総選挙後の日本市場、「円安 ➔ 株高」が復活、連立政権ガチャで今後に大きな不安

 

東南アジア株式新聞 2024年10月28日


シンガポール STI

マレーシア FBM KLCI

インドネシア IDX総合

タイ

SET

香港

Hang Seng

3584.08

-0.26%

1610.47

-0.48%

7634.63

-0.78%

1453.03

-0.71%

20599.36

+0.04%

総選挙後の日本市場、「円安 ➔ 株高」が復活、連立政権ガチャで今後に大きな不安


27日の衆院選の結果、自民・公明両党は合わせて215議席。自民が無所属の当選者を追加公認しても定数465の過半数(233以上)に届かないこととなった。

自民・公明は、政策で最も合意できる党と手を組むなど、連立の組み換えを模索しなければならない。

少数派政権でよければ、立憲民主党を核にした野党連合の政権も可能性ゼロではない。

連立政権ガチャが今行われている。

しばらく日本の政治の混乱は避けられない。


28日の東京の金融市場はとりあえず大きなショックはなかった。

だが、経済・財政に問題を抱えたままの日本の政権が弱まったのは、世界経済にとって、少なくとも明るい材料ではない。

東南アジアの株式市場は低調。今晩の米国市場を見るまで様子見の姿勢を維持することにした投資家が多かったようだ。



「円安➔ 株高」が復活したようだが・・・

  
ドル円の年初来(2024年10月28日、Google Financeより)
ドル円の年初来(Google Financeより)


28日午前、ドル円相場は152円台から153円台へ円安が進んだ(日本の夕方には152円台にもどった)。

日経平均株価は、3万7800近辺から始まった後、3万8500台まで上昇した。

これは、(新政権へ期待しての株高では全然なくて、)輸出企業の収益に着目した売買から来る「円安➔ 株高」が復活したと見た方が良いだろう。

先週は円安が進んでも株が下がっていたことを考えると、少しマシな状態ではある。


日本の長期金利(10年物国債利回り)は、前週末比0.020%高い0.965%をつけたが、とりあえず、「トラス・ショック」のような金利急騰(債券価格の暴落)はなかった。


だが、金融市場の激動を呼びそうなイベントはこれからだ。


もともと野党側の公約には、消費税の引き下げや各種減税を主張する「財源無視のバラマキ派」が多い。

どこが連立に加わっても、その党の象徴的な政策を連立政権は採用するしかない。

消費税の恒久的引き下げはないとしても、一部の減税など国民の生活を一時的に助ける政策が採用される可能性は高い。すなわち、国債の増発が始まる可能性が大きい。


以下の記事が書いているように、日本銀行の異次元緩和から普通の金融政策への転換が遅れるという観測も出ている。


日本経済新聞の10月28日の記事:

与党大敗 市場の見方「日銀の政策正常化が遅れる観測も」 - 日本経済新聞




自公の連立拡大は何をもたらす?


小党乱立の状態になったことは日本以外のメディアも報じている。


CNAの10月28日の記事:

After disastrous election, what happens to Japan's new PM? - CNA

(前略)

政策の違いと過去の不和は、共産党からリベラルな立憲民主党、中道派の国民民主党、そして「改革保守」の日本維新の会に至るまで、野党を分裂させ、足かせをはめ続けている。


石破氏は新たなパートナーを見つけられるか?

首相はそれを実現するために多くの課題を抱えている。

立憲民主党の野田代表は選挙活動中、前回の不信任決議に参加した自民党との連携は「不可能」だと述べた。

日本維新の会も確信のない姿勢を維持している。党首の馬場伸之氏は、スキャンダルにまみれた現在の自民党との連携は「不可能」だと一蹴した。

中道派の国民民主党も連立に参加するつもりはないと否定した。

しかし、同党の玉木雄一郎代表は、親和性のある個別の政策についてある程度の柔軟性を提供できる「部分連立」の可能性を残した。


石破首相は28日午後に記者会見をした。


首相の会見を受けた、日本経済新聞の10月28日の記事;

石破首相「党派を超えた経済政策を実施」 衆院選受け

(前略)

今後の政権運営について「議席を大きく伸ばした党がある。選挙でどのような主張をし、国民が共感し共鳴したかを認識していかなければならない」と述べた。公示前から議席を4倍に増やした国民民主党との連携を念頭に置いているとみられる。

「政策で取り入れるものは取り入れていくことは必要だ。政策で私どもの足らざるところ、改めるべきところは積極的に取り入れていく」と話した。

今後の政権の枠組みに関して「今この時点で連立を想定しているわけではない」と述べるにとどめた。「それぞれの政策を日本、国民のために謙虚に取り入れていくことをよく協議することから始めなければならない」と語った。



記事では、「国民民主党との連携を念頭」と書いている。

同党は7議席から28議席に大きく数を増やした。


衆院の過半数は233。

自公で215。無所属 12の中には潜在的な自民党の議員もいるので、うまく引き込めば、220は自公で行けるようだ。

残り13+。

それ以上の議席を持つのは、国民民主党のほか、立憲民主党(148)と日本維新の会(38)しかない。

つまり、自公の連立拡大の選択肢は国民民主と維新しかない。


どのみち少数派政権なら、自公の約220は、首相指名選挙で次の大連合に負けてしまう。

立民148+国民28+維新38+れいわ9+参政党3=226

自公としては、国民か維新のいずれかをまるごと連立に取り込まなければ、安定した政治運営はできない。


自公は、最低限の財政規律を守っていることを内外に示すため、(岸田政権時代には、)バラマキしつつ増税(社会保険料含む)をしてきた。

だが、国民か維新が加わった連立政権は、増税側がとてつもなく難しくなりそうで、国債の増発に流れやすいと見られる。


日本の金融マーケットの激動はこれから来る。突然の円安と金利上昇には要注意だ。



関連記事:蘇った「底なし円安」の恐怖、ドル円が1日で153円台➜156円台

コメント

このブログの人気の投稿

建設途上で破産したニセコ高級ホテル La Plume、アジア系資本とは

2025年 ASEAN議長国としてのマレーシア

ペイシャンス・キャピタル・グループ(Patience Capital Group)、妙高でリゾート開発を進めるシンガポールの投資会社