東南アジア株にもディープシークの衝撃
東南アジア株式新聞 2025年1月28日
東南アジア株にもディープシークの衝撃、AI関連銘柄売りが続く
1月27日の世界中の株式市場でAI関連銘柄売りを引き起こした中国のAIスタートアップ、ディープシーク(DeepSeek)の衝撃は28日のアジア市場でも続いた。
といっても、28日は、春節前の半日取引だったシンガポール(と香港)の株式市場は上げて終わった。
インドネシアは休みだったため、ディープシーク・ショックが観察されたのは、マレーシアくらいだった。(各市場の28日終値は、https://seasiafinancial.blogspot.com/2025/01/markets-2025.html )
![]() |
ディープシーク・アプリ画面 |
The Edge Malaysia の1月27日の記事:
BursaのAI銘柄、DeepSeekによる売りから逃れられず
No lucky escape for Bursa AI proxies from DeepSeek-triggered selldown
マレーシア証券取引所の人工知能(AI)関連銘柄も、中国のAIスタートアップ企業ディープシークが引き起こした世界的な売り圧力から逃れられず、投資家は株式市場における高騰した評価額を再考するようになった。
ブルサにおける売りの波は、YTLパワー・インターナショナルBhd(KL:YTLPOWR)やサイムダービー・プロパティBhd(KL:SIMEPROP)などのデータセンター開発会社、オリジナル機器メーカーのネイションゲート・ホールディングスBhd(KL:NATGATE)など、いくつかの銘柄に打撃を与えた。 Nvidia 向けの製造業者から、Gamuda Bhd (KL:GAMUDA) や IJM Corp Bhd (KL:IJM) などの建設会社まで。
YTLパワーとその親会社であるYTLコーポレーションBhd(KL:YTL)が2カ月ぶりの安値に下落し、値下がりトップとなった。 YTLパワーの株価は10.8%下落して3.22リンギットとなり、時価総額は266億3,000万リンギットとなった。一方、YTLコーポレーションは9%近く下落して1.93リンギットとなり、時価総額は214億3,000万リンギットとなった。
![]() |
YTLパワー株の6か月(Bursa公式サイトより) |
DeepSeek とは何か? なぜ AI 分野に混乱をもたらしているのか?
DeepSeekのAIアシスタントは、1月27日にAppleのApp Storeでダウンロード数第1位の無料アプリとなった。
DeepSeek は 2023 年に設立され、同年後半に初の AI 大規模言語モデルを発表した。
同社は杭州を拠点とする新興企業で、支配株主はクオンツ・ヘッジファンド「ハイフライヤー」共同創設者の梁文鋒(Liang Wenfeng)氏だ。
DeepSeekの製品は安い。あるモデルはオープンAIより20倍から50倍安い、と同社は言っている。
安さの理由は、中国企業は米国側の規制のため米国チップを使えず、高額な技術を使っていないため。
そこで、米国テックの巨額投資は何だったのか、と問題になった。
米国のAI開発会社は、米国の数社で世界のAI市場を席巻できるという予想を土台にビジネスをしてきたが、中国や中国製品を使うのに躊躇しない国では大きなビジネスができない可能性が高まった。
最悪のシナリオだと、中国企業が米国以外の市場を席巻してしまう。
近い将来、米国のAI開発、半導体、データセンターの会社は投資額を大幅に減らすだろう。
それに伴い、米国AIの需要を見込んで、半導体やデータセンター関連のビジネスを展開している他国の企業も計画を大幅に見直さなければならない。
今、株式投資家は大急ぎでそれらの企業の株価を再評価している。
多くの投資家が納得できる水準まで売りが優勢になる。
トランプ米大統領は「米企業へのウェイクアップ・コール(目覚まし電話)だ」とコメントした、と報道されている。
米国テック企業はコスト面でDeepSeekと競争できるようにならなければならない。
次のDeepSeekが登場する可能性も意識しなければならない。
世界中のAI関連ビジネスが事業計画の見直しを迫られている。
28日もAI関連銘柄の売りが続いた。
だが、マレーシアの不動産開発会社 マーシン・グループ(Bursa:8583)のように、自社のビジネスにとって追い風だと強気のコメントする企業も現れた。
The Star の1月28日の記事:
DeepSeek の AI ブレークスルーにより AI の導入とデータセンター・インフラが促進される - Mah Sing
DeepSeek's AI breakthrough to spur AI adoption, data centre infrastructure - Mah Sing | The Star
マーシン・グループ(Mah Sing Group Bhd)は、人工知能(AI)システムの開発における低電力チップと高電力チップの両方の需要により、高度なデータセンターインフラが大幅に増加するだろうと述べている。
同グループは、DeepSeekが最近、低電力チップを使用したAIモデルを発表したことについて、これは高性能コンピューティングとAI導入の需要の高まりを反映していると述べた。
「これはマーシンのデータセンター事業にとって有望な展開だ」と同社は火曜日に発表した声明で述べた。
![]() |
マーシン株の6か月(Bursa公式サイトより) |
関連記事:
コメント
コメントを投稿