレーシアと日本の友好関係が両国民の繁栄のためにさらに強化され、拡大することを祈念いたします」(アンワル首相のX投稿より)
MalayMail の1月10日の記事(中身は国営ベルナマ通信):
アンワル首相はペトロスとペトロナスの水素エネルギー新事業が5月の期限に間に合うことを期待
アンワル・イブラヒム首相は、ペトロリアム・ナショナル社(ペトロナス)、ペトロリアム・サラワク社(ペトロス)、日本企業によるクリーン水素エネルギー協力プロジェクトが今年5月までに実現することを期待していると述べた。
ペトロス、ペトロナスの子会社であるCCSベンチャーズ社、および石油資源開発株式会社、日揮ホールディングス株式会社、川崎汽船株式会社からなる日本のコンソーシアムは、2024年2月26日にマレーシア・サラワク沖のM3枯渇油田に関する貯留サイト協定(SSA)に署名した。
SSAは、M3枯渇油田(M3 CCSプロジェクト)を皮切りにCO2貯留サイトの実現可能性調査を可能にするだけでなく、陸上ターミナルや輸送パイプラインを含むCO2貯留サイト開発の計画、およびその技術的・商業的実現可能性の評価も可能にする。
財務大臣も兼務するアンワル氏は、特にサラワク州の(称号 タン・スリ)アバン・ジョハリ・トゥン・オーペン首相がプロジェクトの開発について確約し、日本の石破茂首相も支援していることから、新たなエネルギー協力は成功すると予想されると述べた。
「我々は、東京かクアラルンプールで会う5月までに期限に間に合うよう、できるだけ早くこれを実現したいと考えている」と、昨日から始まった日本の首相の2日間のマレーシア公式訪問に併せて石破氏との共同記者会見の後で同氏は述べた。
この記事によると、アンワル首相は他のプロジェクトについても言及し、日本企業の参加やすでに実施されている共同事業の前進への期待を述べたそうだ。
ペトロナスから四国電力と広島ガスへのカーボンニュートラルLNG(液化天然ガス)配送の進展
希土類(REE)処理工場の開発への日本の協力
ラオス、タイ、マレーシア、シンガポールを結ぶASEANエネルギーグリッドの形成と、サラワク州からマレー半島、シンガポールまで海底電力ケーブルを敷設するサラワク州の計画について日本企業の参加
共同記者会見で、石破首相は、「我々はまた、アジアゼロエミッション共同体(AZEC)での協力を深め、両国間のグリーン変革の分野での協力を進めることで合意した。エネルギー安全保障を確保し、脱炭素化を達成するため、アンモニア燃料ガスタービン、CCS(炭素回収・貯留)、水素、LNGなどの分野で協力を強化する。これにはサラワク州での協力も含まれる」と述べた。
New Strait Times の1月10日の記事:
首相:マレーシアは日本との戦略的教育パートナーシップを模索
PM: Malaysia seeks strategic education partnership with Japan | New Straits Times
マレーシアと日本は、二国間関係を強化し、より包括的な戦略的パートナーシップを築くために、教育分野での協力を強化することで一致団結している、とアンワル・イブラヒム首相は述べた。
首相は、この分野でマレーシアに筑波大学が分校を設立したことなど、いくつかの取り組みについて石破茂首相と協議したと述べた。
その他の協力には、マレーシア・マラッカ工科大学(UTeM)と早稲田大学、マレーシア工科大学(UTM)と日本国際工科大学院(JIIT)との提携などがある。
アンワル首相は、「慶応大学は重要な教育機関です。石破氏が学んだ大学です」と言い、慶応大学のプログラムへの参加についても期待を表明した。
MalayMail の1月10日の記事(国営ベルナマ通信):
石破首相、マレーシア公式訪問を終了
Japanese PM Ishiba concludes official visit to Malaysia | Malay Mail
(前略)
石破首相と代表団を乗せた特別機は、午後3時55分にここブンガラヤ・コンプレックスからジャカルタに向けて出発した。
マレーシアと日本は本日、両国関係を包括的戦略的パートナーシップのレベルに引き上げるため、教育協力を強化することで合意した。
アンワル・イブラヒム首相と石破首相は、日本の筑波大学のマレーシア支部設立など、教育分野におけるさまざまな取り組みについて協議した。
これらの教育取り組みは、貿易、投資、クリーンエネルギーにおける協力強化を通じてマレーシアと日本の関係を強化する幅広い取り組みの一環である。
さて、日本のメディア報道は海外現地とはかなり違うことを示す例が手に入った。
日本経済新聞の1月10日の記事:
石破茂首相は2025年初の海外訪問先に東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国マレーシアを選んだ。トランプ米次期政権の発足を20日に控え、関税や安全保障といった分野で振れ幅が大きい「不確実な米国」への懸念や備えを共有する姿勢を示した。ASEANの中国傾斜に歯止めをかける狙いだ。
日本の大手新聞・テレビニュースは、首相の外遊に政治部の記者がついていく。そもそも訪問先の国についても経済・ビジネス・金融についても詳しくない。
そして、官邸や外務省の意向に沿った記事を書く、と見ておいてほぼ間違いない。
日本政府は、マレーシア訪問で「トランプ政権への備え共有」や「安保」での協力を強調したかった。
マレーシア現地の関心は上で見た通り、経済や教育の分野で日本から協力を引き出すことだ。
日本の新聞・テレビニュースばかり視聴していると、世界が見えなくなる。
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