8日から中国株市場再開、ポイント理解に役立つJPMAMリポート
東南アジア株式新聞 2024年10月7日
8日から中国株市場再開、ポイント理解に役立つJPMAMリポート
上海総合指数は9月30日までの5日間で20%超と高速上昇し、その後、中国市場は国慶節連休に入った。
中国株の上昇は続くのか?
今日(7日)の香港ハンセン指数は+1.60%。同指数の1%超の上げ下げはよくあることなので、他地域の株から中国株へのシフトが続いているかどうかの判断材料になりにくい。
東南アジアの株式は軒並み強気だった。また、日本株(日経平均株価)は+ 1.80%と大幅高だった。
アジア全般の強気は良いことだが、やはり明日(8日)からの上海株など中国本土の市場が気になってしかたがない。
頭の整理に役立つ、JPモルガン・アセット・マネジメント(JPMAM)のリポートを見つけた。
今日はそちらを紹介する。
中国本土の市場が再開するのは火曜から、と思いながら、週末に見つけたのはこんな記事だ。
The Edge Singapore の10月6日の記事(中身はブルームバーグ電):
China stock scepticism gets louder as world-beating run extends
中国株への懐疑論強まる、世界最高の株価上昇が続く中で
中国株の世界記録を上回る上昇は、多くの世界的なファンドマネージャーやストラテジストを納得させるには至っていない。
インベスコ、JPモルガン・アセット・マネジメント、HSBCグローバル・プライベート・バンキング・アンド・ウェルス、野村ホールディングスなどは、最近の株価上昇を懐疑的に見ており、中国政府が景気刺激策の公約を実際の資金で裏付けるのを待っている。また、多くの株価がすでに過大評価されている水準に達していると懸念する人もいる。
この記事に登場する懐疑論は、個人投資家に向けて「今は中国株を買うな」と言っているわけではない。
長期目線の機関投資家の、株式への配分のうち中国株を増やすのに慎重な見方を示している、と理解するのが良い。
長期投資家の株式ポートフォリオ内には、中国株もあれば、米国株、欧州株、中国以外のアジア株もある。その配分変更の話だ。
さて、アナリストたちの意見の共通部分は、中国政府が打ち出した景気刺激策が具体化され、効果が予想できるところまで行かないと・・・という感じだろうか。
同記事にコメントが登場するストラテジストのリポートを見つけた。
中国政府の景気刺激策をどう見るか、について、非常にうまくまとめられている。
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JP Morgan Asset Management(JPMAM) 10月1日発表のリポート(筆者は Tai Hui、Chief Market Strategist, Asia Pacific):
What can sustain the latest Chinese equity rally? | J.P. Morgan Asset Management
その前半に、以下の部分がある。
このように、中国政府が9月下旬に発表した景気刺激策がまとめられている。
こうして見ると、景気を加速するため何でもやるという中国政府の強い意思を感じる。
「国慶節の休日明け、投資家が10月8日に市場に戻ると、彼らはこれらの政策発表がどのように実行されるかについての詳細を探しているかもしれない」と、Tai Hui 氏は書いている。
続けて、金融・株式市場対策や不動産市場対策を論評している。
「過去2年間、利下げと流動性供給は、家計と企業部門の慎重なセンチメントのために、借入の伸びや経済活動をまだ押し上げていない。株価の急騰とプラスの資産効果は、家計の貯蓄を解き放ち、消費の増加、あるいは住宅市場に対するより建設的なセンチメントにつながる可能性があるだろうか?」
「国慶節の観光と消費の数字は、この感情の変化を早期に垣間見ることができる可能性があり、裁量的支出の短期的な改善を示す可能性がある。住宅市場については、在庫の多さとデベロッパーの財務上の制約から、セクターが安定するまでにはまだ数四半期かかることが示唆されている。」
そして、評価のまとめは次の通り。
「全体として、経済活動と信頼を高めるには追加の政策措置が必要になる。これまでに発表された政策は、負債削減プロセスを円滑にするのに役立つが、バランスシートの修復は依然として必要だ。また、経済には構造的な変化があり、異なる一連の産業政策対応が必要になる。これにより、新しい労働市場構造に合致した雇用が創出される。」
追加の政策措置が必要となる。
あれだけ盛りだくさんの景気刺激策でも、足りない、というのがTai Hui 氏の結論だ。
(リポートの最後の部分で、いろんな投資アイデアを提示しているので、ご参考まで)
国内A株市場と香港オフショアH株市場を比較すると、後者の相対的なディスカウントは依然として魅力的に見える。さらに、テクノロジーおよび通信サービス部門は、景気循環の回復から恩恵を受ける可能性がある。これらのテクノロジー大手の多くは、過去3年間で営業レバレッジを改善し、収益性を高めてきた。経済の改善により、投資家は、2021/22年の規制変更、より厳格なコスト管理、自社株買い、配当金の増額に対処するこれらの企業の取り組みをより高く評価するのに役立つ可能性がある。
中国株以外にも、投資家は中国の景気回復から恩恵を受ける可能性のある他の代理銘柄を選択する可能性がある。欧州の消費財セクターとコモディティは、2つの潜在的な焦点領域である。一部の投資家は、これらのアイデアを通じて「中国のような」エクスポージャーを好むかもしれないが、これは通常、直接投資と同じ利益をもたらさず、他の外生的要因によって複雑になる可能性がある。たとえば、中国が強くなると、通常、コモディティ価格、特に石油価格が上昇する。しかし、サウジアラビアと石油輸出国機構(OPEC)は、市場シェアを取り戻すために生産量を増やすことを選択し、中国からの石油需要の増加を相殺する可能性がある。
アジア経済のパフォーマンスは、中国によるこの地域の輸出品、商品、観光に対する需要によってもさらに補強される可能性があります。これにより、半導体やハイテクハードウェアの輸出国を超えて、アジア株の幅広い回復が促進される可能性がある。
中国がより積極的な経済支援を選択し、世界の中央銀行が金融政策の緩和に着手していることから、現在の世界経済政策の状況はリスク資産にとって好ましい状況だ。最近の中国株の急騰が短期的な引き戻し圧力に直面する可能性があるとしても、中国政府の全体的な政策姿勢によって、アジアおよび世界の株式において十分に分散された資産配分を求める必要性が強まるはずだ。
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