インドネシアのプラボウォ大統領、マレーシアを国賓訪問
東南アジア株式新聞 2025年1月27日
インドネシアのプラボウォ大統領、マレーシアを国賓訪問、親密関係をアピール
1月27日、インドネシアのプラボウォ大統領が国賓としてマレーシアを訪問した。
国賓としては初だが、同大統領の隣国マレーシア訪問とアンワル首相との会談は 1月9日に次ぐ2度目だ。
マレーシア外務省の声明:
「強い絆で結ばれた隣国であり、ASEANの創設メンバー国として、今回の国賓訪問は、両国、そして地域全体の繁栄と進歩のために二国間関係をより高いレベルに引き上げるという両国の決意を反映しています。永続的で調和のとれた戦略的な関係には、政治、経済、防衛、相互接続性、教育、社会文化など、幅広い分野にわたる包括的な協力が含まれています」
プラボウォ ‐ アンワル会談の具体的内容は発表されていない(27日マレーシア午後7時現在)。
両国の親密な関係のアピールには成功した。![]() |
アンワル首相のX投稿 |
アンワル首相はXに投稿した。
「今朝、王宮にてスルタン・イブラヒム国王陛下にお供して、国賓としてマレーシアに来られたインドネシアのプラボウォ大統領を出迎えた」
現地での報道によると、1月27日午前6時頃、プラボウォ大統領を乗せた特別機はクアラルンプール近くのマレーシア空軍基地に着陸した。
到着後、大統領は、マレーシアの第1大隊ロイヤル・レンジャー連隊(儀仗隊)の将校および隊員28名からなる栄誉礼を閲兵した。
その後、王宮(イスタナ・ネガラ)でスルタン・イブラヒム国王の謁見式や、ペトロナス・ツインタワーでのアンワル首相との会談が行われた。
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プラボウォ大統領のX投稿 |
「私はマレーシア国王兼ジョホール州スルタンであるスルタン・イブラヒム陛下から直接、ジョホール州の最も名誉ある勲章を授与していただき、非常に光栄に感じました」
ところで、マレーシアのアンワル首相とインドネシアのプラボウォ大統領は自国優先でASEAN軽視なのでは、という見方が広がっている。
1月23日に日本経済新聞が以下の記事を掲載した。
英文は1月21日:
ASEAN faces risk of disarray amid Anwar-Prabowo 'competition' - Nikkei Asia
(本文の一部の引用)
同国のアンワル首相が成長する新興・途上国「グローバルサウス」のリーダーとしての立場を目指す一方でインドネシアのプラボウォ大統領も同国の国際的な影響力を高めようとしている。専門家は両国の思惑の違いや「競争」がASEANの連携を弱体化させかねないと指摘する。
マレーシアにある英ノッティンガム大学アジア研究所のブリジェット・ウェルシュ名誉研究員は、インドネシアは今までのように「アンワル氏やASEANに関与していない。アンワル氏が(議長国の責務を)個人的な見せ場にしようとしていると考えているためだ」と解説する。
ASEANのカオ・キムホン事務局長は「インドネシアはASEANの重要なメンバーだと声を大にして言える」と強調したが、ジャカルタにある戦略国際問題研究所のワファ・カリスマ研究員は「問題はプラボウォ政権にとってはASEANが最優先ではないということだ」と話す。
この記事では、今年のASEAN議長国マレーシアも、地域大国インドネシアも、自国優先でASEANの連携強化に貢献していないという見方が紹介されている。
そのせいで、「ミャンマー情勢」「(中国と周辺国の)南シナ海問題」といった緊急性の高い課題がASEANメンバー内での解決へ向けて進まない、と言う。
冒頭で書いたとおり、プラボウォ大統領とアンワル首相はよく会って話している。
ASEANの抱える問題についても意見交換しているはずだ。
問題解決へ進まないのは、両国が協力しないからではなく、問題そのものがやっかいな性質を持っているからだ、と思う
ASEANはメンバー間で軍事行動を起こさない以上、ミャンマーに強い圧力はかけられない。
南シナ海問題は、メンバー間で温度差が大きい。フィリピンにとって喫緊の課題だが、インドネシアやマレーシアは中国との友好を優先するだろう。歩調を合わせるのが難しい。
ただ、2人ともASEAN以外での外交活動が目立つのは確かだ。
最近目立つ両トップの外交、ASEAN以外の国への訪問が多い
プラボウォ大統領は昨年10月の就任後、積極的にトップ外交を繰り広げている。
昨年11月、同大統領は中国と米国を相次いで訪問した。
東南アジアの大国のトップとして、まずは、2つの超大国のトップに挨拶に行った形だ。
ASEAN諸国に最初に行ったのは、今年1月9日のマレーシア訪問が最初だった。このときの具体的な会談内容は明らかにされず、日本の石破首相がマレーシア・インドネシア訪問に来る前に、アンワル首相と打ち合わせをした感じだった。
1月26日のインドの共和国記念日式典に主賓として招かれ、インドのモディ首相との間で安全保障分野の協力で合意した。
中国、米国、インドと大国を重視するプラボウォ氏の外交姿勢が
そして1月27日、マレーシアに国賓として招かれた。インドからの帰路に隣国に立ち寄った形だ。
一方、マレーシアのアンワル首相も最近はトップ外交に飛び回っている。
昨年11月初めには、中国へ4日間の訪問。李強首相からの招待による実務訪問(政府間で経済協力の確認と中国産業界リーダーに会う)だったが、習国家主席にも会った。
また同月、アラブ連盟とイスラム協力機構の合同首脳会議のためサウジアラビアのリヤドと、アジア太平洋経済協力(APEC)会議とG20サミットが開催されたブラジルのリオデジャネイロに、11日間の外遊を行った。
1月に入って、石破首相をクアラルンプールで迎えた後、外遊へ出た。
アラブ首長国連邦(UAE)、英国、ベルギーを訪問した後、ダボス会議に参加するためスイスへ回った。
そして1月27日、クアラルンプールへ来たプラボウォ大統領と会った。
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