タイの国策上場ユニットトラスト「VAYU1」始動
東南アジア株式新聞 2024年10月10日
上海総合指数は+1.32%
タイの国策上場ユニットトラスト「VAYU1」始動
タイ政府が国内株式市場への投資を呼び込むために企画した上場ユニットトラスト「Vayupak Fund」が10月7日にタイ証券取引所(SET)に上場された。
取引シンボルは「VAYU1」。
政府は、政府及び政府系機関のために運用していた同名ファンドに、1500億バーツ(約6700億円)の新ファンドを設定し、SETに上場した。
どうやら、タイ政府の目論見では、国民の株式投資が活発化し、株価上昇 + 国民の資産が増 ➔ 経済成長に勢い、という効果があるようだ。
果たして、実際にそうなるだろうか?
![]() |
VAYU1上場を告知するSETのX投稿(10月7日) |
Bangkok Post の10月8日(火)の記事:
Vayupak Fund enjoys optimistic launch
Vayupak Fund、楽観的な雰囲気で取引開始
月曜日にタイ証券取引所(SET)に上場した1500億バーツの国営 Vayupak Fund(VAYU1)は、中東の緊張の高まりなど不利な外的要因が続く中、タイ株の1日当たりの取引額を押し上げ、株価下落を防ぐと期待されている。
SETの10月4日の発表文:
https://www.set.or.th/en/market/news-and-alert/newsdetails?id=91459500&symbol=VAYU1
運用会社のクルンタイ・アセット・マネジメント(KTAM)とMFCアセット・マネジメントは、ともに政府系色の強い会社だ。
Vayupak Fundの、さらに詳しい情報は、KTAMのサイトにある。
vayua : กองทุนรวมวายุภักษ์ หนึ่ง (ชนิดผู้ถือหน่วยลงทุนประเภท ก.)
Class AとClass Bがある。
Aは、一般投資家向けで、上場されたファンド。SETの取引時間に売買できる。日本の上場投資信託(ETF)のようなもの。年2回配当を出す。運用期間10年。
Bは、財務省と政府投資家の保有分。利益が出れば投資家に配当する。運用期間に制限はない。
さて、今日までに調べられたことはまとめたわけだが、国策ユニットトラストはタイ政府の狙っている効果を生むのか、私にはまったく確信がない。
仮に、日本政府が似たようなETFを東京証券取引所で設定したとしよう。運用の中身は、株(日本株中心)と債券(日本国債中心)のバランス型。
国民は、これを買うだろうか?
多数派は、ときどき勢いよく上がる株式オンリーのファンドを選びそうに思う。
だが、年金用に長期積立投資するなら、バランス型ファンドの安定性が適している。
実際、タイ政府の公務員年金 GPFは 国策ユニットトラストに投資する Vayupak Fund Plan を提供している。
VAYU1 理解のため参考にした記事2つ:
バンコク発ロイター電の8月31日の記事:
Thailand to expand state equity fund by up to $4.3 bln to invest in local stocks | Reuters
タイ、国内株への投資のため国営株式ファンドを最大43億ドル拡大へ
タイ政府は国内株式への投資に向け、国営ミューチュアル・ファンドの規模を1000億─1500億バーツ(28億─43億ドル)増額する予定だと当局者が火曜日に発表した。タイ株式は今年アジアで最もパフォーマンスの悪い市場だ。
ピチャイ・チュンハバジラ財務大臣は記者団に対し、ヴァユパック・ミューチュアル・ファンドは9月までに新たなユニットを一般に提供すると述べた。ピチャイ氏は「このプロジェクトは資本市場の信頼を回復するはずだ」と述べ、政府は他の支援策も検討していると付け加えた。
(中略)
ヴァユパック・ファンドの現在の資産価値は約3220億バーツで、主要保有銘柄にはタイ最大のエネルギー会社PTT(PTT.BK)、金融グループSCBX(SCB.BK)、クルンタイ銀行(KTB.BK)、などがある、とファンド・データは示している。
Bangkok Post の6月26日の記事:
New state investment fund planned
新たな国家投資ファンドの計画
弱気な株式市場を活性化させる対策として、財務大臣ピチャイ・チュンハワジラ氏は、同省が、堅実なファンダメンタルズを持つタイ株に投資している国営投資ファンドであるヴァユパック・ファンドに似た新しいファンドを設立する可能性を検討していると述べた。
総額5000億バーツの2つのファンドが設立され、そのうち1500億バーツが一般に提供されると同氏は述べた。
ピチャイ氏は、計画の詳細は今年の第3四半期までに確定すると述べた。
(中略)
「ヴァユパック型ファンドは、今年第4四半期から株式市場の需要を刺激する可能性がある」と、FSSインターナショナル・インベストメント・アドバイザリー・セキュリティーズの調査部長、ヴィーラワット・ヴィロチポカ氏は述べた。
同氏によると、同ファンドへの投資額100億バーツごとに、タイ証券取引所(SET)の指数が20~30ポイント上昇する可能性がある。
コメント
コメントを投稿