2015年の中国株バブルの再来か?中国経済の復活か?

 

東南アジア株式新聞 2024年10月5日


2015年の中国株バブルの再来か?中国経済の復活か?


中国政府が9月下旬に打ち出した、金融緩和を含む景気刺激策は、中国株市場のセンチメントを一変させた。不動産不況が深刻化するかもしれないという悲観論が消え、楽観論一色になったかのようだ。

上海総合指数は9月30日(月)、前日比8.06%も上昇し、3,336.5で取引を終えた。

中華人民共和国建国75周年を記念する1週間の連休のため、取引は10月8日に再開される予定だ。

機関投資家の間では、日本・インド・東南アジアへの資金配分を減らしてでも中国株へ投資する動きも出ており、しばらく中国株の動向から目を離せない。

上海総合指数の年初来(2024年9月30日、Google Finance より)
上海総合指数の年初来(Google Finance より)

CNBCの10月1日(火)、北京発の記事:

China's stock surge has echoes of the 2015 bubble. What's different this time

中国株高騰で2015年バブルの記憶が蘇る、今回は何が違うのか

アナリストらによると、これまでの中国株の急騰は、2015年の市場バブルとは様相が異なる。

​​中国本土の主要株価指数は月曜日、景気刺激策への期待を背景に8%以上急騰し、上昇の勢いが続いている。上海証券取引所と深セン証券取引所の取引高は2兆5900億元(3687億8000万ドル)に達し、2015年5月28日の最高値2兆3700億元を上回ったとウィンド・インフォメーションは伝えている。

2014年から2015年までの6か月間で、中国株式市場の価値は2倍になり、レバレッジも上昇したと、ケンブリッジ・アソシエイツのアジア地域責任者アーロン・コステロ氏は月曜日に指摘した。

今回は市場はそれほど上昇しておらず、レバレッジも低いと同氏は述べた。「まだ危険域には達していない」

ウィンド・インフォメーションによると、2015年の株式市場のレバレッジ率は、月曜のデータが示したよりもはるかに高かった。


(注:Wind Information は中国の金融情報会社。Cambridge Assosiates は米ボストンに本社を置く投資銀行。)


この記事は、いきなり「2015年の市場バブルとは様相が異なる」と書いているが、つまりはマーケットには、今回の中国株急騰をバブルではないかと疑う声が結構あるということだ。


およそ10年前、中国政府は「チャイナ・ドリーム」キャンペーンで国内株式への投資を促進していた。

2015年の中国株バブルでは、「2014年から2015年までの6か月間で、中国株式市場の価値は2倍になり、レバレッジも上昇した」。その後、急落し、上海株は短期間で3分の1の価値を失った。

レバレッジ(借入比率)が高かったこともあって、急落では多くの投資家と金融機関がダメージを負い、世界的な金融危機が心配された。

  
上海総合指数の95年以降、Google Finance より
2倍になってストンと落ちた2015年バブル(上海総合指数の95年以降、Google Finance より)


2015年の再来を警告する意見もある。

株式投資のレバレッジは低くても、中国は不動産不況という爆弾を抱えたままであるため、株バブル崩壊が起これば深刻な事態になりかねないのだ。


South China Morning Post の10月3日(木)の記事:

Economist urges China to sober up after stock rally as boom-bust risk rises

中国株急騰後、エコノミストは中国政府に冷静さを求める、ブームとバストのリスクが高まったため

北京(中国政府)が経済を刺激するために政策バズーカを発射した後、まれに見る1週間にわたる株価上昇を経験したが、株価暴落の可能性が高まっているため、より冷静な評価が必要だと、あるエコノミストが警告した。

「現在の市場の勢いと中国のソーシャルメディアでの感情の追跡を考慮すると、2015年の壮大なブームとバスト(破裂)が今後数週間で再び起こるリスクが急速に高まる可能性がある」と、日本の投資銀行 ノムラの中国担当チーフエコノミスト、ルー・ティン氏は木曜日に述べた。

「投資家は今のところまだブームに浸っても大丈夫かもしれないが、北京がもっと冷静になってほしい」

(中略)

株式市場の評価とレバレッジが危機に陥るにはほど遠いものの、中国経済は主に不動産の低迷により緊急モードのままだと、ルー氏は付け加えた。

「北京は間違いなく一連の財政措置やその他の支援政策を展開するだろうが、株式バブルの醸成と北京が何に重点を置くべきかという議論がまだ続いているため、財政パッケージの最終的な規模と内容はかなり即興的で不確実になる可能性がある」と同氏は述べた。

最悪のシナリオでは、株式市場の狂乱の後に2015年のような暴落が起こり、北京はそのような下落を抑えるために紙幣の印刷に頼る可能性があると同氏は付け加えた。


「紙幣の印刷(money printing)」と言っているが、それは日本の大規模金融緩和と同じで、巨額の負担を先送りするという政策だ。将来の国民に重い負担がのしかかる。


今や中国経済は世界のGDP(国内総生産)の16.7%を占めている(日本は今4%、最盛期でも10%ほどだった)。

バブル崩壊がないまま中国経済が復活することを祈らずにはいられない。




関連記事:8日から中国株市場再開、ポイント理解に役立つJPMAMリポート

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