中国株の急騰が他のアジア株にもたらす波乱、投資マネーは結局どこへ?
東南アジア株式新聞 2024年10月3日
中国株の急騰が他のアジア株にもたらす波乱、投資マネーは結局どこへ?
10月初旬のアジアの株式市場では、9月終盤から急騰している中国株・香港株へのシフトが語られ始めた。
機関投資家の考えは「日本・インド・東南アジアの株式市場へ配分されていた資金を減らしてでも中国株・香港株へ投資するときだ」に変わったのだと。
だが、3日に日本株も急騰すると、事態は混沌としてきた。
3日午前、香港株が急落し、上昇した日本株と比べるとちょうど「香港株 ➔ 日本株」のシフトが起きているかのように見えた。
午後には、香港株が回復へ向かった。
同日、東南アジア各市場の指数は上げ下げまちまちだったが、全般に小幅な値動きとなった。
アジアの株式市場では、投資マネーはどこへ向かおうとしているのだろうか?
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香港ハンセン指数の1か月(HKEX公式サイトより) |
The Strait Times の10月3日の記事(中身はブルームバーグ電):
China’s sudden stock rally sucks money from rest of Asia | The Straits Times
中国の突然の株価上昇がアジアの他の国々から資金を吸い上げる
市場ウォッチャーによると、中国株から日本や東南アジアの株へと流れた資金の波は、北京の最新の刺激策の後、方向転換する見込みだ。シフトはすでに始まっている。韓国、インドネシア、マレーシア、タイの株式は先週純流出を記録し、BNPパリバは9月の最初の3週間で日本株から200億ドル(258億シンガポールドル)以上が引き揚げられたと発表した。
(中略)
「中国株購入資金を調達するため、アジア全域で買いポジションを縮小している」と、シンガポールのアトランティス・インベストメント・マネジメントのシニアポートフォリオマネージャー、エリック・イー氏は述べた。「誰もがそうしている。これは政策主導による底値からの回復だ。このような機会を逃したくないだろう」
10月3日、(就任したばかりの石破首相の利上げに否定的な見解から)円安が進んだことで弾みを得て、日本株が急騰した。
日本経済新聞の10月3日お昼ごろの記事:
東証前引け 日経平均、大幅反発 首相の利上げ慎重発言で買い安心感
3日午前の東京株式市場で日経平均株価は大幅に反発し、午前終値は前日比846円27銭(2.24%)高の3万8655円03銭だった。外国為替市場での円安・ドル高進行を背景に、輸出関連を中心に幅広い銘柄に買いが入った。海外短期筋による株価指数先物への断続的な買いも日経平均を押し上げ、上げ幅は一時1000円を超えた。
同じ午前中のセッションで香港株は下落した。
ちょうど2%程度の下げ幅で、香港株から日本株へ投資マネーが流れたかのようだった。
South China Morning Post の10月3日の記事:
Hong Kong stocks retreat, snapping 6-day rally as China frenzy shows exhaustion
香港株は下落、中国熱狂が疲弊し6日間の上昇相場が停止
香港株式市場は、中国の景気刺激策による3兆ドル規模の株価上昇が疲弊の兆しを見せたことから、7日ぶりに下落した。テクニカル指標は、20か月ぶりの高値からの反転が迫っていることを示している。
ハンセン指数は現地時間午前9時40分時点で1.8%下落し、22,038.79となった。中国が9月24日に救済策を発表して以来の記録的な上昇に歯止めがかかった。ハイテク指数は3.7%下落した。中国本土の市場は今週は祝日のため休場。
(中略)
「先週の出来事は、すでに2015年の壮大なバブルとその崩壊を思い出させる」と、ティン・ルー氏を含む野村のアナリストらは木曜日の顧客向けメモで述べた。「中国の現在の経済基盤は依然として弱いため、より冷静な評価が必要だ」と彼らは付け加えた。
なんとも変な感じだ。
中国本土の市場が休みの今週、香港株こそが中国株を代表している。
つい先日、「日本株➔中国株」の流れが生じたかと思ったのに、もう「中国株➔日本株」と逆流しているのだろうか?
上記の記事で野村のアナリストらが指摘している「2015年のバブル」とは、同年に起こった中国の株ブームと大暴落のことだ。
(ウィキペディア『中国株の大暴落(2015年)』)
「2015年6月12日に始まった株価の大暴落。ひと月の間に上海証券取引所のA株は株式時価総額の3分の1を失った。この時の株価の下げを金融関係者の間ではチャイナショックと呼ぶことがある。」
いつの株式バブルも、崩壊後にしかバブルだったと断言できない。
継続した株価上昇の最中は、「このような機会を逃したくない」と買う人もいれば、そろそろバブルになっているかと思って売る人もいる。
香港ハンセン指数は午後に回復へ向かった。儲かる機会を逃したくない投資家が優勢になった模様だ。
3日の終値は、ハンセン:-1.47%、日経平均:+ 1.97%。
「香港株 ➔ 日本株」シフトは起きたのか?
別の投資マネーの流れを指摘する声もあった。
The Strait Times の10月3日の記事:
Singapore-listed China companies soar after Beijing’s stimulus blitz | The Straits Times
北京の景気刺激策を受けてシンガポール上場の中国企業が急上昇
シンガポール - 北京の予想外に大規模な景気刺激策により、シンガポールに上場している中国企業の株価はここ数日で数年ぶりの高値に急騰した。
シンガポール証券取引所(SGX)によると、中国の不動産グループである仁恒置地(Yanlord Land)の株価は過去1週間で57%も急騰し、太陽光発電企業の中聖集団(Sunpower Group)は38%上昇した。
サセール・リート(Sasseur Reit)、中国航油(China Aviation Oil)、不動産開発業者の英利国际置业(Ying Li International)、さらには化学製品メーカーの九天化工(Jiutian Chemical)などの株価も急騰した。
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Yanlord Land(SGX:Z25)の1か月(SGX公式アプリより) |
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Sunpower Group(SGX:5GD)の1カ月(SGX公式アプリより) |
関連記事:2015年の中国株バブルの再来か?中国経済の復活か?
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